先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とは | 横山歯科医院

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[先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)]

(gooヘルスケア)


<先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とはどんな病気か>
生まれつき甲状腺の働きが弱い病気で、重症から軽症まで症状の出方は
様々です。
発生頻度は出生児3,000~5,000人に1人と推測されています。



<原因は何か>
胎児期に発生の異常で甲状腺が無形成や低形成に陥ったもの(欠損性)、
舌根部などにとどまったもの(異所性)、甲状腺ホルモン合成の障害
(甲状腺腫性)があります。

稀に中枢性(下垂体性、視床下部性)の機能障害によるものもあります。

近年、原因遺伝子の検索が進んでいます。



<症状の現れ方>
新生児期の早期には黄疸の遷延(持続)、便秘、臍ヘルニア、巨舌、かすれた
泣き声、手足の冷感などがあり、長期的には知能低下や発育障害が問題になり
ます。

現在日本では、新生児マススクリーニングが行われており、症状が現れる前に
ほとんどが発見されます。
ただしマススクリーニングで発見できない症例(TSH遅発上昇型など)の
報告もあります。


<検査と診断>
生後5~7日に、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定による
マススクリーニングが行われます。
遊離サイロキシン(FT4)の測定を同時に行う地域もあります。

TSHが高値であると、再採血あるいは精密検査になります。

精密検査では、TSH、FT4などの再検査、大腿骨遠位端骨格のX線検査、
甲状腺の超音波検査などを行います。

一過性甲状腺機能低下症との区別のため、母親の甲状腺疾患(母親が
バセドウ病の場合には抗甲状腺薬内服の有無)、胎児造影、イソジン消毒、
コンブの食べすぎなどによるヨード大量曝露の有無などの確認が重要です。



<治療の方法>
生後2カ月以内の甲状腺機能は知能予後に極めて重要と考えられるので、
機能低下が疑われればまず治療を開始することが基本です。
1日1回甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(チラーヂン)の
内服を行います。

病型診断は、3歳以後にいったん内服を中止して、123I甲状腺摂取率、
シンチグラム、唾液血液ヨード比、ロダンカリ放出試験などによって行われ
ます。



<先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)に気づいたらどうする>
マススクリーニングで精密検査の通知が届いたら、すみやかに指定された
医療機関を受診します。


(執筆者:杉原 茂孝)


図・詳細は、
http://health.goo.ne.jp/medical/search/101E0500.html