ホメオスターシス・恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
この3つのバランスが崩れてホメオスターシス機能が保てない状態になると、”頭痛”を始めとするいろいろな”体の不調”が現れることになります。
このことは、先日以下で述べたばかりです。
慢性頭痛へのストレスの影響
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12289517890.html
一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。
「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、極く軽度の頭痛が出現してくることになります。
そして、これに更に、新たに”別の一角”の要因が加わればさらに頭痛の程度も増強してきます。
最終的に、この”三角”とも全てに問題が起きることによって「ホメオスターシス三角」が崩壊することに至り、難治の”慢性頭痛”を発症させます。
そして、先日は「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの”一角”に問題を生じてくれば、極く軽度の頭痛が出現してくることになると、以下で述べました。
慢性頭痛の発症過程
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12289601731.html
もう一度、おさらいします。
日常的に感じる極く軽度の頭痛
「ホメオスターシスの乱れ」が原因になります
経験的に、ストレスは慢性頭痛を増悪させる原因と知られています。
そして、このストレスが、「ホメオスターシス」を乱す根源になります。
さらに、ストレスは、マグネシウムの不足をもたらし、活性酸素を増加させ、ミトコンドリアの機能を悪くさせ、セロトニン神経系の機能を低下させ、「健康的な生活」を送るための根源に問題を引き起こすことになります。
1)自律神経の関与
自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与しています。
自律神経を司っている部分は視床下部といい、人の感情や活力を操っています。ストレスを感じるのもこの部分で、心臓をドキドキさせたり緊張させたりする働きも自律神経が担います。
緊張は血管を収縮させて、筋肉を固くします。これは敵から身を守り戦おうとする働きです。
ストレスは脳への刺激を通して自律神経に作用し、体に不快症状を引き起こします。
自律神経は、戦いと安らぎという二つの役割のものがありますが、ストレスを受けると戦うためのものが優位になります。
こうなることで、体の緊張は高まり、血行が悪くなります。
頭痛も、緊張した筋肉と血行不良のダブルの効果で頭の血流が滞ることで起こりやすくなります。
また、”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
セロトニン神経が弱まると、些細なことで体の痛みを感じるようになります。 脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。
2)生理活性物質の関与
”生理活性物質”のひとつのエイコサノイドは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
細胞に物理的な刺激が加わった場合や炎症などはアラキドン酸が遊離するきっかけとなるため、いったんプロスタグランジンが産生され、炎症が起きると、アラキドン酸の遊離が促進され更にプロスタグランジンが産生されるという悪循環が生じることになります。
炎症の初期にプロスタグランジンの産生をしっかりブロックすることは、痛みを悪化させないための重要なポイントです。
プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。
このため、脂肪分の多い食事を摂りすぎますと、頭痛・痛みそのものが出現しやすくなります。
3)腸内環境の悪化
実は、便秘が頭痛の原因となることがあるというのを知っていますか。
便秘が慢性化すると、それが原因で頭痛が起こる場合があります。
便秘が続くと、お腹が苦しくなったり痛くなったりするだけではなく、肌荒れでニキビや吹出物、口臭がくさいなど、いろいろな体の不調が起こってきます。
それは、便が腸内に留まることで腐敗し、有毒なガスを出すことによるものです。
便秘している腸内からは、インドール、スカトール、アンモニア、アミンなどといった猛毒物質が発生しており、これらが腸から吸収され血液と一緒にあなたの身体中を巡ります。有毒なガスや腐敗した便は適度な時間に排出されないと、再吸収といって、有毒なガスや毒素が腸の壁から血液中に取り込まれ、毒素が体にまわってしまうことで、さまざまな不調が起きると考えられています。
その症状のひとつに頭痛も挙げられ、便秘が解消すると頭痛が治る人は便秘が原因だったということになります。
便秘が続くと、体がだるくなるという人も多いのではないでしょうか。
血液に有毒な物質が混ざって全身を巡ることで、筋肉にも毒素や疲労物質が溜まりやすくなり、体のだるい感じや肩こり、腰痛などを起こすのです。
この筋肉の緊張によって緊張性頭痛を起こすと考えられます。
このような3つの要因の1つでも問題があれば、日常的に感じる極く軽度の頭痛を引き起こしてくることになります。
それでは、片頭痛では、どのように考えるべきでしょうか
片頭痛の場合、トリプタン製剤を服用して、治療すべきとされますが、本来、このような薬剤を服用しなくても、我慢に我慢して3日間耐え抜けば、自然に治まってくることはどなたもご存じのはずです。
これは、私達の体が本来備わっている自然治癒力のために治まるものです。
本来、片頭痛患者さんの”生活の質QOLを向上させる”ために、トリプタン製剤の服用が勧められていたにすぎないものです。
それがいつしか、片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用しておれば、”片頭痛が治ってしまう”とか、片頭痛の”適切な治療”とはトリプタン製剤を服用すること、といった”嘘”をつかれる専門家が出現してきていることを忘れてはなりません。
片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。
”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。
「ホメオスターシスの三角形」を構成する要因が全て”完成・障害”されてしまえばこの”ホメオスターシスの三角が崩壊”することになってしまいます。
この状態に、さらに「ミトコンドリアの問題」、「脳内セロトニンの低下」、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の脳過敏・慢性化の要因が加わることによって、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。
片頭痛の発作の「持続時間」に関して
片頭痛の発作の持続時間は4~72時間とされています。これは、ホメオスターシスという生体の恒常性維持機構によるもので、この発作中にホメオスターシスの維持機能が働き、これによってホメオスターシスの三角の歪みが修復されて発作が終結します。このため、”ホメオスターシスの三角の歪みの程度”によって、発作の持続時間が決定されることになります。
”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。これらの3つの”傷害の程度”によって左右されることになります。
このように、片頭痛はホメオスターシス、自然治癒力の観点から捉えるべき頭痛です。
ということは、慢性頭痛すべてを含めて、ホメオスターシス(自然治癒力)の観点から考えていくべき頭痛です。
これまでも、以下の記事を掲載していました。
食事の摂り方と健康 その11 ホメオスターシス
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282961038.html
健康を維持するためには・・ その7
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12280637285.html
その17 「自然治癒力」の役割 前シリーズの追加項目です
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12259460321.html
ホメオスターシス(自然治癒力)と慢性頭痛
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12245533632.html
「慢性頭痛の基礎」4.ホメオスターシス
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12186828416.html
ホメオスターシス
http://taku1902.jp/sub451.pdf
睡眠と健康
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282487084.html
慢性頭痛の周辺 その41 ホメオスターシス
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12000053562.html
”規則正しい”生活習慣を
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12168933690.html