[ミクリッツ症候群]
(gooヘルスケア)
<どんな病気か>
唾液腺(唾液を作る器官で、左右の耳下腺、顎下腺、舌下腺が三大唾液腺)と
涙腺(涙を作る器官で上まぶたの奥にある)が痛みを伴わずに、対称性に
腫脹を来す独特な病変を、1892年にミクリッツが発表しました。
しかし、これらのなかには原因不明なものと、白血病、悪性リンパ腫、結核、
サルコイドーシスなど原因が明らかなものが含まれていることがわかり
ました。
そして、前者をミクリッツ病、後者をミクリッツ症候群と呼び分けるように
なりました。
すなわち、ミクリッツ症候群はひとつの独立した病名ではなく、ある病気に
よって生じる症状ということができます。
<原因は何か>
白血病は血液のなかの白血球が悪性化して異常増殖するもので、悪性リンパ
腫は免疫を司るリンパ系のがんです。
結核は結核菌による感染症で、類上皮肉芽腫という特殊な細胞の塊を作る
ことが特徴です。
サルコイドーシスは主に肺やリンパ節に結核とよく似た類上皮肉芽腫を形成
しますが、その原因は不明です。
このような悪性化した細胞の塊や類皮肉芽腫が涙腺や唾液腺にできると、
腫脹となって現れることになります。
<症状の現れ方>
涙腺や耳下腺、顎下腺が徐々にはれてきますが、必ずしも左右対称性とは
限らず、普通、痛みはありません。
<検査と診断>
腫脹の場所と広がりを確認するため、MRIや超音波などの画像検査を行い
ます。
確定診断には腫脹した組織の一部を切り取って顕微鏡検査を行う必要があり
ますが、前述のような病気をもっていることがあらかじめわかっていれば、
診断は類推できます。
鑑別疾患で重要なのは、ミクリッツ病(最近は良性リンパ上皮性疾患と呼ばれ
ている)や、口と眼の乾きが特徴であるシェーグレン症候群で、これらは
とくに中年の女性に多くみられます。
<治療の方法>
それぞれの原因疾患に対する治療を行います。
<病気に気づいたらどうする>
長期にわたる耳の前やあごの下のはれに気づいたら、耳鼻咽喉科か口腔
外科へ、上まぶたのはれであれば眼科への受診をすすめます。
(執筆者:石橋克禮先生)
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10D30400.html