片頭痛は”遺伝的疾患” | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

片頭痛は遺伝するのでしょうか?


片頭痛には遺伝的な要素があるといわれています。


 なかでも“前兆のある片頭痛”は、母親が片頭痛である場合、子どもが片頭痛になる確率が5割以上にものぼるといわれています。また、子どもの母親は軽症で自覚がなかったとしても、母方の祖母がひどい片頭痛持ちだったというケースもあります。
 なお、ここでいう“前兆”は、頭痛が起きる前に「目の前で光がチカチカする」「手や足の皮膚がチクチクする」「言葉をうまく発音できなくなる」といった症状をさし、「何となく気分が落ち込む」「首や肩がこる」などの“予兆”とは区別しています。
 また、遺伝以外の要因として、1つの家族が“頭痛になりやすい生活環境”で一緒に暮らしているというケースも考えられます。シックハウス症候群(新居の建材や塗料に含まれる化学物質が原因で起こる頭痛)や、日頃から誘因となる食べ物を頻繁に食べている場合などがこれにあたります。この場合には食事や生活習慣を変えることで改善できます。
 遺伝だけでなく、生活習慣や環境が影響することが多いので、自分の誘因を知り、避ける工夫が大切です。


片頭痛は女性だけのもの?


女性に多い頭痛ですが、男性にも片頭痛の人はいます。


 片頭痛患者の10人のうち8人くらいが女性で、母親から娘へと遺伝していく例が大半です。医学的な理由は解明されていませんが、女性ホルモンが影響しているのではないかといわれています。月経時やその前後に頭痛がひどくなり、妊娠すると頭痛が起こらなくなったという報告も少なくありません。男性にも片頭痛は発症しますが、「片頭痛は女性のもの」という先入観が強いせいか緊張型頭痛と診断されてしまうケースもあるようです。頭痛持ちの男性は自分の症状を詳しく医師に話すことをお勧めします。


群発頭痛は男性だけのもの?


男性に多くみられる頭痛ですが、最近では女性にも増えています。

 

 群発頭痛患者の男女比は、男性5~7人に対し女性1人といわれています。
 群発頭痛は、目の周囲や奥が痛くなり涙がボロボロ止まらない頭痛発作が毎日数回、1~2ヵ月ほど続くのですが、頭痛の時期が過ぎるとケロリと治まってしまいます。群発頭痛が男性に多く発症する理由は明らかになっていませんが、性ホルモンの影響や男性の生活行動における特性(仕事のストレス、喫煙や飲酒の機会が多いこと)が影響しているのではないかといわれています。最近では、女性の社会進出が進み、女性のライフスタイルが変化したことにより、女性患者さんが増加傾向にあると考えられています。
 群発頭痛は、初診で群発頭痛と診断されないことも多いので、専門医のいる病院で診てもらうことをお勧めします。


男と女では頭痛の症状が違うの?


いいえ、男女の症状に大きな違いはありません。

 性別による症状の違いではなく、頭痛のタイプによる違いです。
 ひとくちに頭痛といっても、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛では症状が異なります。女性に片頭痛が多く、男性に群発頭痛が多いというように、男性と女性では頭痛のタイプが異なるケースが多いので、そのような誤解が生まれたのでしょう。


 このように、これまで専門家によって、片頭痛は原因不明の不思議で・神秘的な”遺伝的疾患”とされてきました。


 こういったことを、どのように考えるべきでしょうか?

 


片頭痛は”多因子遺伝”による疾患


 片頭痛は、あたかも「遺伝」しているような「印象」はあります。
 ”単一遺伝子異常”の形式で遺伝する病型は確かに存在しますが、このようなものは極めて頻度は少なく、大半の片頭痛の遺伝の様式は、メンデル型”の”単一遺伝子異常”の優性遺伝でなく、”多因子遺伝”の様式で、親や祖父母から受け継がれます。
 この”多因子遺伝”とは、複数(3つ以上)の関連遺伝子をもとに、これに環境因子が加わって病気が発症してくるものを言います。ということは、”遺伝的素因”が存在しても、これに”環境因子”が加わらないことには、片頭痛は発症しないということです。これにはミトコンドリアDNAが関与しています。


  このことは、”遺伝素因”が同一であるはずの一卵性双生児の場合、必ずしも2人とも片頭痛を発症することはありません。あなたの兄弟姉妹がすべて片頭痛を発症しているのでしょうか。もし、そうであれば極めて特殊なケースと考えるべきです。あなたの家族全体の食生活・食習慣に問題があるものと推測されます。


 このような”多因子遺伝”をする病気としては、身近なものとして、生活習慣病であるⅡ型糖尿病があります。Ⅱ型糖尿病は、糖尿病になりやすい素質(遺伝素因)をもっている人に、”環境因子”として、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとること、その他多種多様の要因が加わって発症します。
 こうしたことから、糖尿病の治療方針として、この環境因子の是正に努めるべく「食事療法」と「運動療法」がまず行われ、これに「薬物療法」が追加されます。


  これに対して、片頭痛の大半は、その遺伝素因である「ミトコンドリア活性の低さ」に、”環境因子”として、食生活が原因で「さらに、ミトコンドリア機能の低下」を来して「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質)を形成することにより引き起こされる生活習慣病と考えられています。
 さらに片頭痛の”環境因子”として「ミトコンドリアを弱らせる”環境因子”」「脳内セロトニンを低下させる”環境因子”」「体の歪み(ストレートネック)を引き起こす”環境因子”」の3つがあります。これらの”環境因子”の関わり方は人それぞれです。このような”環境因子”としてどのようなものがあるかを知ることが片頭痛改善・予防のための必須の項目になります。
 片頭痛という頭痛は、皆さんのこれまでの生活習慣とくに食生活・姿勢等の問題が原因となり、謂わば、あなたの”生き方(ざま)”すべてが関与して起きてくるものです。
 これらは、いずれも日常生活を送る上で、”何気なく無意識に”行ってきた「食事・姿勢・体の使い方」が原因となっていることを意味しています。このために、あたかも”遺伝的疾患”であると誤解された理由でもあります。


  ミトコンドリアは、エネルギー産生を行う大切な場所です。このエネルギー産生を円滑に行うためには、必要な栄養素、ビタミン、ミネラルを満遍に、過不足なく摂取することが重要になってきます。こうしたことから、食生活が極めて重要な環境因子となります。
  この食生活には、先祖代々引き継がれた食習慣があります。間違った食習慣は、無意識に受け継がれます。もし、家族に片頭痛の”素因”が存在すれば、片頭痛を発症してくることになり、このため、あたかも「片頭痛が遺伝する」という印象を植え付ける根源になっています。


 さらに、「遺伝性」や「原因不明」とされる疾患には、食生活を中心とした日常生活において、知らず知らずのうちに摂取される環境汚染物質や残留農薬などの有害物質に起因するものがあります。
 知らず知らずのうちに摂取した有害物質が「代謝異常」にも深く関わり、さまざまな疾患の真の原因となっていることも多々あるように思われます。
 また、身の回りには活性酸素を発生するものが多く存在します。
 こうした多くの「活性酸素を生み出す要因」が存在するわけで、これらにより「ミトコンドリアの働き」を悪くさせる要因となり、これが環境因子となってきます。


  現在、専門家のなかには「片頭痛のセルフケアー自己管理」を完璧に実行される限り、”片頭痛の9割の方々は、片頭痛がうまくコントロールされる”と豪語されます。
  エルゴタミン製剤しかなかった時代ですら「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするように」という生活指導だけで、片頭痛発作は”完璧に抑制されていました。
 このような事実だけでも、片頭痛が”遺伝的疾患”ではないことを証明しています。


母から娘へと片頭痛が遺伝する理由はミトコンドリアにあった!?


  母と娘の間で片頭痛が遺伝しやすいのは、ミトコンドリアに関係があります。遺伝にDNAが関係することは誰もが知っていることですが、細胞内のDNAとは別に、ミトコンドリアは独自のDNAを持っており、この”ミトコンドリアDNA”が片頭痛の遺伝に関係しています。
 ヒトの精子には16個程度のミトコンドリアが存在します。一方の卵子は10万個といわれています。そして、精子に含まれるミトコンドリアは受精後にすべて死滅してしまいます。父性よりも母性のほうが強いということです。
  ということは、ミトコンドリアのDNAに関していえば、卵子に含まれるものだけが子どもへと受け継がれます。つまり100%の母性遺伝です。


  もし母親のミトコンドリアの代謝活性(元気さ)が低ければその影響を当然受けやすくなります。さらに、男性に比べて女性のほうが脳内セロトニンの合成量がもともと少ないわけですから、片頭痛の症状が発生しやすいのです。母から娘へと片頭痛が遺伝してしまうのには、こういう理由があったのです。
 このように、私達の体を構成する細胞のDNAは両親の遺伝子を受け継ぐのですが、その細胞内に存在するミトコンドリアのDNAは母親の遺伝子だけが引き継がれていくことになります(100%の母性遺伝)。
 そのため、母親のミトコンドリアの数が少なく活性が低くければ、その子にはその性質が引き継がれ易くなります。また、男性に比べ女性の脳内セロトニン合成能力はもともと少ないことなどの理由から、母娘や姉妹に片頭痛持ちであることが多くなります。男性のミトコンドリア活性がその子に引き継がれていくことはありません。
 ミトコンドリアの活性が低くなると、細胞が活動するために必要なエネルギー発生量も少なくなります。その結果、器官や組織を構成する個々の細胞のエネルギーの不足が直接的に器官の機能低下を引き起こすことになります。


 このように言いますと、すべてが母親から遺伝素因を受け継ぐように思われますが、しかし、臨床的には、父親からの遺伝素因を受け継ぐ場合も当然あります。
 この理由は、ミトコンドリアの機能に関する遺伝子はミトコンドリアのDNA に乗っているものと核内の染色体に乗っているものがあります。核内にあればメンデルの遺伝法則に従って、父親から遺伝し、ミトコンドリア内であれば母親から遺伝します。


 このように”多因子遺伝”という表現をしますと、理解しにくいと申される方もいらっしゃいますので、別の角度から説明します。


ミトコンドリアDNA・・遺伝情報として


   ミトコンドリアは細胞核にあるDNAとは違う、独自のDNAを持っています。ミトコンドリアがDNAを持っていることは、1963年スウェーデンのストックホルム大学の生物学者、マーギット・ナス氏が発見しました。
  ミトコンドリアのDNAは本来のDNAと混乱しないよう、「ミトコンドリアDNA」(「mtDNA」と書きます)といいます。ミトコンドリアには核のようなものはなく、数千ものミトコンドリアDNAがミトコンドリア内に存在することが分かっています。
 ミトコンドリアのmtDNAは核内のDNAよりはるかに小さく、そのほとんどが母親から伝えられます。
  ミトコンドリアは酸素を使ってATPを産生します。この際、体内に取り込まれた酸素の数%反応性の高い活性酸素やフリーラジカルになります。すなわち、ミトコンドリアは生体内における主要な活性酸素の産生部位でもあります。
  正常な状態でも活性酸素は産生されていますが、電子伝達系や呼吸酵素系の活性が低下すると、電子伝達系から電子がもれて活性酸素が生じやすくなります。
 ミトコンドリアは活性酸素を多く産生するため、mtDNAに突然変異が起こりやすい環境を作り出しています。しかも、mtDNAは核DNAと比べて修復能力が低いため、mtDNAで突然変異が起こる割合は核DNAの約10倍と考えられています。


  このように、ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
 また、ミトコンドリアDNAは、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が加わることによって、傷つけられます。
  このようにして傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えくるとエネルギー産生能力が低下し、「後天性ミトコンドリア病」が発生してくることになります。このようにして片頭痛は発症します。


 現在では、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われ、さらに、感染症以外の、ほとんどの現代病である生活習慣病(片頭痛、動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
 ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。


 「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
 今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在では後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。


 このようにして、ミトコンドリアDNAは先祖代々、母親から継承されます。

 片頭痛とは、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、生活環境および生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患と考えられます。
 このミトコンドリアの働きの悪さは、ミトコンドリアDNAによって先祖代々受け継がれます。そして、ミトコンドリアDNAは生活習慣および外部の生活環境によって変化・悪化することになります。
 ミトコンドリアの機能(ミトコンドリアDNA)は、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が加わることによって、低下してきます。
 ミトコンドリアの機能が低下すれば、ミトコンドリアが「ホメオスターシスを制御」していることから、「自然治癒力」が低下することになります。
 このようにして、片頭痛が発症してきます。

 

 このように、片頭痛をミトコンドリアの機能の低下による頭痛であると考えさえすれば、片頭痛が”遺伝的疾患”かどうかの答えがすぐにでてくることになります。

 専門家は、何故だかこのように思索することはありません。どうしてなのでしょうか?余程、頭が悪いのではないかと推測されます。

 


 このような見解に基づいて、当ブログでは、これまで以下のような記事を掲載してきました。


     遺伝に関する記事
      
http://ameblo.jp/yoyamono/themeentrylist-10086045108.html


   片頭痛と遺伝
      
http://taku1902.jp/sub459.pdf


     片頭痛とミトコンドリア その11 遺伝情報としてのミトコンドリア
      
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12285609849.html


      女性と慢性頭痛
       
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12282184528.html

     

   女性の慢性頭痛
       
http://taku1902.jp/sub365.pdf

 

 

 以上から、片頭痛に関する正しい知識を身につけ、適切に対処しなくてはなりません。

 

 なお、群発頭痛は片頭痛の延長線上にあり、一連の頭痛です。このため、女性に群発頭痛を発症しても、何ら不思議ではありません。