漢方をある程度始めると漢方症例集を読みたくなる。しかし大塚敬節は初心者のころ漢方症例集ばかり読んでいると上達しないと警告している。私もそう思うが、症例集は使い方だと思う。決してこの病名にはこの漢方のような発想を持たないという事である。いわゆる「異病同治」「同病異治」という事になると思う。私が勧めるあくまで初学者への症例集は
使ってみようこんな時に漢方薬 三潴忠道編 シービーアール社
である。西洋医学しか学んでこなかった者にも丁寧な症例集で診療の流れがある程度つかめる。これを読んで自分の知識を整理したら良いと思う。いずれ『症例による漢方治療の実際』(松田邦夫)や『漢方診療三十年』(大塚敬節)は読むことになると思う。繰り返しになるが、症例集にある回答が正しいわけではない。病名から漢方薬を選択するという癖を絶対につけないことである。浅田宗伯の『勿誤薬室方函口訣』もイロハ順に方剤が並んでおり、初学者には非常に使いづらい。しかしこれは、全ての方剤の方意に先入観を持たせないための配慮だといわれている。最近になって私もやっとその浅田宗伯の意図が分かるようになった。
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