NHKスペシャル「真珠湾攻撃の謎」12月8日放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

太平洋戦争についてはゼロ戦の辿った軌跡を追ったこちら で紹介しているが、開戦前は米国から石油供給封鎖をされ、追い詰められた結果だと思っていた。

だがその裏には英国を始めとする各国の情報戦が飛び交っていた、という話。英国の情報公開制度により続々と当時の情報が明らかになっている。


フレデリック・ラットランド。大戦前に日本のスパイとしてビバリーヒルズに在住(コードネーム「新川」)。スパイ工作の元締めは海軍武官「横山一郎」。
英国は日本が東アジアに侵攻するという情報を入手し、それを元に米国へ日本に対する制裁措置を働きかける。

英国はドイツとの戦いに苦戦しており、その戦いのために暗号解読を重要視。ドイツ軍が使用していた暗号「エニグマ」。絶対に解読出来ないとされていたが、初期の電子計算機によりこれを解読。様々な作戦において有利に活用した。
進言に対して当時の米世論は反対だった。英国はこの情報をマスコミにリークし、ニューヨークタイムスの記事になる。
大使を使って日本に事の次第を問い質す英国。驚いた日本軍部は侵攻を遅らせる。
横山の部下が海外で様々なトラブルに巻き込まれる(英国の画策)。止む無く横山は武官室を閉鎖。
この間に英国は米国に対し対日経済制裁を進める様交渉。ルーズベルトは当初反対していたが、解読文書を見せられて同意。
11月末にハル・ノートが日本側に提示されたが、それは受け入れ難いものであり、東條は開戦に踏み切る。


ハル・ノートの裏側。当時欧州の戦争が拡大し、独のロシア侵攻が進んでいた。その戦いのため、ソ連にとって関東軍が脅威だった。ソ連は米国に進言し、ハル・ノートの内容が変化。元々は日本の中国、南仏、インドシナからの引き上げであったのが、日本が中国以外への侵攻を止めれば20億ドルの借款を行う暫定協定案を出す予定だった。これに中国(蒋介石)が反発(日米を妥協させてはならない)し電報を打った。


日本による南仏への兵力が増強されているとの誤情報。実際には通常の移動だったのを過大評価してルーズベルトに伝えられた。ルーズベルトは結局野村大使にハル・ノートだけを渡した。
その結果日本は衝撃を受け、交渉は断絶。12/8に真珠湾攻撃となる。

番組はこうしめくくる。相互不信の速さ。戦争回避の分岐点はあった。情報が災いした。


大戦の後半では暗号が解読されてほとんどの作戦が失敗したという話は聞いたことがあったが、開戦前の段階から、日本の暗号が筒抜けだったとは驚き。
いずれにしても、戦争回避のチャンスがあったのに、それが出来なかった。だがそれは結果論でしかない。何か「コト」が起きる時には、どんな形を取ろうと、実現されてしまう超常的な力が作用してしまうのかも知れない。