女三人 加計呂麻島への旅(1)出発の朝
加計呂麻出発の朝のことだ。
遠くで誰かの声がしたわ。誰なの?
さっきから何度も何度も・・・。
その声の主は・・・もしかして、じゅ、潤君?
潤君は何度も私にそう言ったわ。
でも・・・すごく冷たい口調・・・。
ま、まさか! と目を覚ましたら、目の前には潤君。
じゃなかった、やっぱりそこには見慣れた夫の顔が・・・。
「いつまで寝てるんだよ。もう6時だよ! 大丈夫なの?」
「余裕を持って、7時45分前には羽田に着いていようね」と
一緒に行くアイドルのん と約束していたのだ。
そのためには、私は6時半の電車に乗らないと
間に合わないというのに!!
ど、どーしよう!
目覚まし5時半にかけてたのに!!!
潤君が、いや夫が起こしてくれてなかったらどうなっていた?
それにしても、人間とは、極度に焦った時、
ただただ意味もなく無駄な動きをする生き物である。
(えっ?私だけ)
一通り焦る気持ちを体で表現し、
なんとか落ち着きを取り戻した私は、
急いで化粧に取り掛かったわ。
『化粧』、私にとってはブラジャーより、
していないと落ち着かないものなのだ。
とりあえず、外に出られる顔になったところで、
私は急いで家を出たわ!
頭の中では、ミッションインポッシブルのテーマソングが
大音量で流れていた。
な、なんとか、6時30分の電車に滑り込み・・・
セ、セーーフ!!
呼吸が整ったところで
羽田で待ち合わせているのんにメールを送った。
『おはよう!
起きたら6時で、超焦りまくったけど・・・』
すると、のんからすぐにメールが返ってきたわ。
「私も43分に着きます~少し空港で時間がありますから、
コーヒーでも飲めますね~」
ホント、家じゃバタバタして、コーヒーどころじゃなかったから、
チェックインしたら、ゆっくりコーヒーでも飲みたいわね~。
7時43分、予定通り羽田に到着。
ところが、同じ時間に着くはずの、
のんがなかなか姿を現さないじゃないの!
待ち合わせの場所、間違えたかしら?
と思っていると・・・携帯が鳴った。
はぁ~?
昨日、メールでも『第一ターミナルだよ!』って、
言ったじゃないの!!
コーヒー飲む時間、なくなっちゃうわよ!
そう思って、デジカメを取り出した私・・・
そうよ、昨日夜、パソコンに画像落として・・・
そのままパソコンに入れっぱなしで来ちゃったんだ!!
とにかくSDカードを買わなきゃ!!
すると、係りの方がすまなそうにこう言った。
「ただコンビニなんで、種類はそうないと思うんですが・・・」
のんはまだ来ていなかった。
私はのんに電話をして、事情を話し、
すぐに下のコンビニ走ったわ。
自分で探している時間がなかったから、
すぐに店員さんに尋ねたの。
すると、若い男の店員さんが
「え? 4GBってなに?
私のデジカメは対応できます?」
なら大丈夫よ!
私がそう言うと、店員さんは・・・
バイト仲間の男の子も
「大丈夫ですよ! たぶん・・・」との返事。
と、その時、初めて値段を見て、びっくりよ!
2980円!!
これって、こんなにするものだったの?
あぁ・・・旅が始まったばかりの予期せぬ出費、痛いわね~。
でも、仕方ない、買うしかないわ。
早速、デジカメにカードを収めて、
試し撮りをしてみたんだけど・・・
どうしたことなの!! 霞んじゃって、
ハッキリと写らないじゃないの!!
やっぱり私のデジカメは対応できないってわけ?
どうしたらいいのーーー!
その時、のんが前方から息を切らせてやってきた
あぁ・・・
私を見るなりのんはすごい鼻息と共にこう言ったわ。
私は、半泣き状態で事情を話したわ。
すると、のんは力強くこう言った。
やっぱりのんだ!
いつも思う。外見はアイドルみたいに可愛いのに、
のんはいつだって男らしく頼もしいの。
そして、のんは私が買ったカードを自分のカメラに入れ・・・
だけど、すぐに顔を曇らせこう言ったのよ。
えーーー! どういうこと?
すると、のんはまた男勝りにこう言った。
「え? このカードが不良品なのね!」
そうとなったら、交換してもらわなきゃ!
すぐにコンビニに戻ったわ。
そう私が店員さんに説明していた時、
背後からなんとも女々しい声が・・・。
「カータン、不良品でもなんでもなかったので・・・
大丈夫ですから・・・お詫びして戻ってきてください」
のん、一体どーゆーことよ?
すると、のんは恥ずかしそうにこう言った。
「すいません・・・私、自分で写真を撮らずに、
カータンのカードに入っていたこの霞んだスーツケースの画像を
自分のデジカメで映して見ていただけでした、ハハハ・・・」
のんのデジカメには対応できるってことだったら、
のんのカードと交換してくれるのね?
そうして、のんのカードを私のデジカメに入れて・・・
写真を撮ってみたんだけど・・・
えぇ!!
そうなのだ。のんのSDカードを使っても、
さっきと全然変わらないぼやけた写真しか撮れないのよ。
デジカメそのものが壊れてしまった?
焦りまくる私にのんは謎を解き明かすかのように
こう言ったのよ。
レンズが汚れているとか・・・考えられませんか?」
「えっ? レンズ?」
「はい、レンズです。ちょっと拭いてみてもらえませんか?」
「こう?」
「はい、じゃ1枚撮ってみてくださいよ!」
カチャ!
のん?
のんの顔が曇ってないわ! クリアーよ! クリアー!
「もう時間がありません!! カータン、急ぎましょう!
チェックインもギリギリです」
のんに急かされ、急いでチェックインしに行って・・・
宿へのお土産を買ったら、
コーヒーを飲んでいる時間など残されてなかった。
すぐに搭乗しないと間に合わないわ。
すごい勢いで走るのんを必死で追いかけ、
何とか無事に飛行機の中へ。
飛行機は、満席。
ギリギリにチェックインをした私たちは、別々の席に。
でも、すぐに優しい男性が
のんに向かってこう言ってくれ・・・
私たちは隣同士に座れることができたのだった。
男性の優しさと、のんのカワイさに感謝!
飛行機は定刻通りに奄美に向けて飛び立った。
奄美空港では、伊丹から飛んだエミィさんが
先に到着して私たちのことを待っているはず。
これから始まる3泊4日・・・
どんな楽しいことが待っているのかしら?
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気がついたらこたつで3時間も寝ていました。9時半に下の子を寝かしつけたまま、巻き込まれ、11時に夫に「あなたこのまま寝るつもり?」と声をかけられた。寝るわけにはいかないわ!とベッドから抜け出したものの、すぐにこたつにイン。そこから3時間・・・。途中、「だったら、あのままベッドで寝てればよかったじゃん!」という夫の声が夢の中で何度も聞こえてきたけど・・・。
すごい汗で目が覚めました。風邪引いてなきゃいいんだけど・・・と心配しながら、すぐにベッドへ。そう、夫の言うことが正しかった。眠い時には無理せず寝よう!
では、今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
それでは、よい週末を~