戦争になる前に書いておく日記 | ヨコオタロウの日記
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往時においては、母国のために死ぬことは心地よく、ふさわしいものであると書かれたが、近代戦争では、戦死が心地よく、ふさわしいものは何もない。
諸君は犬のように死ぬであろう。

/ アーネスト・ヘミングウェイ



ものすごくひさしぶりな日記。

で、書くのはよりによって今話題の領土問題。
賢明な人は政治の話なんて書かないんだろうけれど、僕は賢明では無いので書きます。
書いては消し、書いては消しを繰り返してるうちに時間がかかってしまいました。

今日の日記はあんまりデキが良くないので、引き返すなら今のウチに。



最近話題の領土問題。
個人的には領土とか国境というのはとても非論理的な存在だと感じていて。

そこになんで線が引かれているのか?という理由を遡ってみても、ジャイアンみたいな強い奴が、強くない奴を征服して出来た境界線でしかない訳です。まあ例外もありますけど。

デカイ国もあれば、小さい国もあります。人が多い国もあれば少ない国もある。
どれが良い悪いなんて話はなくて、ただパワーゲームの果てに確保した場所だと言うだけです。



そうやって広げた場所に執着する事は別にいいんですよ。全然いい。
自分が所属する特定のグループを好むのは人間の特性です。
出身地や家族を愛するのは人としてメジャーな感性な気がします。

その境界が決定付けられたのは大した理由はなくても、その境界に思い入れを持つ事は人として正しい感情な気がします。

でも、そのキモチを「相手を殺したい」というキモチまでエスカレートさせるのは良くない。



今、日本は何カ所かの国と領土問題を抱えています。
それが多いのか少ないのか良く判りません。

外交に失敗した結果、もしかしたらそうした領土を失うかもしれない。
もしそうなったら大変な失政です。許されない。
全く同じ事を周辺諸国も思ってると思いますが。

そんな中、とても幸いな事に、今僕等は殺し合おうというトコロまでは至っていません。
日本でデモをしている人達も、中国でデモをしている人達も、実際に相手の国に行って相手の脳天に弾を撃ち込んでころしてやりたい!とまでは思ってない(と思う)わけです。



でも、憎悪がある一定のラインを超えると、雪山を転がるよう雪玉の様に状況が悪化していき、やがて僕等は殺し合いを始めます。歴史を見ると何故か人間というのはそういう風に出来てるっぽいんです。

ある程度の文明がある近代に至っても酷い殺し合いが行われたりしました。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争「民族浄化」
http://bit.ly/aqf7BL

読んでもらえれば判りますが、どこにも理なんて無い、滅茶苦茶でバカバカしく反吐が出るような行動です。こんなの許していい訳が無い。



どうすればいいのか?と言われても良く分かんないです。
でも

「どんな理由であれ、殺し合うのは止めよう」

って言って通じない人達ってそうは多くない。と思います。
だから、政治家もデモの人達もあらゆる主張を自由にした後に「でも殺し合いだけは止めよう」って口にすると。もちろん敵対国にもそれを勧める。

どんな事を言い合ってもいい。けれど「でも殺し合うのは間違ってる」ってひたすら口にする。領土問題も民族問題も大事だけれど、それらを「殺し合って解決する」事は「間違っている」という事をひたすら伝える。

それがお互いに伝われば「最悪のケース」は免れる訳です。



今はそんな基本的な合意すら全然なされていない。
だいいち、その合意を取る努力を今までに一度もしてない。

ともすれば「親兄弟が殺されたらどうする」とか「そのまま侵略されたら」というIFの世界を妄想して憎悪を蓄積する訳です。

各国の中には力で領土を広げたいと思っている国もあるでしょうから、そういう国の政治家は「殺し合ってでも解決したい」と思っているでしょう。
でもその国民はどうか?本当のところは「殺し合ってまでなんとかしたい」とは思っていない気がするんですよ。

狂ってる政府は居ても、最初から狂ってる大衆は居ない。

だから、まずは「殺し合いまでやるのはやめようぜ」メッセージをその国の中まで伝える訳です。領土の境界の正しさではなく、まずは「殺し合いをしない」事の正しさを訴える方法を考える。領土問題の議論はそこから先でいい気がするんです。



ボスニア・ヘルツェゴビナの人達が強姦をしてまで支配地域を広げようとしたのは、彼等が愚かだからではありません。憎悪は人間の理性を簡単に壊すんです。
イスラム圏の西欧に対する憎悪も、もう取り返しがつかないところに行ってしまいました。

でも、僕等はまだ違う。
手遅れになる前に、今のうちに憎悪の坂道を引き返さないとダメだと思うんです。
本当に。



岩手と秋田のある地域では、県境を毎年綱引きで移動させているとか。

県境懸け綱引き 接戦、秋田に軍配 (10/04)
http://www.iwanichi.co.jp/kitakami/item_20616.html

県境の変更自体はお祭り上の形式的なものだと思います。けれど盛り上がりそうですね。
国家間の領土問題もこんな気楽な戦争だったらいいのにな、と思ったりする今日この頃です。

それでは。



オマケ

最近話題になっているこれ↓

「日本鬼子」中国オタクへ侵攻開始
http://blog.livedoor.jp/kashikou/archives/51593329.html

頭イイなあ。
民族的憎悪に萌えをぶつけるという滅茶苦茶な発想にシビれます。


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