食物アレルギー/3 食物依存性運動誘発アナフィラキシー | 横山歯科医院

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[あなたの処方箋:/94 食物アレルギー/3 成人患者の注意点]

(毎日新聞 2011年2月23日)


特定のものを食べて運動するとじんましんやショック症状を起こす「食物
依存性運動誘発アナフィラキシー」という疾患がある。

子どものころアレルギー体質ではなかった成人が突然かかることが多く、
最近はせっけんや化粧品の成分で体質が変わったことを引き金に発症する例が
相次いでいる。



東京都小平市の女性看護師(32)は一昨年春、トーストを食べてからスポーツ
ジムに行って汗を流している途中、突然じんましんが出て激しい腹痛と下痢に
見舞われた。
体を休めると症状は治まったが、以来、パスタやピザを食べて自転車通勤
しても同じ症状が出るように。
国立病院機構相模原病院(相模原市)を受診し、小麦による運動誘発
アナフィラキシーと診断された。
「過去にアレルギーはなかったのでショックだった」と女性は話す。

なぜ突然発症したのか。
この女性の場合、小麦由来成分の「加水分解コムギ末」が配合された
せっけんで毎日洗顔しており、同院の福冨友馬医師は「皮膚や粘膜が小麦
成分に刺激され、アレルギーが誘発された可能性が高い」と指摘する。


加水分解コムギ末は小麦を工業的に加工したもので、せっけんやシャンプーの
泡立ちを良くする。

美容師が運動誘発アナフィラキシーを発症することもある。

厚生労働省は昨年10月、加水分解コムギ末を含む化粧品などについて、異常が
あった場合は使用をやめるよう呼び掛ける通知を出した。


運動誘発アナフィラキシーと診断されたら、誤って原因食材を食べてしまった
後は運動を控えたほうがいい。



これ以外でも、若者や成人は突然食物アレルギーになることがあり、その原因
食材は多様だ。

厚労省研究班の診療の手引きによると、子どもは原因食材は鶏卵や乳製品、
小麦が大半を占めるのに対し、20歳以上は
  (1)カニ、エビなど甲殻類:18%
  (2)小麦:15%
  (3)果物類:13%
  (4)魚類:11%
  (5)そば:7%
の順で多い。

福冨医師は「大人になって発症すると子どもより治りにくく、症状が急激に
表れることも多い。食生活に一層注意が必要」と話す。


http://mainichi.jp/life/health/news/20110223ddm013100247000c.html