オデッセイ  2016年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督  リドリー・スコット

脚本    ドリュー・ゴダード

原作    アンディ・ウィアー『火星の人』(ハヤカワ文庫SF)

 

キャスト
マーク・ワトニー     マット・デイモン。
メリッサ・ルイス     ジェシカ・チャステイン。
リック・マルティネス   マイケル・ペーニャ。
ベス・ヨハンセン     ケイト・マーラ
クリス・ベック       セバスチャン・スタン
アレックス・フォーゲル アクセル・ヘニー
ミッチ・ヘンダーソン   ショーン・ビーン

アニー・モントローズ   クリステン・ウィグ
テディ・サンダース    ジェフ・ダニエルズ
ミンディ・パーク   マッケンジー・デイヴィス
ビンセント・カプーア   キウェテル・イジョフォー
リック・パーネル      ドナルド・グローヴァー

 

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=3nb1nw8kCj4

 

 

クルー紹介。本編には出て来ない。
特別映像
特別映像2
 

感想
ちょっと毛色の変わったサバイバルもの、といった位置づけか。
宇宙服が損傷して死んだと思われたワトニーがどうして生きていたか、血が固まって服の穴も塞いだというアイデアは、まあスレスレOK。
パス・ファインダーを掘り返すのも設定として良かった。

 

生き延びるための食糧問題。緊急度は低いが、結局死が確実に見えているという恐怖感、虚無感。

宇宙服姿で夕日をじいっと見つめる姿が印象的だった。

 

そんな中でもバックに流れる80年代のディスコサウンドが妙に心地よい。
ビークルでの移動実験で、暖房を入れないと走行距離は稼げるが、タマまで凍ると悲観的になった後、エネルギー源として住居の外に埋められていたプルトニウム容器を積み込み、熱源に。それでルンルンになった時に流れる音楽がドナ・サマーの「ホット・スタッフ」。これには笑った。
ラストの「I Will Survive」はある意味ハマり過ぎで陳腐になってしまったか・・・・この曲はやっぱり「リプレイスメント 」が一番似合う。


ただ例によってツッコミを
①火星のガスは薄すぎてあんな嵐になんかならない。ただこれ否定するとドラマが始まらない・・・
②爆発した菜園を簡単なシートで塞いでいたが、火星の気圧は地球の1/100。せめてもう少しハードな隔壁で修理しないとホントらしさがない。
③中国が輸送ロケットを提供する設定なんて、なんかアメリカがすり寄ってる感じがあってビミョー。そういえば「ゼロ・グラビティ 」でも中国の協力が強調されてたな。

 

挿入曲の一覧
Vicki Sue Robinson - Turn The Beat Around
Donna Summer- Hot Stuff
The Hues Corporation-Rock The Boat 
THELMA HOUSTON~DON'T LEAVE ME THIS WAY
Abba - Waterloo
Love Train - The O'Jays (1972)
I Will Survive - Gloria Gaynor (1978)
 

詳しすぎるあらすじ
 

あらすじ
火星での探査計画「アレス3」。6人のクルーで探査中、大砂嵐に襲われる。全てのミッションを放棄してMAV(帰還ロケット)に乗り込もうとするが、ワトニーは折れたアンテナの直撃を受け、嵐の中に飛ばされる。宇宙服内の酸素が急激に減少するセンサー反応。1分以内に彼が死ぬとの判断で、機体が倒れる寸前にMAVは離陸。クルー5人は何とか母船のヘルメス号に戻る。NASAの指示でそのまま計画通り地球への帰途に着くヘルメス号。

 

嵐の収まった砂漠で意識を取り戻すワトニー。腹にアンテナが刺さっていたがそのままにして、短期滞在用の住居ユニットにたどり着く。宇宙服に穴が開いたが、出血の凝固で空気の洩れが塞がれたため命びろいした。
応急処置により何とか危険を脱したワトニーは、それから毎日日々の行動について記録。次のミッションであるアレス4が到着するのは4年後。
住居ユニットには1人当り20日程度の食糧しかなく、6人分を1人で消費しても120日。水、酸素もそれに見合った量しかない。
ワトニーは植物学者であり、食糧庫にあった感謝祭用のジャガイモを栽培して生き延びるアイデアを実行。火星の砂とクルーの排泄物(真空パック入り)を使っての土作り。水と酸素は大量に残っている燃料から生成、エネルギーは残された太陽電池から蓄えた。
退屈な日々を紛らわすため、メリッサの残した80年代ディスコの曲を延々と聞くワトニー。

 

地球ではアレス3からの報告を受け、ワトニーの死去を発表。
火星の探査部周辺をチェックしていたエンジニアのミンディ。住居スペースで何らかの動きがある事を確認。

そしてワトニーが生きている事を知るNASA関係者。

地球との交信手段がなく、ワトニーは何とか自分の生存を伝えるため、行動を起こしていた。
NASAでもワトニーの行動を察知。ある方向を目指してビークルを走らせている。統括責任者のビンセントはその目指す場所から、ワトニーが1997年の火星探査で投入された「マーズ・パス・ファインダー」を交信用に発掘しようとしている事を知る。
NASAの資料庫に行き、スペアのパス・ファインダーを確保。火星と地球での同時復活作業の末、稼働開始した。だが搭載されているのはカメラとそのアクチュエータだけ。ワトニーは「メッセージを理解したらカメラを右に振れ」とボードに書く。動いたカメラに喜ぶワトニー。だがYES、NOだけでは細かい情報伝達は難しい。カメラの1周を16等分し、アスキーコードで文字変換する事を思いつく(ヨハンセンがコード表を残していた)。
その交信により、ビークルに搭載されているシステムと組み合わせる事で、テキスト文字での交信が可能になるとのNASA情報を得て対応。ようやく普通の会話が出来るようになる。

 

ワトニーの生存は全世界に伝えられた。救援のための行動が始まる。ワトニーは自分が生きている事をクルーは知っているかと聞く。クルーには伝えていないと答えるビンセント。汚い言葉で罵るワトニー(全世界にそれが流れる)。
救出の前に救援物資を送るため、急ピッチで輸送ユニットの製造準備が始まる。時期を見てその事が帰還途中のクルーに伝えられた。「私が置き去りにした」涙を流す船長のメリッサ。
突貫工事で救援ロケットが完成し、無事に発射された。だがチェックを省略したため、搭載した荷物が中で移動してバランスを崩し、ロケットは爆発。
この報を受け、中国の国家航天局が自国のロケットを提供しようと申し出る。

 

悪いことに、火星での菜園にしていたエリアが爆発を起こして、中のジャガイモが全てダメになった。
帰還計画の可能性が低くなる中、ワトニーはメリッサに向け、地球に戻ったら両親に自分の事を伝えて欲しいとメッセージ。

そんな折り、JPLのリックが、ワトニーを生還させるプランをヘンダーソンに持ち込む。帰還途中のヘルメスをスイングバイで増速させ、その時に中国のロケットで必要物資を補給、火星ではアレス4のために既に準備されている別のMAVで飛び、宇宙空間で回収し、戻るというもの。
1人のために5人の命を危険にさらせないと長官は却下。

 

帰還中のヘルメス号。クルーの家族メールの中にJPEG以外の情報があり、何とか開くとヘルメス号を使ってワトニーを救出する計画だった。メリッサはクルーを集めて意見を聞く。NASAが却下した計画であり、勝手にやれば処罰されるかも知れない。また地球への帰還が更に数百日遅れる。
だが残りの4人は迷いなく賛成。救出作戦は開始された。
なし崩し的に計画は承認された形となり、ヘルメス号はスイングバイを行いながら中国からの補給を受け、再び火星に向かう。

 

一方ワトニーは、爆発した菜園を再び整備して食糧作りを再開していた。破壊された扉をシートで覆い、気密確保。
またアレス4用のMAVが設置されているところまで3000km以上を走らなくてはならない。ビークルを長距離移動用に改造するため、NASAも地球上のビークルに同様の改造を行って再確認。

準備が完了し、MAVに向かうワトニー。4時間走行、13時間充電というパターンの繰り返し。
だがMAVには課題があった。本来低軌道の母船に到達出来ればいいだけの設計のため、今回タスクの様に高い軌道に乗せるためには重量を5000kg軽くする必要がある。船内の備品を全て外し、コントロールパネルも外してヘルメス号からの遠隔操作で行う。「冗談か」と驚くワトニー。

 

MAVに到着したワトニー。予定通り備品をどんどん外して行く。がらんどうになったロケット内で出発を待つ。
ヘルメス号最接近の少し前にロケット発射。急激なGでワトニーは気を失う。
MAVは予定より高度が取れず、ヘルメス号との距離が500m以上もあった。意識を回復したワトニーが、指の手袋に穴を開け、推進力でそちらに向かうと言うがメリッサは拒否。スラスターで近くに寄せようとするが、今度は速度が出過ぎてしまう。減速が必要だが逆噴射には過大な燃料を消費し、帰還リスクが増す。さっきのワトニーの言葉を思い出すメリッサ。クルーに船内の手持ちの材料で爆弾を作るように指示。

 

砂糖と液体窒素(?)をポットに入れたもの(ダイナマイトの5倍の威力)を分離可能な船首にセット。その爆破によるガス放出で減速出来、ワトニーとの相対速度が回収可能なものに縮まる。
メリッサ自ら救出に向かうが、命綱が短くて届かない。ワトニーはさっき言った「アイアンマン」作戦を敢行。最初コントロール出来ずにバラバラな動きをするが、何とか命綱を掴むことが出来た。
そしてワトニーは船内に。

 

エピローグ
生徒の前で講義をするワトニー。宇宙で生き残るためには、課題をひとつづつ解決していく、と話す。