片頭痛とミトコンドリア その4 生活習慣病との関連 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

なぜ生活習慣病が増えるのでしょうか


自分自身の生活習慣病の原因を知ろう


 みなさんご存知のように、ガンをはじめとした生活習慣病が増え続けています。難病の増加や高齢化に伴い、医療費も年々上昇を続け、国の財政を圧迫しています。


 なぜ、生活習慣病が増えるのでしょうか。それは、生活習慣病がどうして起こるのか、その原因を多くの方がわかってないし、防ぎ方を知らないからではないでしょうか。生活習慣病の原因がわかっていないため、本来は自分で防げるはずだった生活習慣病になってしまうのではないでしょうか。


 加えて、「生活習慣病になったら、病院に行けば医師や薬が治してくれる」と思っているからではないでしょうか。


 生活習慣病という名前が付いた時点で、「医師や薬では治せない病気」ということなのです。生活習慣病は、自分自身の生活に原因があり、治せるのも自分自身だけなのです。医師をはじめとした医療従事者ができることは、患者さんが自分自身で生活習慣病を治すためのアドバイザーの役割なのです。


 すべての生活習慣病の原因は「血流障害による排泄能力の低下」と言っていいと思います。血液の流れが、その方の本来あるべき姿になっておらず、血流が悪い状態になることから生活習慣病は引き起こされます。ガン、アトピー性皮膚炎、リウマチといった病名よりも、血流が悪く排泄能力が低下している状態であることが本来は問題なのです。


 血流が悪いと、体内の毒(老廃物や、体内で不要になったホルモンや胆汁酸など、また体内に入ってきた化学物質〈農薬、食品添加物、重金属、薬など〉)が排泄できません。血流がよくなると(本来あるべき姿に戻ると)、体内の毒を排泄できるようになります。


 病気の原因は、血流障害にあります。血流障害になるのは、外部的な要因よりも、生活そのものの内部要因のほうがはるかに大きな影響を与えます。

 
 ストレス、食事、運動不足、睡眠不足、低体温など、自分自身の生活習慣そのものに生活習慣病の原因があるわけです。


ストレスによる血流障害から発病する


 血流障害が起きる大きな原因は、精神的なストレスです。人間関係の悩み、仕事の悩み、育児や介護の悩み、働き過ぎなどが長期に続くことで、交感神経緊張状態が持続して、血管が収縮して血液の流れが悪くなります。


 すると、組織に必要な栄養や酸素が運ばれず、体内の老廃物の回収も行われないうえに、増えすぎた顆粒球が放出する活性酸素による組織破壊が重なり、病気が生じてくるのです。

 ストレスが持続する生活を長期間続ければ、ガンをはじめ片頭痛、糖尿病、高血圧、痛風、胆石、尿路結石といった生活習慣病になってもしかたがないといえます。


治すのも防ぐのも自分自身


 生活習慣病を自分で治すには、自分自身の生活習慣を見直し、改善するべき点を改善することです。


 「ストレスを軽減、あるいはストレスにうまく対処する」「食事に問題があれば食事を改善する」「運動不足なら運動を行う」「睡眠不足なら睡眠時間を確保する」「体温が低いなら体温を高める生活をする」といった自分でできることを行うだけです。


 病院に行けば医師が治してくれるのではなく、もちろん薬が治してくれるわけではありません。主治医は自分自身なのです。「自分の健康は自分で守り、病気になっても自分で治せる」のです。


 生物には、自然治癒力という偉大な力が備わっています。血流がよい状態を保って自然治癒力を維持して病気を防ぎましょう。血流が悪くなって病気になっても、低下した自然治癒力を本来の姿に戻すために、本来あるべき「血液の流れがよい状態」に体を戻していきましょう。


 血流障害は、「足の冷え」「肩・首のこり」「頭のうっ血」などとして自覚、あるいは他覚されます。「足の冷え」がないか、「肩・首のこり」がないか、「頭のうっ血」がないかを、自分自身でチェックしましょう。

 毎日、足(特に足の指)を触って冷えを確認してください。肩や首のこりも、確認しましょう。鏡で自分の顔を見て、頭部のうっ血がないかどうか確認してください。できれば、体温も計ってください。


未病とは


「足の冷え」「肩・首のこり」「頭部のうっ血」


 「未病」を『大辞泉』(小学館)で調べると、「東洋医学において、検査を受けても異常が見つからず病気と診断されないが、健康ともいえない状態。放置すると病気になるだろうと予測される状態をいう場合が多い」と記載されています。


  「未病」を自律神経と免疫の関係から見ると、「病気と診断されないが、『足の冷え』『肩・首のこり』『頭部のうっ血』がある状態」と言えます。


 病気と診断されてはいないが、血流が悪い状態です。「足の冷え」「肩・首のこり」「頭部のうっ血」を自覚したり、あるいは指摘されたら「未病」の状態と考えられます。この3つに、「よく眠れない」も加えてよいかもしれません。


  この「未病」の段階で、血流をよくする生活に変えていけば、病気を発症しにくくなります。「未病」の段階で生活を変えていくことが、病気の予防にもなります。


  血流がよくなれば(本来あるべき姿に戻れば)、肝臓や腎臓の働きが高まり、体内の毒(老廃物や、体内で不要になったホルモンや胆汁酸など、また体内に入ってきた化学物質〈農薬、食品添加物、重金属、薬など〉)を排泄できます。血流がよくなって体温が高くなれば、汗として、皮膚からも毒を排泄しやすくなります。


 すべての生活習慣病は、「血流障害による排泄能力の低下」が原因と言ってもいでしょう。 血流をよくすれば(その方の本来あるべき血流の状態に戻る)治っていくし、血流がよくならないと病気は改善しません。


血流をよくすることが何よりも大切


 「足の冷え」は、足の血流が悪いことから起こります。足の血流が悪くなる最大の原因は、運動不足です。心臓から足に向かって送り出された血液を、再び心臓に送り返すには、足の筋肉(特にふくらはぎ)が働くことが必要です。筋肉の収縮と弛緩の繰り返しによって、血液を上に向かって送り返していきます。歩くことで、足の筋肉が伸び縮みして血流がよくなります。


 足の筋肉が衰えると、足の血流が悪くなるので、足の筋肉を維持することが大切です。 そのためには、運動によって筋肉を増やしたり、維持したりする必要があります。健康を保つためには、歩くことが大切です。


 また、足の血流をよくするには、足のマッサージや指圧を行ったり、湯たんぽなどで足を温めたり、入浴したりすることも効果的です。ふくらはぎマッサージや、足の指のストレッチなどがお勧めです。
 レッグウォーマー、足首ウォーマーなどで、足の保温をはかるのもお勧めです。窮屈な靴や、窮屈なジーンズなども、足の血流を悪くさせる原因になります。また、足を組んで座ることも、足の血流を阻害します。


 「肩・首のこり」は、温めて解消しましょう。蒸しタオル(濡れるのが不快なら、ビニール袋などに包んでください)やカイロ、温湿布(冷湿布は避けてください)などで肩や首を温めてください。温めることでこりがほぐれ、血流がよくなります。
 温める以外にも、肩や首をマッサージや指圧したり、肩や首を動かすことでも、血流はよくなります。首を回したり、肩を上下させたり、肩(というか腕)を回すことも効果的です。パソコンやデスクワークなどで、同じ姿勢を長時間続けないことも有効です。
 冬の外出時にはマフラーで、また家庭ではネックウォーマーなどで、首を冷やさないことも効果的です。


 「頭部のうっ血」を改善するには、「頭のマッサージ」が効果的です。頭のいろいろな箇所(指で押すと、他の場所より痛みを感じる箇所)を指で刺激したり、ブラシで頭全体をブラッシングしたりしましょう。側頭部、耳の付け根の周囲、後頭部には、指で押すと痛みを感じる箇所が多いので、念入りに刺激してください。時間があれば、顔もマッサージしてください。
 頭部のうっ血が改善して血流がよくなると、頭が軽く感じたり、頭痛が起こりにくくなったり、耳鳴りや難聴が軽くなったりするなどの効果が現れることもあります。


生き方を見直す


 病気になった場合や、体調がすぐれないときは、自分の生き方に無理がなかったかどうか見直しましょう。いままでの生き方を見直して、無理をしない、あるいは無理が少ない生き方に変えてください。

 病気になるのは、けっして運が悪かったからではありません。生活習慣病の原因は、外部からくるものではありません。先天的な病気は別ですが、ガンをはじめとした片頭痛、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、生き方の無理を重ねてきた結果として発症、あるいは悪化するのです。


 病気は、自分自身の生き方を振り返り、無理な生き方を改めるチャンスでもあるのです。


生活習慣を変えることが治癒への道


 大阪にある「e-クリニック」で、ガンが治癒した101名を対象に行った聞き取り調査の結果を紹介しましょう。

  ガンが治癒したという定義は、「大幅なリンパ節転移、多臓器転移、再発などのステージ3以上から治癒し、その後5年以上ガンの再発もなくすこやかに暮らしている人」です。


  「ガン治癒者であるあなたと、ガンが治らない方との違いがあるとすれば、何だと思いますか?」という質問に対し、10項目の中から1つだけ回答を選んでもらいました。


 その結果、「考え方」が38名でトップ、次に「食事」(26名)、「治療法」(10名)、「家族」(9名)、「友達」と「努力」がともに4名でした。「医者」と「情報」と「運」がそれぞれ3名、「その他」が1名という結果でした。
 「考え方」と回答した方のほとんどが、「ガンにかかってから、いままでの生き方を変えました」と答えたそうです。


 「生き方を変える」といっても、食事を玄米菜食にする、睡眠を十分にとる、気が進まないことは無理してやらない、軽い運動を習慣づける、仕事優先をやめて休養をとる、といったことでした。


 ガンにかかった場合は生活習慣を変えやすいかもしれません。しかし、その他の生活習慣病でも同じことです。生活を見直して、変えていくことが治癒、あるいは悪化を防ぐ最善の方法です。


手抜きのすすめ


 ストレスの原因となっている人間関係の悩みや仕事の悩み、育児・介護の悩みは、根本的に解決するのは非常に難しいと思います。ただし、何がストレスになっているのかを知ることで、少しでも軽減することはできるはずです。軽減できない場合でも、上手に対処すればストレスの発散もできるでしょう。


 なんでもうまくやろうと思うと、体も心も疲れるものです。たまには手抜きをしてください。「明日できる仕事は、今日はやらない」と決めて残業をしなかったり、月に1回は介護を専門家に頼んで映画を観に行ったりしてみましょう。


 それも難しいようでしたら、たまには休みの日をつくって、その日は気分転換に好きなことをしてください。日帰りの旅行に行く、買い物をする、趣味のサークルに出かける、おいしいものを食べる、気の合う友人と会って話をするなど、気分転換になるものでしたら、なんでもけっこうです。


 いつもいい母親(父親)、いい妻(夫)、いい子ども、いい上司(いい部下)では気が休まりません。たまには手抜きをしてください。


まじめな人ほど要注意


 まじめな方ほど、ストレスによって交感神経優位の状態になりやすいといえます。先ほども触れましたが、たまには手を抜きましょう。


「なんでも完璧に」とか「私がやらなければ」という気持ちを持ち続けるのはストレスになります。
 疲れを感じたときや体調がすぐれないときには、「私がやらなくてもなんとかなるさ」「明日やればいいさ」という気持ちで周囲に仕事を任せてください。
 先に紹介した、ガンが治癒した101名を対象に行ったe-クリニックの聞き取り調査でも、「細かいことを気にしなくなった」というのも共通項だったそうです。


 謂わば、禅問答のようなものかもしれませんが、片頭痛治療を考える際のヒントにするために、ここでガンについて触れておきます。


ガン細胞とエネルギー系


ガンは「先祖還り」の細胞


 安保徹先生(新潟大学名誉教授)によれば、ガン細胞は、体内環境の悪化に適応した「先祖還り」の細胞ということです。もともと、嫌気性(酸素が嫌い)の生物と、好気性(酸素が好き)のミトコンドリアが合体し、進化してきたのが人間です。


 正常細胞は、主としてミトコンドリア系からエネルギー(ATP)を得ています。「酸素が十分にある」「体温が高い」「利用するブドウ糖や乳酸、ピルビン酸、脂肪、たんぱく質がある」状態では、ミトコンドリア系が働きます。


 ガン細胞は、嫌気性(酸素を嫌う)の細胞です。しかし、ガン細胞にもエネルギーが必要です。では、ガン細胞は、どのようにしてATPを得ているのでしょうか。


 ガン細胞は、主に解糖系によってエネルギーを得ています。解糖系の特徴は、酸素を必要としない状況で、ブドウ糖(炭水化物)だけをエネルギー源として、ミトコンドリア系より効率が悪い(18分の1)かわりに、瞬時にエネルギーを得ることができます。
 解糖系が働く特徴は、「低体温」「低酸素」「高血糖」です。このような体内環境では、ミトコンドリア系の働きが悪くなり、解糖系の働きが高まってきます。安保先生のいう「先祖還り」の状態です。


ガン細胞の増殖はミトコンドリアを賦活をすると抑制できる


 しかし、ガン細胞は、酸素がある状態でも、ミトコンドリア系よりも解糖系によってATPを産生することがあります。この現象を「ワールブルグ効果」といいます。ノーベル賞を受賞したドイツのオットー・ワールブルグ(オットー・ウォーバーグとも呼ばれます)が、1926年に発表しています。


 なぜ、ガン細胞は、ミトコンドリア系よりも効率の悪い解糖系をなぜ選択するのでしょうか。


 ミトコンドリア系では酸素を使うため、活性酸素が発生します。わずかな量ですが、活性酸素によって、細胞が傷ついていきます。また、ミトコンドリアはアポトーシス(細胞死)にも大きくかかわっています。ミトコンドリアの働きを抑えることで、アポトーシスが起こらなくなります。


 ガン細胞は、活性酸素が発生しないエネルギー産生の系統を選び、またアポトーシスをしないようにしていると考えられます。細胞内のミトコンドリアの機能を抑制することで、生き残りを果たしているといえます。


 では、ガン細胞は不死身かというと、そうではありません。ミトコンドリアを賦活することで、ガン細胞のアポトーシスを誘導することもできます。「低体温」「低酸素」「高血糖」のいずれか、あるいは複数から脱却することです。


 温熱療法(体に負荷を与え過ぎない療法)、ビタミン・ミネラルの摂取(とくにビタミンB1)、小食(断食や食事制限。ただし、やせている人は医師と相談のうえで実行してください)や糖質制限(短期で考えてください。長期にわたると弊害が出るという報告もあります)などがあります。


 食事療法、呼吸、温熱療法などで、ガンの進行が止まったり、縮小したという例はいくらでもあります。これらの療法によって、ミトコンドリアが賦活し、ガン細胞のアポトーシスを促し、免疫細胞(リンパ球など)を働かせることができます。


ガンの自然退縮の条件


 ミトコンドリア系の働きを高める


 私たちが体内でエネルギ―を産生するのは、解糖系とミトコンドリア系の2つになります。解糖系は、効率はよくないのですが、瞬時にエネルギ―をつくり出します。その際に、酸素は必要ありません。ミトコンドリア系は、エネルギ―効率はよいのですが、エネルギ―をつくり出すのに時間がかかります。また、酸素を必要とします。


 ガンが増殖するのは、解糖系が働きやすい環境にあるからです。解糖系が働きやすい環境から、ミトコンドリア系が働きやすい環境に変われば、ガンは自然退縮に向かいます。


 解糖系が働きやすい環境は、低体温、低酸素、高血糖の3条件です。ガンが自然退縮するには、体温を上げ、酸素を増やし、その結果として血糖値が下がる必要があります。
 ただし、ガン細胞を直接攻撃するために、42℃以上の体温にするといった温熱療法はあまりお勧めできません。ガン細胞の死滅の前に、体力が持たないからです。


 免疫が働きやすい、直腸の温度が39.0℃前後の状態に体温を高めればよいのです。 40〜41℃くらいのお風呂が、この条件に当てはまります。ただし、我慢して長時間お風呂に入っていると、血栓ができやすくなります。温まって、もう出ようと感じたときは、無理せずお風呂から上がってください。


酸素を十分に摂り込む

 

 酸素を十分に摂り込むには、横隔膜を動かす深呼吸をしましょう。


 「増殖したガン細胞が、免疫だけで縮小に向かうはずはない」「免疫をかいくぐって大きくなった腫瘍を、免疫力で縮小させることができるとは思えない」という反論があります。


 たしかに、体内の環境が変わっていなければ、ガンの退縮は起こらないでしょう。しかし、体温を上げ、酸素を十分に取り込み、その結果として血糖値が下がる環境になれば、免疫が再び元の状態に戻って、十分な働きをします。その結果、ガンの退縮が起こります。


 ガンが退縮する条件がわかっていれば、その条件を整えて、自分自身の免疫を信じて待つことです。低下しているミトコンドリアの機能が高まることで、エネルギ―の産生がミトコンドリア系になり、ガンの増殖は止まります。さらに、体温が高くなって元の状態に戻ったリンパ球の働きにより、ガン細胞が縮小に向かいます。


ミトコンドリアをどうやって増やすのでしょうか

 
 運動などによってエネルギーの必要性が高まれば、もっとミトコンドリアを増やしてエネルギーを作ろうということになります。
 ただし、やみくもに激しい運動をしても、ミトコンドリアは増えません。
 じつはATPは「解糖系」というプロセスでも作られます。

 
嫌気性代謝
 

 体内に摂取されたグルコース(ぶどう糖)は「酸素がない状態」では解糖系というプロセスの途中でATPを作り出し、すぐに活用します。
 解糖系でエネルギーが作られることを、酸素を嫌うことから「嫌気的代謝」と呼びます。
 嫌気的代謝では酵素の働きによって、酸素がなくてもグルコースからATPを作ります。 そのスピードは早いです。
 ただし解糖系では1個のグルコースから2個のATPしかできません。
 「無酸素状態で、早くエネルギーを作れますが、量が少ない」のです。
 強度の筋トレや全力ダッシュなどの無酸素運動が長く続けられないのもこのためです。
 しかも乳酸(酸素がない状態でのピルビン酸)も作り出します。
 言い換えますと「呼吸がぜいぜいなるような運動は脂肪を直接的には燃やさない」ということにもなります。
 もちろんグルコースが枯渇し、糖新生によって脂肪がグルコースに変われば話は別ですが。

 
好気性代謝

 
 無酸素運動でATPが活用されると、ADPになり、さらにそれがAMPになります。
 ATPがAMPまでになるのは無酸素運動のときだけです。
 AMPが増えるということはエネルギーが不足しているとう信号です。
 このAMPが体内で増えるとき、そのときがミトコンドリアの出番なのです。TCA回路が活動しはじめます。
 ミトコンドリアはエネルギーを作り出そうと脂肪と酸素を取り込むようになります。
 ですから無酸素運動の最中は「ぜいぜい」と呼吸が荒くなり、酸素を必死に取り込もうとするのです。
 酸素が大好きな代謝なので「好気性代謝」とも呼ばれます。
 好気性代謝ではグルコースももちろん材料となりますが、脂肪を利用するほうが効率よくエネルギーとなります。
 「有酸素状態では、体内にある脂肪を活用し、効率よく多くのエネルギーを作れる」のです。
 

ミトコンドリアを増やす

 
 人間がゆっくり生活をしているとATPがADPになった時点ですぐにリン酸化がおきATPになります。
 無酸素運動がATPがAMPになるまでエネルギーを使います。
 そして体内にAMPが増えると、ミトコンドリア内で脂肪を燃やしATPを作るように促します。
 ただし、ミトコンドリア内でATPを作るためには酸素が必要です。


 筋トレや腹筋、スクワットなど強度の高い運動をするとAMPが増え、休憩して酸素が入ってくるとミトコンドリアが脂肪をエネルギーに変えます。
 短い無酸素運動とゆっくりな有酸素運動の繰り返しで、ミトコンドリアが活発に動きます。
 そしてそれは、ミトコンドリア自体を増やそうということにつながります。
 ミトコンドリアが増えれば、基礎代謝があがります。


エネルギーと治療効果


エネルギーが高まると自然治癒力が働く


 エネルギーが低い方は、どんな治療を行っても、治療効果が現れにくいし、治療効果が長続きしません。エネルギーというとわかりにくいのですが、体温が低い方、やる気(元気)が低下している方です。


 人のエネルギーは、2つの系統から得られます。1つは解糖系、もう1つはミトコンドリア系です。


 解糖系は、嫌気性(酸素を必要としない)分解で、1分子のグルコース(ブドウ糖)から2分子のATP(アデノシン三リン酸)が得られます。ミトコンドリア系は、好気性(酸素が必要)分解によって、1分子のグルコースから38分子のATPが合成できます。
 解糖系はすぐにエネルギーが産生できる反面、ミトコンドリア系と比べてエネルギー効率に劣ります。


 主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。この「低体温」「低酸素」「高血糖」を改善することなしには、治療効果が上がりにくいし、治療効果も長続きしにくいのです。
 治療効果を上げ、治療効果を長続きさせていくには、体温を上げ、酸素を多く取り込み、血糖を下げる必要があります。このような状態になると、解糖系と比べて効率の良いミトコンドリア系のエネルギー産生が上がって、エネルギーが高まっていきます。
 このエネルギーが高まった状態(病気になる以前の状態)になると、治療効果は上がりますし、治療効果が長続きするようになります。また、治療をしなくても、体が勝手に治していくという本来の状態に戻っていくわけです。自然治癒力が働く状態です。


エネルギーを上げる方法
 
 体温を上げるには、体を冷やさないことです。冷蔵庫から出してすぐの食べ物や飲み物
を避ける、体を冷やす服装をしないことです。また、湯たんぽやカイロや入浴で体を温める、適度な運動を心がけるといったことを行ってください。


 酸素を十分に取り入れるには、深呼吸です。深呼吸は酸素を十分に取り入れるだけでなく、横隔膜を大きく動かすので、静脈血やリンパ液の流れをよくします。また、姿勢に注意してください。猫背や前屈みの姿勢ですと、胸郭を大きく開いての深呼吸ができなくなります。


 さらに、食事に気をつけてください。エネルギー源になるのは、糖質(炭水化物)と脂肪です。解糖系でもミトコンドリア系でも、糖質が胃や腸で分解されたブドウ糖をエネルギー源としています。消費エネルギーのうち、およそ60%は糖質が望ましいといわれています。現代の食生活は、主食である「糖質(炭水化物)」が少ない状態になっています。


 睡眠も、エネルギーと大きなかかわりがあります。脳の重さはおよそ体重の2%ほどですが、消費するエネルギーは、目覚めているときで、体全体の20%ほどだといわれています。起きている間は、エネルギーをつくり出して心身を活動させているわけですが、睡眠中はその作用を抑えてエネルギー源を保存しています。深いノンレム睡眠では、エネルギーの消費量は、目覚めているときの40%程度に下がっているそうです。したがって、睡眠時間が短いと、エネルギーを消費しやすくなります。


 また、前向きな「プラス思考」も、行動を促し、結果として体温を上げていきます。うつ状態で低体温の方でも、プラス思考ができるようになって、行動を起こすことができたら、体温が上がってうつの状態から抜け出すことができます。


 もっとも、「低体温」「低酸素」「高血糖」はバラバラで現れているわけではありません。 体温が上がってくれば、低酸素の状態から抜け出し、血糖値も下がります。酸素を取り入れる呼吸をすることで、体温も上がり、血糖値も下がります。


 波動計測器でエネルギーを測ることもできるようですが、もっと廉価でだれでも扱うことができるエネルギ―計測器が開発されれば、病気を未然に防ぐことができます。体重計のように、一家に1台エネルギ―計測器があるようになれば、生活習慣病が減っていくと思います。


ミトコンドリアが喜ぶ生活


ミトコンドリアがつくるエネルギーで人間の生命は維持されている


 我々の体は、嫌気性(酸素が嫌い)代謝の生命体と、好気性(酸素が好き)代謝の生命体が融合してできているといわれています。


 20億年ほど前までは、地球上に酸素はほとんどなかったそうです。しかし、光合成を行うシアノバクテリアの出現により、酸素が増えてきました。私たちの祖先であった嫌気性の生命体は、酸素が増えてきた地球環境を生き延びるために、好気性の生命体を合体させることに成功したということです。


 生物の細胞の中には、必ずミトコンドリアが共生しています。このミトコンドリアこそ、私たちの祖先が取り込んだ好気性の生命体なのです。


 人間は60兆個の細胞からなるといわれていますが、1つの細胞に、複数個のミトコンドリアが存在しています。


 細胞分裂がさかんな細胞にはミトコンドリアが少なく、細胞分裂をしない、あるいは細胞分裂が少ない細胞にはミトコンドリアが多く存在しています。ミトコンドリアが少ない細胞の代表が精子です。ミトコンドリアの多い細胞の代表が卵子、心筋、脳などです。


 解糖系とミトコンドリア系のところで、これまでも述べていますが、エネルギー(ATP)を得るには、解糖系とミトコンドリア系の2つの働きがあります。酸素を必要とせず、糖分(ブドウ糖)からエネルギーをつくるのが解糖系です。ミトコンドリア系は、糖分や脂肪などを原料にして解糖系の19倍の効率でエネルギーをつくりだします。このときに、酸素が必要となります。


 生物は、食べて消化・分解した栄養(ブドウ糖など)と酸素を、血液中の赤血球に乗せて、60兆個の細胞に運んでいるといわれます。しかし実態は、細胞に共生しているミトコンドリアにブドウ糖と酸素を運んでいるわけです。この栄養と酸素から、ミトコンドリアがエネルギーをつくりだすわけです。


 エネルギー(ATP)がなければ、生物は活動できません。ATPをいかにつくりだすか、しかも効率のよいミトコンドリア系からつくりだすかが、病気を防ぎ、若さを保つ秘訣になります。そのためには、ミトコンドリアが喜ぶ状態に体を保つ必要があります。


ミトコンドリアを喜ばせる6条件


 ミトコンドリアが喜ぶ状態は、以下になります。


  酸素が多いこと
  体温が高いこと
  腹八分目
  軽い運動
  日光を浴びること
  野菜に含まれる微量放射線(カリウム40)があること


反対に、ミトコンドリアが嫌う状態は、以下になります。


   酸素不足
   低体温
   満腹
   運動不足
   日光を浴びない
   野菜不足


 つまり、深呼吸によって酸素を取り入れ、体温を高く保ち、腹八分目にし、軽い運動を行い、日光を浴び、カリウム40が多く含まれるキャベツなどの野菜をたっぷりとることです。


  ミトコンドリア系が十分に働いていない病気の代表がガン、糖尿病、片頭痛です。これらの病気を改善、あるいは予防するためには、「自分が喜ぶ生活習慣ではなく、ミトコンドリアが喜ぶ生活習慣」を意識してください。

  ミトコンドリアが喜ぶ生活は、病気の改善や予防だけでなく、若さを保ち長生きする秘訣でもあります。