横浜の歯科医師、Nです。

世の中には、歯を殆ど磨かなくても虫歯にならない人が、人口の3パーセント程存在します。

以下のリンクから動画に飛べます。
http://www.youtube.com/watch?v=Dfd5crP1jdI
 虫歯の原因がミュータンス菌による感染ということは再三書いていますが、彼らの口の中にはミュータンス菌が殆ど存在していないのです。

 人間は、生まれた時には口の中にミュータンスをはじめとする虫歯菌はいません。ミュータンス菌は歯の表面にしかくっつけないのですが、生まれたばかりの時には歯が生えていないからです。

 では、どこから虫歯菌が来るかというと、両親から感染するのです。

 虫歯にならない3%の人は、両親にもまったく虫歯がなく、口の中に殆ど虫歯菌がいないことがわかっています。

 生後1~3歳くらいに歯が徐々に生えてくるのですが、そこは「感染の窓」と呼ばれ、虫歯菌の感染リスクが非常に高まります。

 その時期を過ぎると、お口の中の菌が安定した状態になり、虫歯菌が入ってきてもそれほどは増えないと言われています。

 虫歯菌がいないご両親であればいいのですが、虫歯菌のある(過去に虫歯の経験がある)ご両親から感染させないようにしなければなりません。

 同じスプーンやお箸で食事をしない、同じお皿をつつかないという指導をしている先生もいますが、私は現実的にはそれは難しいと思いますし、よその人や子どもとご飯を食べる機会もあるでしょう。「虫歯菌がうつるから、ウチの子はよその人とは食事をしません。(あるいは、同じお皿をつつきません)」と言うのも、角が立つのでなかなか難しいでしょう。

 では、どうすれば良いかというと、子供が生まれる1年前からご両親、一緒に食事をする機会が多いであろうおじいちゃん、おばあちゃん全員のお口の中から虫歯菌を極力減らし、感染の確率をさげます。

 具体的な方法としては、全ての虫歯をちゃんと治療し、キシリトールガムを理想的には1日4回以上噛んでもらうのです。

 そうすれば、家族から虫歯菌が感染する確率はぐっと下げることが出来ます。

 あとは、赤ちゃんの歯が生えたらキシリトールタブレット(ガムは飲み込む危険があるので、赤ちゃんには避けたほうがいいでしょう)を与え、家族以外から仮に虫歯菌が感染した時でも、すぐ虫歯菌を減らせるように備えておけば良いのです。
 
 虫歯にならない人は、家族の努力次第で作る事ができます。
 では、削らない、抜かない為には具体的にどうすればいいのか?


 穴が空いている、痛い虫歯に関しては、削るしかありません。

 ごく小さな、痛みのない虫歯、虫歯になりかけのものに関しては、必ずしも削る必要はない、と考えています。

  初期の虫歯であれば、再石灰化という働きがあります。表面をなるべくキレイに保ち、フッ素を塗り、キシリトールガムを噛むことでお口の中の虫歯菌を減らす ことで、初期の虫歯の表面に唾液中のカルシウムがくっつき、きれいな歯に戻る、あるいは進行が止まる、ゆっくりになることをいいます。

 また、古い詰め物と歯に段差ができていたり、プラスチックが変色している場合、先生によっては「やり直しをしましょう」と言われることがありますが、これも絶対にそうしなければならない訳ではありません。

 確かに、詰め物と歯の間に段差があれば、汚れがたまりやすくはなります。

 虫歯になりやすい、歯周病が進行しやすいというデメリットはありますが、新しい詰め物に替えるために、再度歯を削ることになります。

 場合にも寄りますが、歯を削ると

 つめもの→かぶせもの→神経を取って差し歯→抜歯

 というサイクルをたどります。

 大きな穴が空いていたり、痛みがあれば虫歯を削り、新しいつめもの、かぶせものにすることは必要ですが、現状で痛みがなく、お掃除で現状維持できる可能性があるのであれば、やたらと削ってサイクルを加速させる必要があるのでしょうか?

 私は、多少の段差であれば、段差を磨いてなめらかにすることでも良いのではないか?と思います。

 もちろん、段差のある部分は虫歯になったり、歯周病が進む危険は健康な歯と比べると大きいので、ご自身での歯磨き、生活習慣の改善、定期的な歯科医院でのチェック、お掃除等気をつける必要はありますが。


 プラスチックの変色に関しては、変色があれば材料が悪くなっている、プラスチックと歯の間に隙間ができているとみなし、つめかえるという考えがあります。

 私は、表面を磨いて着色が取れればそれでいいし、多少の変色があったとしても、穴が空いていたり、痛みがなければ、定期的にお掃除に来る、という条件付きで様子を見てもいいのではないかと思います。

 削って、着色して、詰めてを繰り返していると、健康な歯がどんどん小さくなっていくからです。


 削って詰めることだけでなく、そもそも何故虫歯になったのか?虫歯にならないためには、あるいは小さい虫歯を進行させないためにはどうしたらいいのか?治療だけでなく、健康づくりから考えるほうが先ではないかと思います。

続く  


 お怒りごもっともです・・・。

 怒りのポイントを、分けて解説します。

 なお、解釈が別れる部分もありますので、以下の文章は歯科医師全員の意見ではなく、私個人の意見であり、先生によっては異なる意見もあるということをお断りしておきます。

「ちまちまと治療」というのは、患者さんの不満の中で大きなものです。

 私は、隣りあった歯であれば、一度に治療することのリスク(痛みが出る確率が上がってしまうこと)を説明の上で、同意があれば3~4本一気に治療することもありますが、予約の混み具合、先生の方針等でちまちまになってしまうこともあります。

 また、根の治療のように、痛みはなくても根の中が完全にきれいになるまで、回数がかかることや、見極めを行うために段階的に治療を進めざるを得ない場合もあります。

 
「不具合が生じたら~管理がなってない~」ですが、患者さんからすれば「一度直したのに、なぜまた痛くなるのか?下手な治療だったからではないのか?」と疑問を持つのは当然でしょう。

 歯科医師の立場からの言い訳としては

・一度直したとはいえ、人工の材料は、天然の歯に比べると強度、虫歯、歯周病に対する抵抗性に劣る。

・そもそも、歯になにかトラブルがあって治したということは、歯磨きを含めた生活習慣、咬み合わせ等に変化がなければ、同じようにトラブルが起こる事はありうる。

 というものです。

 ただ、これを後から言うと言い訳に聞こえてしまうので、治療前、治療中、治療後と、何度も言葉を変えて説明するようにしています。

 事前の説明があれば、再治療になったとしても、それほどは怒られません。

 もちろん、再治療になってしまった時は、申し訳ない気持ちで一杯なのですが・・・。


「立てつけが~大工は普通無償で~」

 治療の種類にもよるのですが、原則として保険診療においては「やりなおしだから無料」という考えはありません。

 一応の基準として、詰め物であれば半年、被せ物であれば2年以内は「保険が適用されない」ので、無料で治療をすることはあります。

 やりなおしも、昨日の治療のやりなおしなら無料もアリでしょうが、3年前の治療のやりなおしを無料でというのは難しいでしょう。

 では、一ヶ月なら?半年なら?1年なら?となると、ケースバイケースです、という言葉で逃げるしか無くなってしまいますが…。

 私は、再発の可能性が高いと思われる場合は、「治療のやり直しになることもあるし、やり直しでも費用が発生することもあります」と説明するようにしています。

 
 歯科医師をやっていると、このような不満を訴える患者さんに接することはよくあります。

 そのような事柄も「削りたくない、抜きたくない」という考えに至った理由です。
 
 横浜の歯科医師Nです。

 横浜 削りたくない歯科医師日記より再掲です。



 削りたくない、抜きたくない歯科医院にしたいと考えているのですが、その理由からお話していきます。

 
 歯科医師になって、虫歯の上手な削り方、詰め方、歯の抜き方、インプラントのやり方等々、悪い部分を取り除き、人工の材料に取り替える方法を学び、実践してきました。

 何本削り、抜いたかは覚えていません。

 どれだけ上手に削り、セラミックのような耐久性の高い材料を作っても、天然の歯には劣ります。

 インプラントも同様に、上手にインプラントを埋入しても、天然の歯には劣ります。

 
 そこで

「上手に削ったり、抜くことを追求するより、削らない、抜かない事を考えた方が、患者さんの為になるのではないか?」

 と考えるようになりました。


続く。
 横浜の歯科医師、Nです。

 治療とは少し離れますが、医療を含めたあらゆる仕事で最も大事なことは、整理整頓だと思っています。

 経営セミナー等で有名なダスキン代理店武蔵野社長、小山昇さんが著書やセミナーで何度も語っていることです。

 小山さんは「環境整備」と読んでいますが、整理整頓の徹底と同じと思ってもらって構いません。

 私の整理整頓に関するモットーは「どんなボンクラが見ても、どこに何があるかひと目でわかるようにする」ということです。












 
 発泡スチロールに、置くべき物の大きさに穴を開けます。(東急ハンズとかに、専用の電熱線が売っています)

 置くべき物の名前を、テプラで貼っておきます。

 こうすれば、物があるのか、ないのかが、どんなボンクラがみてもひと目でわかります。

 また、所定の場所に置くべき物以外を置こうとしても、発泡スチロールの穴に合わないので、物理的に入りません。間違いが起こる確率を減らすことができます。


 ホウキ、ちりとり等の大きいものは、極力フックにぶら下げるようにします。その際も、必ずテプラで名前を貼り、置く場所を明確にします。

 高いところの棚に在庫類を置いていますが、棚の扉はすべて外します。扉の中が見えないと、どーしてもモノを詰め込みたくなりますし、扉で隠れていると、在庫の量が把握できないからです。

 扉がなければ、在庫の量は誰が見ても明らかです。

 このように環境整備(≒整理整頓)を徹底することで、モノを探して右往左往するようなムダを防げますし、在庫管理が「見える」ことで、容易になります。

 こういったことは、直接歯科治療とは関係ありませんが、整理整頓ができていないと、モノを探してうろちょろする羽目になり、患者さんと向かい合う時間が減ってしまいます。

 横浜の歯科医師、Nです。







 作りかけのスライドの一部です。

 治療から予防へ、というコンセプトは、画像のような感じでご理解下さい。


 横浜の歯科医師、Nです。

 では、某所に開業予定の歯科医院は、どのような歯科医院でしょうか?

 一言でいうと「治療から予防へ」の歯科医院です。

 虫歯を削り、埋め、またそこが虫歯になって削り、埋め…。

 また、歯周病がひどくなってから来院し、どーにもならなくて抜き、ブリッジ、入れ歯になり、また隣の歯がグラグラになって抜き、総入れ歯になり…。

 精度のいいセラミックの詰め物、かぶせものはありますし、歯が抜けてしまったらインプラントも可能です。私自身もセラミックのかぶせもの、インプラントもやっています。

 よりよい治療法を追求するのは素晴らしいことですが、そもそも

・なぜ虫歯になったのか?

・なぜ歯周病が悪化したのか?

 根本の原因をどーにかしなければいけないのではないか?そういった考えから

「治療から予防へ」

の歯科医院を作ろう!と思い立ったわけです。

 具体的にどのようにやるのかは、また後日。
 横浜の歯科医師、Nです。



 横浜近辺、某所で歯科医院を開業することになりました。

 歯科医院の開業ドキュメンタリーブログです。

 色々と差し障りがある部分はぼかしたりすることもありますが、おおよそ実録だと思って下さい。

 今回は、開業場所の写真のみです。