市販薬:販売規制強化に波紋 ネット薬局、猛反発 | 横山歯科医院

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[市販薬:販売規制強化に波紋 ネット薬局、猛反発
                  チェーン店側は禁止訴え]

(毎日新聞 2008年12月12日)


<かぜ薬や漢方、胃腸薬、発毛剤・・・>
来年6月の改正薬事法施行を前に、一般用医薬品(市販薬)の
インターネット販売を巡る対立が深まっている。
厚生労働省は安全確保のため、規制の方針を固めているが、11日、
ネット薬局で作る「日本オンラインドラッグ協会」と楽天、
ヤフーなどが舛添要一厚生労働相に反対の要望書を提出。
その直後には、逆に大手薬局チェーン店などで作る「日本チェーン
ドラッグストア協会」などがネット販売禁止を訴えた。
規制緩和を目指す内閣府の規制改革会議(議長、草刈隆郎・日本
郵船会長)も加わり議論になっている。
【清水健二】

市販薬の副作用報告は年約300件。
サリドマイドやスモンの薬害も市販薬で起きた。

川崎市の小倉一行さん(37)は02年2月、旅行前に買ったかぜ薬を
1日だけ飲んだ半月後、高熱や発疹、目の充血の症状が表れ、
スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)と診断
された。
100万人に1~6人という極めてまれにしか発症しない薬の副作用
だが、起きると重症になり、死亡することもある。
復職に1年半かかり、今も視力は0.02程度。
「市販薬にこんな危険があるなんて誰も教えてくれなかった」と
振り返る。

薬事法が1960年に制定されてから半世紀近く。
販売に関する規定は見直されてこなかった。
条文上は薬剤師などがいる店舗のみで販売を認めているが、実際は
薬剤師不在の薬店も多く、法の想定にないネットでの販売も急増
した。

販売体制を抜本改革したのが06年6月に成立した改正薬事法だ。
ところが今年9月、ビタミン剤など副作用の危険が低い「3類」の
薬以外のネット販売禁止を盛り込んだ同法施行規則案が公表
されると、規制改革会議は猛反発した。
主張の根幹は「ネット販売は以前から合法」。
そもそも認める規定はない、とする厚労省の見解と真っ向から
対立する。
「楽天」の関聡司渉外室長は「ネットでも副作用の危険は伝える
ことができ、対面に比べ劣る点はない」と訴える。

ネット薬局40店が加盟する日本オンラインドラッグ協会によると、
通信販売も含めた市場規模は約260億円。
3類以外の市販薬販売が禁じられると、かぜ薬や鎮痛剤のほか、
店舗で買いにくい発毛剤や妊娠検査薬が売れなくなる。
同協会の後藤玄利理事長は「チェーン店に押されネットに活路を
見いだしている中小の薬局は死活問題」と代弁する。

これに対し、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会は
「ネットでは対面販売と同等の安心・安全が確保できない」と
規制賛成を表明している。


<改正薬事法>
06年6月に成立。
副作用の危険が高い順に市販薬を1~3類に分け、1類の販売には
薬剤師による説明義務を課す一方、リスクの低い2、3類は薬剤師
以外でも登録販売者資格(新設)を持つ人がいれば、コンビニでも
売れるようにした。
ネット販売を直接禁じる条文はないが、「対面販売が原則」と
される。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081212ddm041040095000c.html

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[スティーブンス・ジョンソン症候群]
Stevens-Johnson syndrome; SJS
中毒性表皮壊死症<SJS進展型TEN>(ライエル症候群)


<発症状況>
(1)高熱等の感冒様症状や感染症症状後
     ・マイコプラズマ感染
     ・麻疹(はしか)
     ・単純ヘルペス
     ・アデノウイルス
(2)薬剤(感冒様症状や発疹後の服薬を含む)
     ・抗けいれん薬
     ・抗菌薬(抗生物質)
     ・消炎鎮痛薬
     ・感冒薬
     ・原因となる可能性のある薬物は1,000種類以上と推定
詳細な原因は不明ですが、免疫力が低下している状態の時は
要注意です。



<症状>
高熱及び口唇、口腔、眼結膜、外陰部に発赤、びらん、出血などの粘膜病変が見られる。
その後、全身の皮膚に紅斑、水疱、びらんが拡大する。

(1)口唇痂皮・・・・・高率で認められる
   出血を伴うびらん、潰瘍。
   かさぶた様の腫脹。
   乾燥しヒビ割れした状態。

(2)眼球結膜・・・・・高率で認められる
   充血(白目が赤い)。
   兎眼のように赤く、多くは痛みを伴う。
   患者さん自身も、程度の差はあるが、重症感を感じる。

免疫が低下した状態(過労や不規則な生活を含む)、あるいは
服薬した後に、高熱を伴い、上記症状が出た場合には、
  ・皮膚科専門医(できれば入院設備のある)
  ・眼科(できれば入院設備のある)
を受診し、さらに「スティーブンス・ジョンソン症候群SJSかも
知れない」と伝えてください。



<疫学>(2000年 厚生労働省調査)
SJS:100万人あたり年間3人(1億3,000万人換算で年間390人)
TEN:100万人あたり年間1人(同、年間130人)
SJS+TEN:100万人あたり年間4人(同、年間520人)

発症率は極めて低く稀な疾患なので、薬の副作用を過度に心配する
必要はありません。
薬を飲んでも飲まなくても発症する可能性があります。

但し、一旦発症すると他の疾患と鑑別が困難なこともあり、
さらに病気の進行がはやく、後遺症が残ることもあります。
死亡に至ることもあります。
特に眼科と呼吸器科の後遺症が問題となります。



<鑑別が困難な疾患>
  ・水痘(水疱瘡)
  ・麻疹(はしか)
  ・プール熱
  ・ウイルス性結膜炎(眼科)
  ・急性結膜炎(眼科)
等と鑑別困難で本格的治療が遅れたとの報告があります。


<免疫・遺伝>
・マイコプラズマ抗原とヒト組織タンパクとの交叉抗原性による
 自己免疫的機序の可能性
・アレルギーIV型(T細胞)の可能性
・HLA(白血球型)の特定の型に強い相関関係が報告されて
 いるが、民族差があるようである。
 米国FDAでは抗けいれん薬カルバマゼピンの添付文書を改定し、
 一部のアジア系患者さんに対しては、術前遺伝子検査を勧めて
 いる。


[参照]Visual Dermatology SJS特集

(横山歯科医院)

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[SJS 患者会]
http://www.sjs-group.org/

「SJS 病気説明」に症例写真があります。

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