ダ・ヴィンチ・コード(2006年) | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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小説


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原作:ダン・ブラウン
映画公開が近づくにつれて周囲で騒がれる様になり、まあどうせ観るなら原作を読んでからにしようと、文庫本の3巻モノを読むところから始めました。

小説としてはどうにも冗長で、くどくどとした修飾語がキライな当方としては、もう少し削って文庫の上・下巻程度にして欲しかった。


基本となるのはダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に描かれている秘密と、それを追うさまざまな連中との絡み合い。
美術作品とキリスト教を繋げてミステリーに仕立てて行くやり方としては、それなりに新鮮。
当方みたいにキリストと縁がない人間にとっては、どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか見分けがつき難く、その辺で「へー、そうなのか」と思わせたのがヒットした要因なのだろう。
「最後の晩餐」の絵解きは、あの絵が現代の修復技術によって鮮明になった事も関係しており、美術界のエポック的な話題という事でもタイミングが良かった。


ただ、キリストや芸術家といった高尚なネタに対して、聖杯の秘密をつかむために何人もの人を殺したり、警察まで宗教団体とグルだったり、最近の映画で感じている様な「底の浅さ」がどうしても鼻につく。
また、カトリックというバチカンを中心としたいわゆる「正教会」と、女性の独立を前提としたプロテスタントとの確執という部分もキチンとした説明が欲しいところ。ただこの点は、キリスト圏の人にとっては常識みたいなものだろうから、日本人よりは深みのある読み方をしているのだろうけど。


いずれにせよ「マグダラのマリア」についてはどこまで行っても確証のあるものではないらしく、日本の「源義経=ジンギス・カン」系のトンデモ話だと言う人も居る様です。

大ベストセラーが必ずしも優れた小説ではないという事。
そんな訳で、映画も原作を超えるところまでは行かなくて当然。

 

映画


dm
監督:ロン・ハワード

出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、ジャン・レノ


公開初日の混雑を避けて、6/3に観に行きました。
原作を読んでいた者にとっては「あ、こういう風にしたのね」という感じで、基本的に「省略した」という印象が強かったんだけど、多分予備知識なしで観た人は「さっぱりワカラン」という感じだったのでは?
小説そのものが「テンコ盛り」なので省略するのは大変だったとは思うが、ただ現象を追うだけではなく、宗教を背景としたもう少し深みのある部分を抽出して欲しかった。
フィクションとして軸にすべきは、ソフィーがキリストの子孫であるという事と、マグダラのマリア自身の存在証拠。ここに持ち込むまでの仕掛けの面白さが「肝」だった筈。

それから、ジャン・レノが全く活きてなかったですネー。あそこまで役に立たない警部ではどうしようもない・・・・


オマケ
この小説の原作者、ダン・ブラウン氏、ちょっと経歴的には悲しいものがあるらしい。
『ダ・ヴィンチ・コード』 著者が隠したい前著『ハゲ男の本』
これ読むと、ホントにこの人が原作者なんだろうか?という気もして来ます。


結局話題に踊らされ、小説読んで映画も観てしまった…・・
底が浅いのはワタシのことかな~

 

でも、同じ聖書をネタにした話なら「エヴァンゲリオン」 の方がよほどブッ飛んでいて、ワタシとしては好きなんだけどネ