休憩を挟んで第4試合がセミファイナル。藤波辰爾&田中将斗vs藤原喜明&関本大介。
正直なところ、藤波にも藤原にも全盛期のような動きの良さを求めるのは無理な話だし、それぞれのパートナーである田中と関本は今が全盛期と呼んでいいコンディションの良さ。
ゴング前はそうした点から
「ちょっと酷な組み合わせではないのだろうか・・・」
との不安に近い思いを抱いていた。
しかしプロレスラーの凄さは肉体的なピークとは別にあることを思い知らされた。
厳しい練習、タイトなスケジュールの巡業、そして試合。そうした日々の積み重ねによって培われたプロフェッショナルの佇まいは、そこにいるだけで絵になる。最近よく使われる「説得力」などという言葉が軽く感じられてしまうほど。いやむしろ、そうした諸々のことを感じさせないほど“そこにリングがあるから当然”といった自然さで藤波も藤原もそこにいた。
“リビング・レジェンド”である藤波、藤原への声援の多さは田中と関本には刺激になっているだろう。
「今現在、最前線でバリバリ闘っているのは自分たちだ!」
との自負もあるだろうし、そうでなくては困る。
実際、田中と関本のぶつかり合いはリングの上から弾け飛んでしまうのでは?と感じるぐらいの激しいファイトだった。
かつてアントニオ猪木が東京プロレスを旗揚げした当時は「豊登を見に行って猪木を見て帰ってきた」と言われた。知名度の大きかった豊登を目当てに行った客が猪木の闘いぶりに感心して帰ったことを例えた話だ。「ドラゴンと組長を見に行って、田中・関本を見て帰った」という気分になった客もいたのではないか。
試合はもつれて両軍リングアウトとなった。「延長」コールも起こった。しかしオレは藤波と藤原のあの佇まい、田中と関本のあれだけの激しさを見られれば、この日はじゅうぶんだった。
つづく!
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