スサノオで~す
雨が降っていた。
そんな中、
ス「おいっ!!行くぞ!!」
あ「おい!どこに行くねん!!行先ぐらい教えろや!!」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
…外に出た時には、強い雨が降っていた。
あ「ひぇぇぇぇぇぇぇ!!雷苦手~~!!!!へそ取られる~~~~!!!!」
ス「お前の汚い出ベソなんか取るか!!ヘソのゴマでも取っとけ!!」
そんなこんなで、僕がスサノオさんに連れられた先は、ある神社だった。
ス「こんな日や!こんな日こそあいつに会えんねん!」
あ「あいつって誰よ!?」
ピシャッ!!
あ「あひゃぁぁぁぁぁ~~~~!!!!」
稲光が、空一面を真っ白に光り輝かせた…と同時に…。
ゴロゴロゴロ…ドカーン!!
もう明らかにすぐそこ!すぐそこに雷が落ちた!!落ちた!!!!
と思ったその瞬間…。
ス「よぅ、久しぶりやな」
スサノオが見据える先、そこには1人の男の影が立っていた。
ス「タケミカヅチ」
あ「え?」
閉じかけていた目をゆっくり開くと、
そこには大柄で2メートル級のスサノオさんよりは遥かにほっそりとした、
それでもたくましさを感じさせる男が立っていた。こんな感じ。
タケミカヅチ(以下:タ)「スサノオ、久しぶりじゃないか」
ス「よぅ、元気してるか?」
あ「タケミカヅチ…さん?」
ス「この日本、『最強の武神』や」
あ「え?え?えぇ????」
ス「恥ずかしいからやめろ(笑)」
タ「スサノオ、どうした今日は急に?」
ス「いや、こんな雷の日にはお前に会えると思ってな」
タ「ハハ、そうか、それは嬉しいもんだ」
タケミカヅチさんがそう言うと二神は示し合わせたかのように、大きく弾けて笑った。
タ「こちらの方は?」
タケミカヅチさんは、僕を見て礼儀正しくスサノオさんに聞く。
ス「あぁ、俺が最近面倒見てるダメ男や。口ばっかり達者で、顔がキモめで、プライドだけ高くて、ハゲかけのエセ作家や」
あ「ちょっと言い過ぎやろ。誰がエセ作家や。今はそうやけど」
タ「あはははは!よろしくお願いします。タケミカヅチです」
そう言うと、タケミカヅチさんは折り目正しく僕に向かって頭を下げる。
あ「あ、あの…」
ス「なんや?」
あ「この方、どういった神さまなのでしょうか…?」
ス「タケミカヅチ。『天上界最強の武神』」
あ「天上界、というのは?」
ス「この地上界のさらに上にある、要は神の国やな。『高天原(たかまがはら)』と言う。かつてその天上界とこの地上界を二分するほどの戦いが勃発し、その中で『天上界最強の武神』タケミカヅチは、『地上界最強の神』タケミナカタを一蹴した…」
あ「そ、そんな話が…。ていうか、そんなすごい神さまが今目の前に…」
ス「でもな、こいつの一番凄い所はな…」
あ「?」
ス「戦いが好きじゃない所やねん」
…はい?
あ「あ、あの…言っている事がよく分からないのですが…」
ス「そのまんまや!!なぁ、タケミカヅチ!?」
タ「ハハッ、まぁそうと言えばそうかもしれないな」
あ「…もう少し詳しい説明を」
ス「えぇか、お前に俺がさっき言った話は、『古事記』に書かれている。お前もう俺と会ってこんだけ時間が経ってるんやから、古事記ぐらいは読んでるんやろな?」
あ「ホームレス?」
ス「ふざけんな(真顔)」
あ「はい、はい、読んでます、ちゃんと読んでます」
ス「古事記とは、日本の神の物語を書いた神話のこと。その古事記の物語でも有名な、天上界 高天原の神々が、地上界の神々に地上の統治権を譲ることを迫った、『国譲り』の物語。あの時に、このタケミカヅチが高天原の使者として、地上界の王オオクニヌシに、国譲りの交渉にあたったんや」
あ「なるほど」
ス「最初の相手 オオクニヌシの息子の長男コトシロヌシは、雷と共に現れたタケミカヅチを見た瞬間に、あまりの神威の強さに恐れを為して降参した」
あ「はい…」
ス「その次に現れた、オオクニヌシの次男である、『地上界最強の武神』タケミナカタのみが、タケミカヅチに自ら勝負を挑んだ。が、結果はタケミカヅチの圧勝。しかし、タケミカヅチはタケミナカタを殺すようなこともしなかった」
あ「格好いい」
ス「その様子を見届けていた、地上界の王オオクニヌシは、結局『これは勝てない』と悟り、無抵抗で国を譲ることを承諾した」
あ「ということは?」
ス「このタケミカヅチは最低限の戦いしかせずに、目的を達成したということや。やろうと思ったら、地上界を焼け野原に出来るぐらいの力を持ってるのにな」
タ「言い過ぎ、言い過ぎ(笑)」
ス「まぁ何が言いたいかと言うと、俺がこいつの好きな所は、『戦わずして勝つ』を実践してる所や。
普段は誰も足を踏み入れられないような神の世界の奥地にいて、そこでの修練、鍛錬は恐ろしいものがある。
それを見ているだけで、『こいつには勝たれへん』と思う。 それに加えて、この誰に対しても礼儀正しい神性(性格)や。
こんな強い奴に優しくされると、もう誰も頭が上がれへん。これが『天上界最強の武神』の本当の姿や」
あ「やば、感動。ちなみに、お二人(二神)は仲良いんですか?」
タ「まぁ、よく力比べはしたかな(笑)」
ス「大海原の神と雷の神の力比べやからな(笑)あっちこっち破壊しまくって、いつも五分五分や!(笑)」
あ「スサノオさんって、強かったんだ(ボソッ)」
ス「しばくぞ、コラ」
あ「ジョウダンデス、ジョウダンデス。クビヲツカンデ、モチアゲナイデ」
ス「おい」
あ「はい?」
ス「せっかくなんやから、何かタケミカヅチに聞きたいことないか?」
あ「ん~…そう言われると…。やっぱり『最強の武神』なので、勝負に勝つコツは?」
僕の質問にタケミカヅチさんは、ニッコリ笑って答える。
タ「さっきと同じになるかもしれないけど、戦わなくてもいいように日々の鍛錬、精神修養、神性…。君たちで言うなら人間性、かな。
人間性の向上を怠らないことかな。
神々もあなたたち人間の場合も、いつだって尊敬される者というのは、無闇に力を振り回さなくても、すべてを丸く収めることが出来るはずですから」
あ「…スサノオさん!スサノオさん!!」
ス「何や!!うるさいぞ!!」
あ「タケミカヅチさん、格好いい!格好いい!!あなたと違って格好いい!!」
ス「離せ!汚い手で触るな!!」
タ「ハハ、僕から見ると君らはお似合いだと思うけど(笑)またいつでも遊びにおいで。それに僕以外にも、こうして様々な神々に会いに行くといいい。スサノオは顔も広いからね」
ス「そうするわ。急に邪魔してすまんな」
気付けば、風は止み、雨は止んで、雲間から太陽が顔を覗かせようとしていた。
去りゆく天上界最強の武神の笑顔は、太陽と同じように輝いていた。
ス「おい・・・」
あ「はい?」
ス「お前、俺のこの絵何とかならんのか?」
あ「(笑)」
ということで、僕らに行ってほしい神社、会ってほしい神さまを募集します
「ここの神社に行ってみてほしい!」
「あの神さまと話してきてほしい!!」
「こんなこと聞いてきてほしい!」
そういったご要望ありましたら、こちらのコメント欄か、僕への直接メッセージまで何卒よろしくお願い致します
いよいよ『歴史部門』第2位!!
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※『笑って、泣いて、神話を学ぶ』、日本の国の始まりと神々のルーツを知る史上最古の連載ファンタジー『アウトロー古事記』、第1話目はこちら☆
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