変形性膝関節症に防已黄耆湯を初めて臨床応用したのは大塚敬節であると言われている。おそらく『金匱要略』の
風水、脈浮は表に在りとなす。其の人或いは頭汗出で、表に他病なく、病者但だ下重し、腰より以上和するとなす。腰以下当に腫れて陰に及び、以て屈伸しがたるべし
を応用したものと思われる。この大塚敬節の発明で多くの変形性膝関節症の患者が痛みや膝の水を抜くのから解放されたか分からない。当院での医療用漢方エキス製剤使用量1位も防已黄耆湯である。防已黄耆湯を服用すると飲んで2週間くらいは、ほとんどの患者が尿が近くなったと話す。尿が近くなることを説明してないと勝手にやめてしまう患者がいるくらいである。2週間くらいすると服用前の小便回数に戻る。私はほとんどの変形性膝関節症を防已黄耆湯を軸に考えてこれに加味したり、急性期を他剤にしながらまた防已黄耆湯に変方するという事をよくやる。それで非常に効果がある。痛み止めのような副作用もない。そして何より喜ばれるのが多くの方が体重が1~2kg減量するのである。たった1~2㎏であるが患者さんにとってはかなりうれしいようである。そして防已黄耆湯は減量し、しかも表虚を補う作用があり体力が付きつかれなくなったと話される方が多い。私が最も好きな方剤の一つである防已黄耆湯は正に一挙三得の薬なのである。
毎日7時に更新中。応援していただける方は1日1クリックお願い致します。