「悪人」 狂おしいほど愛しくて悲しい人間の性(サガ)を感じます | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「悪人」 を観てきました。椅子


ストーリーは、

長崎在住の清水祐一は、博多で働く石橋佳乃と待ち合わせをしていた。しかし、待ち合わせ場所で佳乃は他の男の車に乗って行ってしまった。佳乃を追いかけた祐一は、福岡県の三瀬峠で彼女を殺してしまう。その後、長崎でいつも通りの日常を送っていた祐一は、以前出会い系サイトでメールをやりとりしていた馬込光代という女性と会うことに。ホテルでお互いを求めあった後で、祐一は光代に佳乃を殺したことを告白するのだが…。

というお話です。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-悪人4

原作を読んでから観たのですが、感動しました。原作とほとんど同じですが、「告白 」と同じように、文字だけでなく、表情が見れるので、こちらに訴えかけてくるものがとても深く感じられました。


人間というものは、本当に自分勝手で、寂しがりで、悲しいほど優しくて、残酷な生き物だということが、この映画1本で全て感じられます。

主役の祐一は、あまり幸せとは言えないような境遇なんだけど、でも、ふっと振り返ると、彼を愛している祖父母や親族も居て、見方を変えれば、ちゃんとそれに気が付いたと思うのに、何か事件が起こるまで気が付かないんですよ。そういうのって、誰もがあるのではないかと思います。普段、普通に生活しているだけだと感じない事が、本当はたくさん周りにあって、自分を愛してくれている人が居るって事、ちゃんと振り返って見ておかないと、誤った道を選んでしまうという典型の話だと思いました。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-悪人2

人間って、心底悪人っていう人は居ないと思うんです。でも、生活していく上でのルールがあって、そのルールが守れない人間は、悪人と言われてしまうのでしょう。常識というルールがあるからこそ、人間同士のコミュニケーションも上手く行くし、人と生きて行けるのだと思います。人と生きて行ければ寂しくないし、生きるという力も湧いてくる、それが人間でしょ。


だから、悪人というのは、一応、ルールを破ってしまった人間に与えられるレッテルのような物だけで、その人が心底悪人ではないと思います。でもね、ルールを破ってしまうということは、人間社会が動いていく中で、どうしても異端となってしまう。その異端を野放しには出来ない。そして、その犠牲となった人もいるのだから、必ず、罪を償わなければならないんです。たとえ普段はとても良い人でも、その関係者が無垢で素直で素晴らしい人でも、どうしようもない事・・・。そんな事を、すごく感じられた映画でした。悪人は、本当は居ないんです。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-悪人5

残酷だと感じたのは、マスコミですね。いつもワイドショーなどで見ている自分も、残酷なのだなぁと思いました。酷いですね。苦しんでいる人を追いかけて、針で突き回すんですから、本当に残酷だと思いました。あんな時に、助けてくれる法律とかは無いのですかね。だって、人の敷地に入ったら、不法侵入でしょ。歩いている時に囲んで歩行と妨げたら監禁とかにならないんですかね。あんなの、直ぐに弁護士とかを付けて、全てビデオに撮って訴えたらどうにかならないのかしら。マスコミのやり方に腹が立ちました。

ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-悪人3

妻夫木さん、普段の彼とは全然違い、本当に解体作業員で寂しい人間という感じになっていましたね。金髪は似合わないだろうと、原作を読んだとき思っていましたが、映画を観たら、そこに祐一という寂しい人間が映っていて、驚きました。そして、深津さん、賞を貰ったの、頷けます。寂しかった人間が、触れ合える人を見つけた歓びと、それが長続きしないと知った時の悲しみが内から溢れていました。すごいです。周りを囲む、樹々さんや柄本さん、岡田くんも、全てがこの映画の中の世界に納まっていて、2時間20分ほどがまったく苦にならず、すべて見逃したくないと思うような内容でした。


そうそう、音楽も最高ですね。ラストで主題歌が流れてきて、涙が出そうになりました。人間って・・・ってすごく感じる音楽です。サントラも買っちゃうかも。


ゆきがめのシネマ、試写と劇場に行こっ!!-悪人1

すごくお薦め作品です。ぜひ観て欲しいです。

今年は、本当に良い作品が多くて、驚きます。「告白 」や「キャタピラー 」も素晴らしいと思ったのですが、この「悪人」を観て、またもすごい作品が出てきたと感動しました。邦画レベル、すごく上がっていますね。
本当に嬉しくて、記事も長くなっちゃいます。ごめんなさい。カメ

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