CGクリエイターの利権 | ヨコオタロウの日記
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僕は夢はないんですよ。そんなこと言うと何だかわびしい人間みたいだけど、
僕は夢を作る側の立場だから。

/ ジャニー喜多川



ということで、CGクリエイター「だけ」が活躍出来る王国を作る事が出来るのか?を考えてみます。書きながら考えるので、結論が出るかどうかは不明。



各コンテンツの弱点をツラツラと書き出してみます。
あくまでパーッと思いついた内容という事で。


映画
  ・映画館というブランドに固執している。
   ・劇場でやれる事の限界を超えられない。
   ・全ユーザーに同じ物しか提供できない。
  ・操作出来ない。
  ・時間が2時間でほぼ固定。
  ・ストーリーを語る必要がある。

ゲーム
  ・操作しなくてはいけない。
   ・技量によってコンテンツを楽しめる度合いが変化しやすい。
   ・ユーザーに統一した体験を提供出来ない。
  ・ゲーム専用のハードウェアかPCが必要。
  ・プレイ時間が長め。

アニメ
  ・動画枚数を増やしづらい。
  ・完成したカットのアングルを変えるのに大きなコストがかかる。
  ・現実感を出すのが難しい。
  ・TVでは時間が30分でほぼ固定。
  ・操作出来ない。


上記弱点を突く要素にすればバッチリだけれど……うーっ。強いなー、こいつら。CGを取り込んだ上で相互補完しちゃってて、ツケ入る隙が無い。強いて言えば「アウトプットにテレビを使わない」とかか……むーん。



煮詰まったので、ちょっと気分転換(速っ)。
CG系でそれなりに成功している会社を考えてみます。

まあ、成功しているCGプロダクションと言えば Pixar ですか。
あれは「劇場向け子供向けアニメ」っていうディズニー独占の場所に、CGっていう武器で突っ込んでいった訳ですよね。想像ですけど「子供向けアニメはいつかフルCGになる」っていう考えの下にディズニーと手を組んで一気に独占しちまおうという腹だったと思います。

その思惑は成功して、Pixar は立派なディズニーの子会社に……あれ?取り込まれてるじゃん。いや、資本は資本として考えればいいか。
かくして Pixar はCGクリエイターの居場所を作ったと。

日本でこの仕組みを丸パクするとすれば、ジブリでフルCGアニメって路線でしょうか。宮崎駿はCG嫌いなので、死後に電通あたりが仕掛けてくる予感。



そういえば、の宮崎駿。

宮崎駿監督iPadについて「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」と語る
http://blogs.itmedia.co.jp/yasusasaki/2010/07/ipad-ab70.html

自分が使わないのはいいけど他人が使ってるモノに対して文句を付けるのはなんかアレだなー……と思ったけれどじっくり考えてみると宮崎駿という巨大ブランドが便利な道具を一つ捨てる事を公言している訳だから使いこなしている若い世代にはメリットのある話かもーもしかしたらこれは宮崎先生から次の世代へのプレゼントかしら?さすが先生そこにシビレ(以下略



ああ、そういえば国内ではアップルシードとかベクシルがありましたね。
手がけている曽利文彦監督はTBSの社員だかプロデューサーだかの人。
確かに自分が出資側に近付けば居場所は確保出来るなー。それをやれる人はあんまり多くないと思いますけど。

オマケの過去日記

 過去に書いたベクシル感想。
 http://ameblo.jp/yokota6/entry-10427817980.html

 その前に書いたベクシルの予想。
 http://ameblo.jp/yokota6/entry-10045788953.html

ワガナ ハ ベクシル……



気分転換終了。
冷静に考えるとプロデューサーになったり宮崎駿大先生の死を待ったりしていられないので、新しい市場を作る必要があるわけです。あるわけですが、やっぱりいくら頑張ってもアウトプットがテレビである限りは限界があるなー。

カメラ変更やデータ変更の簡単さを活かして「カメラ自由移動動画」「可変速動画」「着せ替え動画」なんかも考えてみましたが、そのアプローチだとゲームに勝てませんね。グラフィックのクオリティなんかも、もうゲームのリアルタイム映像でも十分に満足出来る状態ですし。

もう一回上の制約を見るか……



お、思いついた、気がします。
それは「CGキャラの芸能事務所」。
いやいや、そこ。まだ席を立つのは早い。まってー。

ハリウッドの俳優や、アニメのハルヒみたいにキャラクターが商品としてコンテンツから独立した価値を持つ事は良くあるじゃないですか。未来のコンテンツは仮想俳優が必ず市場の何パーセントかを占める訳ですよ。そんなの判っている話で。

なら、そこをCGクリエイターが牛耳る事が出来れば儲かる訳じゃないですか。
映画だって過去には映画会社が俳優を抱えていたのを、俳優供給はアウトソーシングに変えていった訳ですし。

幸いな事に、他のコンテンツはメディアの限界を超える事が出来ない。ゲームがアニメ放映された瞬間にそれはアニメになってしまう訳ですから。
だけど俳優ならそんな心配は杞憂な訳です。ゲームでも映画でもアニメでも自由自在に出られる。むしろ映画のように俳優が他のメディアを従える構図も期待出来る訳です。

時代は一周回ってバーチャルアイドルですよ。
仮想世界のジャニーズ事務所を作って利権を貪ろう!



じゃあ、どうやって牛耳るか?
そもそもそんな事は可能なのか?
については、長くなったので次回。