終わらせます⑤ 憂との関係性 | 山本義幸 シルバーアクセ デザイナーブログ

山本義幸 シルバーアクセ デザイナーブログ

シルバーアクセサリーのデザイナー&彫金師。F.A.Lにまつわるあれこれを書き残しておきます。



 とことんVenom Glowが荒れたまくった時代もそれなりに越え、

 


会社を設立して何年目だろう?

 

8〜9年目くらいの記憶かな。

 

今回はオレと憂の関係性を語ってみます。

 

第5回目。

 


 

 

僕も経営者としての自覚や経験値もそれなりに上がり

 

国内のシルバーアクセを取り扱うセレクトショップはだんだんと減っていくような時代になりながらも

 

同じ時期に海外での取扱店なども決まりながら


会社としてはそれなりに安定感のある状態をすこしずつ作くることができました。

 

 

Mad Graffitiも大いにVenom Glowの力になってくれるまでに成長し

 

憂もブランドのデザイナーとして色んなことをやり抜いて


たくさんの人に認めてもらいながら


Mad Graffitiも10周年をこえ


さらに勢いを増していくような活躍をしてくれています。

 


 

僕自身もMad Graffitiの立ち上げから


憂が本格的にかけ出しはじめながらも迎える不遇な時代にも


Venom Glowとして同じマネージメントだからこそできることをしようと


F.A.Lの収益でもMad Graffitiを支えながら


雑誌での打ち出しなどのプロモーションや


セースケの後釜を担ってくれたシンゾーも力を尽くしてくれて


オフィシャルサイトの更新や新作のカタログ製作などのプロモーションも裏から支えていきました。



なによりも憂には

 

僕がしてきたイバラの道を歩くようなことを


一緒にやり抜いてきくれただけに


感謝の気持ちからもMad Graffitiはぜったい成功させたかったし


目に見えて伸びていく成果が感じられたことはすごく嬉しかったです。



ただ、お互いが純粋に経営者とデザイナーとのしての関係であれば


関係性のバランスも取りやすかっただけって見立てもありますが。



これがお互いにデザイナー同士の関係となると複雑なこともありまして。



Venom Glowとしては買ってもらうためにアクセサリーをデザインしないみたいなコンセプトでやってきたことを以前のブログでも書きましたが

 

デザイナーの個性をお客さんにわかってもらうような制作をしていこうと決めていただけに


作ろうとする物にたいしての自分自身の内面には


とことん向き合うことになるし


作る物の技術や表現力についても


どれだけの数を経験してきたかの勝負。


自分を褒めてあげるという感覚よりも


自分で作り上げたアクセサリーに


自分でダメ出しをしながら次のベストを目指していくような感覚のが強いような。


そしてそれを誰かが共感してくれるまで


いつか認めてもらえるまでひたすらアクセサリーとしての形にし続けていくことは


根を詰めれば詰めるほど


どこか孤独と向き合い続けなければならい


答えや正解がわからなくなっていくような感覚にもなる。



自分の中の答えを探しているような探求している間は


デザイナー同士としてこれを助け合って進めるようなことはできないし


助け合っていったら不思議とお互い作る物が似てくるんですよね。


人って引き合う部分があると思うので。



自分がデザインしようとしているモチーフが


意図せずどこかの何かと似てしまったり


かぶってしまったり


なんてことにならないようにオリジナリティを追求していくことは


それなりに関わり方としては難しいところがあるのかもなと。




例えば


わりとお互いフラットな関係で


好きなものが180°真逆な友達って感覚のが


デザイナー同士としてもうまく付き合えるような気もしますが


"気が合う友達感覚"ほど皮肉なまでに


デザイナーとしてはもしかしたら友達関係になるのは難しいのかもな


なんて思うこともありました。




でもまあ、作り手として自分が反映された作品を作りたいのなら


自分と向き合い続けることは


絶対的に必要なことですし、


そんなことを楽しめる素質みたいなことは必要なのかもしれませんね。



「僕もアクセサリーでブランドを作りたいです」



なんて言ってVenom Glowの門をたたいて入門してくるような人も多かったですが、


アクセサリーを作れるようになることと


ブランドになれるのかは


まったく次元が違うような現実なので。




それがどれくらい長い時間や経験を要することなのかと


どれだけの人の協力や支えの中でできあがることなのかを


きっと初めからわかることは難しいから


長い年月をかけて「苦労を楽しむ」感覚も必要なんですよ


とは強く言いたいところですが。




オレたちのこと、単純で簡単に見られているの?


って皮肉に思えるほど


それが必要な年月から例えたら


秒で辞めていってしまう人も数多くいましたね。




だいたいが初めからすぐに自分が作った物を色んな人が求めてくれることなんて無いので。


勝手に


オレなんて必要とされてない


とか


才能がないんだ


なんて


1〜3年ですぐに心折れてしまう人がとにかく多かったことを思い返すと


自分たちがいかれてるだけで、


それが普通に一般的な感覚なのかもなって思うことも多かったんですが。。。


もちろん、頑張ろうとする人の心を折ってしまわないような気持ちの支えをしてあげられることが大切だとも思っていますけど。




そして、憂とは


お互い若い頃からの付き合いなので、

 

オレもその歳によくあるコミニケーションの荒さ。


相手の気持ちを考慮しないストレートパンチな物言いな会話をしては傷つけたことも多かっただろうし


必要以上の言葉を使わなくてもわかるっしょ?


みたいな


雑で言葉数の少なさからの行き違いも多かっただろうなとか思い出しますね。


ここで言うまでもないような

バイオレンスな昔話もいろいろありますが、


いまにしてみたらしょぼい先輩の恥ずかしい武勇伝みたいなことになるのでご勘弁をということと


憂が乗り越えてきた環境が簡単なことではなかったということだけは知ってもらえたらなということで。



 

なんだろ、




きっと荒れすぎてた時代に


オレがそんな付き合いづらい関係性を


作ってしまったんだろうなとも思うところもありますしね。

 

憂も自分ではあまり自覚がないかもだけど


オレの記憶ではユウと付き合いはじめて丸14年間で


ユウからゴハンや飲みにいこうと


誘われた記憶ってほぼ無いですからね。笑


だいたいオレから誘ってたし。


うるせー社長と飲みにいくのめんどくせーわ


ってね、思われてたかもしれんけどね。


そのくせ今でも近くに来たんでってアポなしで顔出しにきたりとかするしね。


大人なんだから事前にLINEくらい入れてから来いやー思いますけど。笑


ついでに愚痴書き出しておきました。

くくくくく。笑




そーやって考えると


なんかずいぶん雑な関係だったのに


いままでよく我慢してくれたなーなんて思うべきなのかもしれないけどね。



いつしかそれなりにみんな大人になったので、


いつのタイミングからか自然に


僕のやるべきこれから先は


ブランドを展開するために必要な細かい仕事をスタッフみんなにしっかり分担して


憂にはできるだけデザイナー業に専念してもらえたらなって気持ちだったけど


憂の気持ちを考えたら


憂も同じようにMad Graffitiを自分で経営してみたいってことも考えるようになったのだろうしね。


お互いがデザイナーであり経営者である同じ関係性ではないから、


もしかしたら引け目を感じて自分の意見は弱くて通らないからなんて考えていたのかな?


なんて思ってしまうこともあったけど。




そして

 

いまやこのシルバーアクセの業界?なんてものをあまり感じない


全ての専門誌も無くなった時代で

 

個人でアクセサリーを作ってSNSを使って売れば


趣味や副業としてもそれなりの収入になる


時代に移り変わったわけだし。

 



人によっては個人の趣味や趣向がいきすぎた


こだわりすぎているアクセよりも

 

ショッピンモールやデパートなどのお店では


どこか邪魔にならないシンプルなデザインの


アクセを安く買えて


質よりも量。


安くて身に付けやすいアクセを


できるだけたくさんほしい


それをコーデして楽しみたいみたいな人々が


それなりに多いような


新しい時代のファストブランド的なニーズが多いこともよくわかっていますが、



 

それでもVenom Glowでやろうとしたことは


初志貫徹で自分で作った過去の作品を


嘘にしてしまわない生き方をしていきたいな


とか


自分でアートなんて思い入れをした作品を


ビジネスにしていくことはどこか心苦しく難解なことでもあるので

 

つらいことを我慢してまで何か大きいことを会社として目指すことよりも

 

個人としてこだわったアクセサリーを作りながらも


仕事にできている人たちが


いまはたくさんいるのますしね。


良い世の中に変わったようにも感じます。





荒れまくってきた会社の一連の流れの中で、


憂自身の想いはVenom Glowで続けていくことの意味が不明確になっていったことも確かだろうし

 

きっとオレもどこかF.A.LのデザイナーでありながらVenom Glowの社長になってしまったがために

 

経営のことでF.A.Lを優先してMad Graffitiを押さえ込んでしまったことはあったはずで、

 

憂も他の同業者や部外者からは経営者ではないからとF.A.LとMad Graffitiを作品ではない別の角度から比較されたり心ない意見を聞いたかもしれない。


色々と複雑な関係性になっていってしまったことも


自分としては何か息苦しくも仕方なく

あきらめていたようにも感じていたような。





そんな関係性が続きながら、お互いに将来のことを考えながらも


大きく事態が動くタイミングもありまして。



2018年にギャラリーベノムグロウの店長?

当時に僕は認めてないけど、そんなようなスタッフがお店の引き継ぎも考えずに退職するなんてタイミングがありまして。

 

もうその頃には僕も


望まないスタッフにまた代理でお店を続けることをお願いしてまで


ギャラリーベノムグロウを続けていくことは間違いだなと思い始めていて


いっそのこと無くしてしまったほうのがすっきりするのかもと考えていた時期でした。

 

 

それでも憂は

 

「ギャラリーベノムグロウがなくなるくらないなら

僕がお店に立って続けていきたい」と

 

 なんて話しをしてくれて。



そんなタイミングもあってか

 

将来的にMad Graffitiの経営を分社する形でギャラリーベノムグロウをMad Graffitiの旗艦店に変えようということのきっかけになったわけですが。

 

僕もはその頃にはスタッフの育成に疲れ果てていたような感覚だったし、

 

お店は憂に譲渡しても良いと思っていたくらいでしたので

 

そして同時に僕が望んでいたことは


憂自身がVenom Glowとしても主役になって


新しいスタッフも入ってもらいながら


Mad Graffitiのチームがギャラリーベノムグロウから広がっていくことに期待して。



 

僕は会社の代表者でもありますし


当面はMad Graffitiを裏から支えることに専念しようとも考えて


会社の業務改善のあれこれを憂には回さないように動きながらサポートする。


そんな考えの上で

 

ギャラリーベノムグロウはMad Graffitiの旗艦店として再スタートすることになるのですが、

 

この後の3年の期間で憂にもいろんな心境の変化があったことでしょう。


なんせ昨年はコロナのためにお店の営業を止めなきゃならないし、


シルバーアクセサリーの販売において実店舗がどこまで重要なのかを悩まされてきたわけですしね。

 

憂からも実際にお店で接客をしながらMad Graffitiの新作を作っていくことの不自由さの話や


支えてもらうスタッフを育成してチームや組織を作っていくことの難しさなどなど


お互いにデザイナーであることと経営者であることの関係性をどう変えていくのかが論点だったのだと思います。




最終的にはギャラリーベノムグロウで

チームMad Graffitiをつくり分社させようと

すすめていた話は断念になり

 

今年2021年でギャラリーベノムグロウを閉店させ


憂も今年をもってVenom Glowを脱退


来年2022年にはMad Graffitiは憂が経営する事業として


Venom Glowとは袂を分かつこと。


ということの話で決まりました。




 なんか過酷な現実話しですみません。


夢がないようのも感じる話しですが


これもまたVenom Glowの歴代スタッフで作り上げた流れであって


良くも悪くも


すべてを受け入れなきゃなって想いなので。



あ、夢のある話は


この先のブログでまたお伝えできることもあるので


その時にということで。


同時に


この先の新しいVenom Glowとしての

夢も目標もありますよ!!




ただ憂とはここでお互い進むべき道が


わかれるだけの話しってことで。



では



次回で「終わらせます」の話しは最終回ということで。

 

 

→「終わらせます⑥」に続く

 

 

 

――――――――――――――――――――

F.A.Lデザイナー 山本義幸

 

F.A.L

http://www.fal-d.com/

 

Venom Glow

http://www.venomglow.com

 

【Twitter】

https://twitter.com/yamamoto_fal

 

【Instagram】F.A.L Official

http://instagram.com/f.a.l_silver

 

――――――――――――――――――――