人参湯とアイスクリームカップ | 漢方1日1歩のブログ

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1日生きるとは1歩進む人生でありたい(by湯川秀樹)の言葉のように、傷寒論や類聚方広義、勿誤薬室方函を参考に1日1歩づつ漢方医として成長していきたいと思っています。(実際に患者に処方するにあたっては添付文書を参照され、自らの診断と責任でご処方ください。)




 漢方を一生懸命勉強していると時としてご褒美みたいな症例に出会う。ある患者の友人の母親が認知症になって異常行動をするようになったので一度診て欲しいとのことであった。本人が病院に来られないというので往診して欲しいと言われた。往診して家族に事情を聴くと85歳のその患者さんがアイスクリームのカップに異常に執着し片時も離さないとの事であった。その時奥の扉が開いてその85歳の患者が口元にアイスクリームカップをつけながら登場した。その光景を見てデジャブのようにある漢方の本で読んだ症例の事が思い浮かんだ。



よだれが止まらずアイスクリームカップを離さなかった患者が人参湯で改善



この記憶により、脈診も腹診もせずに人参湯を処方し認知症と間違われていた85歳の患者の疑惑を晴らすことが出来た。漢方を学んでなかったらと思うとぞっとする症例である。

 私の読んだ症例は、傷寒論の「大病差えて後 喜唾久しく了了たらざる者は 胃上に寒有り 当に丸薬を以てこれを温むべし 理中丸に宜し」を応用したものであった。この後もアイスクリームカップではなかったが同じような喜唾に伴う異常行動が2件あった。決して珍しくないケースだと思われる。



追伸 私の読んだ症例が誰のどの本だったのか思い出せません。もしご存じの方がおられましたら教えていただければ幸いです。



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