平成26年11月22日(土)。前日夕方から雨が降り、天気予報も芳しくなかったが、朝になると上がっていた。
安芸区役所主催の「絵下山生き物観察会」は予定どおり開始された。
午前9時、東麓駐車場に集合したのは、講師のTT先生と小学生8人、サポートスタッフ6人で15人。
あいさつのあと、双眼鏡の使い方の指導を受けて、さあ、出発。
出発したとたんに、車道脇の山肌でストップ。アカネズミの巣穴を多数発見。子どもたちも恐る恐る指を突っ込んでみる。
ヒヨドリの鳴き声のバリエーションを聞きながら車道を歩く。
前週の下見でメジロがいたカキの木を双眼鏡で確認、この日はいなかった。
ウラジロマタタビの実。キウィフルーツと同じマタタビ科で食べられる。
TT先生と安芸区役所のMBさんが口に入れて「甘い」と宣伝したが、子どもたちは皆、遠慮してしまった。
いい香りのするクロモジの葉を嗅いだあと、「これもにおってごらん」。
ゲー、臭い~!
この木の名前は、臭い木と書いてクサギと言います。
ジョロウグモの巣。これはメス。オスは同じ生物とは思えないくらい小さいんだよ。
オオカマキリ。たいがい素手のTT先生が手袋をして、捕まえた。近くにはハラビロカマキリの卵もあった。
ほかにハラオカメコオロギ、ヒメコオロギ、ミヤマフキバッタなどを観察した。
深山の滝に下りる途中、子どもとたちがツチグリを見つけた。
10時30分、深山の滝の沢で水棲生物を観察。
先生が手を突っ込んで、カゲロウの幼虫を見つけると、子どもたちも探し始めた。カワゲラもみつかった。
トンボの幼虫ヤゴもいるはず、というと子どもたちはヤゴ探しに必死になった。
ヤゴは見つからなかった。自由広場(入口広場)に向かって登る。
寒いのにガがヒラヒラ飛んでいる。尺取虫の一種の成虫で、フユシャク。
11時、自由広場(入口広場)に到着、少し早いがここで昼食休憩。子どもたちは元気に遊びながら、キチョウやカナヘビなどの動物を見つけてきた。
正午、再出発。いきなりストップ。
先生がイタチの糞を発見。同じ場所でテンの糞、キツネのオシッコも発見。「動物のトイレだね」と子どもが言う。
子どもたちに、臭いを嗅がせる。「いやだー」と言いながら、結局、全員が嗅いだ。好奇心が日頃の理性を超え始めたようだ。
下見で見つけていたアオツヅラフジ、ヤブムラサキ、テイカカズラの実を見せる。
コゲラというキツツキの巣穴を発見。この巣穴は春夏に子育てで使うもので、今は空っぽ。来年の春には新しい穴を開けて卵を産む。この中古の穴にはヤマガラが卵を産んだりする。
と話していると、そのコゲラとヤマガラが姿を見せた。コゲラは3羽も現れ、子どもも大人も感激。
登山口に戻り、少しだけ頂上方向に登ってみる。
フユイチゴがたくさん生っている。食べても大丈夫というと、子どもたちはためらいもなく食べ始めた。口ぐちに「甘い!」を連発。
渓流を見つけると、「ヤゴ探したい」と言って、水辺に行く。
ヤゴ組を残して、紅葉ポイントに行ってみた。女子は「わぁキレイ」と目をキラキラ。真っ赤な葉を拾いはじめた。
TT先生も登ってきて、モミジがなぜ赤くなるのかという話をした。少し難しい話だったが、4年生の女子が一生懸命メモを取っている。
2年生の男子が、先生と協力してカナヘビの捕獲に成功。女子も怖がることなく、観察。
よく見るとかわいい顔をしている。
午後1時54分、駐車場に戻って、ここで感想文を書いた。
先生は「今日は、自然の動物や植物を見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触るということを勉強しました。みんな、やり方を分かってくれたと思います」と話しました。
この数時間で子どもたちの自然に対する姿勢が変わっていくのが分かった。
最初は木の実を誰も食べなかったが、冷たい水に手を入れて、地味なカゲロウの幼虫を見つけて喜んだ。動物の糞の臭いを嗅いだり、そんなに美味しいものでもないフユイチゴの実を「甘い!」と言って何個も食べた。
子どもたちの中で、何かのスイッチがONになったのではないかと思う。