君の瞳に濃い疲労 -眼精疲労の先には- | てんゆうでござる! -鍼灸と易占と?-

君の瞳に濃い疲労 -眼精疲労の先には-

さて、眼がショボショボする「疲れ目」や毛様体筋が張っただけの「眼精疲労」であれば、それほど大きな問題にはならないのですが、眼から来る刺激や疲労が大きくなると自律神経のバランスが崩れた症状が出現してきます
具体的には眼の充血、かすみ目、視力低下、それに伴う頭痛、頚や肩の凝り、身体の痛み、胃痛、食欲不振、便秘、さらに進行するとイライラや不安感、抑鬱へと進行していくとされています。

視神経は直接大脳と繋がっている末梢神経(第2脳神経)で、手足などの末梢から受ける刺激よりも、大脳へダイレクトに影響があるのかもしれませんね。
脳波の異常は認められなかったものの、「ポケモン痙攣」とも言われた『光刺激性痙攣』も、視覚からの刺激で気分が悪くなったり、痙攣を起こしたりしていますから、眼からの刺激は想像以上に強いのかもしれません。
眼の疲れや肩こりなどは、それぞれに対応したツボを刺激するだけでも良いのでしょうが、”自律神経失調症”とされるような自律神経の不調にさらに一味、いや一ツボ加えてみましょう。


鍼灸治療を経験された方は、刺激されたことがあると思いますが、頭の天辺百会(ひゃくえ)”というツボになります。
”百会”という名前は、体中を走っている”経絡”というツボをつないだルートや、この経絡の横の連絡を行っているルートなど体中を走っているたくさんの(「百」の例え)ルートがここで一同に会するということで名付けられたようです。

ツボの取り方はいたって簡単で、体の中心線と両耳の尖端を結んだ線の交わったところになります。

百会

”百会”は眼の症状に止まらず、鼻や耳など顔の諸症状、イライラや不眠症、ヒステリーなどの精神的な諸症状などに使われます。
また、”百会”への灸刺激は脱肛や胃下垂、子宮下垂など、『それぞれの臓器が正常位置より下がっているものを引き上げる』と言われています(学校時代には「脱肛なんか”スポン”と音を立てて治る」と聞きましたが…? 未だ経験無し)
頭にあるので頭痛にも効果はあるのですが、個人的な経験としては、妊娠中に出てくる頭痛には(薬のお世話になりたくないですから)非常に効果が高い印象があります。

刺激方法としてはヘアピンやボールペン、爪の尖端などで、軽く”ズーン”と感じる程度に1回/秒で15回ほど押すと良いでしょう(爪楊枝では、やや尖り過ぎかも)
逆に指圧などで強く押してしまうと、頭の天辺が凹んでしまうので厳禁です。
またお灸は非常に効果があるのですが、余程慣れないと、頭上に渦巻きのない焼け野原の「ミステリーサークル」が出来てしまうかもしれません。


しかし、日本全国には日蓮宗の秘法「土用の丑の日」に行う「ほうろく灸」というお灸があります。「ほうろく」という素焼きの浅い土鍋のようなものを頭の上に載せ暑気封じ、頭痛封じ、中風封じでお灸をおこないます(ちなみに我が家は曹洞宗なので日蓮宗のまわし者ではございません 笑)
  ほうろく灸
(写真は埼玉県川越市の妙昌寺の風景



最後に眼精疲労やそれに伴う諸症状ですが、東洋医学では「久しく視ると血(けつ)を傷(やぶ)る」と言われています。
眼を使いすぎることで「血」を消耗してしまうと言うことです。
「血」は現代で言う「血液」と、ほぼ同じような意味合いで考えて良いと思います。
この「血」が病的に減ってしまうと、「血」を最も貯えているとされる肝臓が弱り、イライラしやすくなります
ですから眼の疲れが取れなくなり、精神的な症状が強くなったら、「血」を作り出すために消化器の働きを良くするツボ肝臓の調子を整えるツボも併せて刺激してみて下さい。



<参考Webサイト>
吉野眼科クリニック 

目の疲れ・眼精疲労研究室 

All About 「どうして目が疲れるのですか?」