説明手法を考えてみる 「わかりやすくしよう篇」 | ヨコオタロウの日記
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いいアイディアなら、いいからやってしまえ。
許可を得るより、謝るほうがずっと簡単だ。
/ マーレイ・フーパー



最近、何人かの若手の人のゲーム企画説明を聞いていたんですが、すごくわかりづらい。耳に入ってきません。そして面白く無い。何故そうなのか?どこに問題があるのか?

おそらく、これは僕が他人に話している時も起こっている現象で。
単に自分で自覚出来ないだけ。自分では分かり易くて面白いと思ってる、けど、他人にはそう聞こえない。他山の石は青く見える(?)。

どうすればいいのか?
、をちょっと整理して考えてみる実験。



対応しなければいけないと思う問題点は3つ。

 ・わかりづらい。
 ・面白く無い。
 ・興味を持てない。

一個づつ潰していこう。
※こんなのネットを探せば出てくるかもしれないけど、何事も自分で考えてみるのは大事だと思う派閥。



まず最初に「わかりづらい」点。
若手の説明を「旅行の商品説明」とかで例えてみる。

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このツアーはですね、新宿のロータリーで皆さん集まってもらいます。
そこでバスにのり、関越道をずーっと北上します。
高速を降りたらホテルで一度荷物を下ろして頂きます。
無料のレンタルスキーを借りたら、そのままアルツ磐梯のゲレンデに行って頂きます。リフトはフリーパスポートで乗って頂けますので、リフト代はかかりません。
・・・どうですか?
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どうですかもクソも無いです。
これだと4行目までスキーツアーだって事が判りません。
つまり4行目までは、何の事を話してるのか判らない状態で話を聞かなくちゃいけない。
せっかちな人なら2行目あたりでキレます。

このダメな例を(説明A)とします。



それに対して、分かり易い説明(説明B)ってのはこんな感じ。

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このスキーツアーなんですが、行き先はアルツ磐梯。
バスで楽々一本で行けるうえ、お値段もお得ですよ。
出発地やご予算のご希望はありますか?
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情報は少ないですが分かり易い。別に何の問題も無い。
この後に続くパターンで話を広げるので、最終的な会話の形態は以下のような感じ。

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 >予算
  総額●●円ですね~
   >ホテル代とレンタルスキーとリフト一日券が付いてきます。
   >他のツアーだとここまでパックになっていないんでお得ですよ?

 >出発地
  新宿からバスでゲレンデまで一本です。
   >寝ていけますし、高速ですぐですよ。
   >電車だと駅からホテルまでまたバスを待ったりして面倒ですからね。
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このAとBの二つの差異は

 説明A「順序よく正しく全てを説明する」
  >全体を聞かないと話が見えない。

 説明B「大雑把な内容から詳細に進む」
  >途中で切られても話が見える。

「途中で切られても話が見える」ってのはつまり、聞き手にとっては「どの地点でも話が見える」という事。こうした、説明Bの構造を取り出すと、

・分かり易くする為に。
 >概略から説明する。
 >説明の1ユニットを小さくする。

そうする事で、どこで打ち切られても全体が理解出来るようにすると。



概略→詳細 という構造と、説明を小さくユニット化するにはインデント付きの箇条書きが向いてるんじゃないだろうか?何かいい例は無いかな。

えーと、じゃあ僕が好きな「シャンティカレー」ってのがあるんですが、どういうカレーかを構造化して書いてみます。

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表A「階層シート」

1・カレー
 2・ケータリング
  3・会社に配達してもらっている
   4・配達は毎週火曜日
    5・注文は毎週月曜日
  3・800円~1000円程度
 2・ルーはサラサラ系
 2・ココナッツ風味エスニック味
  3・タイカレーほど辛くない。というか、全く辛くない
   4・若干甘みを感じる
   4・辛さはトッピングで追加可能
 2・トッピングとカレーが別
  3・基本は3種のメイントッピング
   4・トッピングは「唐揚げ」「トマト」「そぼろ」
   4・日替わりのトッピングも存在する
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数字は階層の深さ。階層が付いてる項目は、浅い階層の前提が必要。
これだけ見ても理解しづらいので、階層の深さ順に並べ直してみる。

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表2「プレゼン用順序」

1・カレー
 2・ケータリング
 2・ルーはサラサラ系
 2・ココナッツ風味エスニック味
 2・トッピングとカレーが別
  3・会社に配達してもらっている
  3・800円~1000円程度
  3・タイカレーほど辛くない。というか、全く辛くない
  3・基本は3種のメイントッピング
   4・配達は毎週火曜日
   4・若干甘みを感じる
   4・辛さはトッピングで追加可能
   4・トッピングは「唐揚げ」「トマト」「そぼろ」
   4・日替わりのトッピングも存在する
    5・注文は毎週月曜日
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これなら、2の段階まで辿り着ければ重要なポイントは判る。
この「途中で切れても大丈夫」ってのが大事。
そこで、相手が食いついてくる部分があればその部分、例えば「ケータリング」→「価格」とかに掘り下げていく(食いついてこなければ順番に説明する)

ただし「プレゼン用順序」だとそうした対応順序がイマイチ見えてこない。
だから、手元に持つのは「階層シート」であるべきだ。



ということで、お手製「わかりやすくする」メソッド。

 ・全体像を細分化して箇条書き。
 ・意味の階層を付ける→「階層シート」
 ・プレゼン時には「上から順番」ではなく「階層順」に説明。
 ・相手が食いついてきた項目の階層は掘り下げる。

よし。まとまった。
今度自分でこれをやってみよう。
上手く行ったら報告します。



長くなったので

 「面白く無い」
 「興味を持てない」

問題についてはまた今度。



最近長くて押しつけがましい日記ばかりになってる気がする……これが歳を取るという事デスカ。
加齢恐るべし。