父の敵を探して十六年もの間、あてのない旅を続けていた足軽の息子「堀辰蔵」。父の敵を自ら討たなければ、跡を継いで足軽になることも出来ない。
生活に窮し、煙管師のところへ形見の銀煙管を持ち込むが、ささいな行き違いからその煙管師を殺害してしまう。煙管師には13歳の娘「お道」がいた。
父を殺され、奉公先で苦労しながら成長していく「お道」と、仇討ち転じて裏街道の人生を歩くことになった辰蔵。それぞれの人生が淡々と綴られ、それが長い年月の末に交差する。
特に書評もなく、ごくサラリと書かれた本であり、純粋に人情話として楽しめる。
でもこの人、享年67歳とは意外に若かった(死因は白血病)。