W126のドアからキシキシ | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

ご無沙汰しておりました。戻ってまい
りました。とろんとろんの目をしてか
じりついていたお仕事、一区切りです。


さて、再開一発目は新車の話でもと思
っていたのですが、最近W126の極上
ものを手に入れられたという方から、
お便りをいただきまして。あ、じゃあ
コッチと、いとも簡単にW126ネタに
吸い寄せられてしまう私なのでした。


走行距離少なく、前オーナーの愛情端
々に感じられるW126-300SEとの蜜月
の日々を過ごされているお便りの主。
熱烈なラブコールを頂いてお分けさせ
ていただいたW126スピーカーシステ
ムの試作機の音も、本当に楽しんでい
ただいているようで、まるで同じ喜び
を共有しているような気分で嬉しい限
りです。次の企画用のサンプルとして
試作機を3セット手元に残しておいた
のですが、こんなに喜んでもらえるな
ら、押し入れの肥やしになっているも
う2セットも誰かに使っていただいた
方が……と、ちょっと揺れちゃいます。

そんな蜜月のW126ライフなのですが、
低速時に4枚のドアからカタカタと音
がするのは気になるとのこと。前に乗
られていたセルシオでは、そういう音
はしなかった、と。

なるほど、非常に興味深いテーマです
ね。どういうことか解説する前に、ま
ずは気になる音を止めちゃいましょう。
W126のドアから聞こえてくるキシミ
音は、ドアの内張りの下端と、ドアサ
ッシュのプラスチックカバーが干渉し
て発生していることが多いです。十中
八九まず間違いなく、原因はこれです。

対策は、極めて簡単、かつリーズナブ
ル。荷造り用の布テープを、ドアの内
張下端の幅に裂いて、下の写真のよう
にドアの内張りの下端に貼り付けて下
さい。原因が推察どおりであれば、ウ
ソのようにあっさり静かになります。
そうそう、布製の荷造りテープはらく
だ色が一般的ですが、それじゃあ目立
ってなんとも貧乏くさいので、黒いヤ
ツを使うといいです。


$くるまの達人-2013_01_19_w126_02
ドアの内張りの下端に張られた布テープ、
見えるでしょうか。


で、なぜセルシオではしなかった音が、
W126ではしてしまうんでしょうか。

クルマのドアには、樹脂やゴム製のモ
ールが取り付けられています。これは
車内を外気から遮断し、車内の快適な
空調を実現し、静粛さを高め、ホコリ
や雨滴の侵入を防ぐという役割を担っ
ています。セルシオも含め、近年の高
級車では、このモールは2重、あるい
は3重に取り付けられていて、特に静
粛性においてより高い効果を発揮する
設計になっています。そして、複数の
モールを使用するために、ドアを閉め
たときの1つ1つのモールのボディ側
との圧着力は弱められています。理由
は2つ。まず、複数の関所を設けるこ
とで、それぞれの圧着力を高めなくて
も、目的が十分に達成できること。も
う1つは、強い圧着力のモールが何重
にも組み込まれていては、ドアが閉ま
らなくなってしまうことです。ですか
ら、そのような設計のドアモールは、
薄いベロみたいな形状になっているこ
とが多いはずです。

一方W126では、同じ目的のために用
意されたドアモールは1重です。たっ
た1つのモールで目的を果たすために
は、モールをわずかに高めに、幅も広
く、かつドア自体もなるべくボディに
密着する位置まで強く引き込む必要が
あります。とはいっても、ドアの内張
りとドアサッシュのプラスチックカバ
ーが干渉するまで寄せなくてもと思う
のですが、まあそんなこんなで、わず
かに擦れるほどまで接近した、という
か接触した両者が、走行時の振動で音
を出すことがあるんですね。


$くるまの達人-2013_01_19_w126_01
上の写真より、少し引いてみると、
W126のドアモールが1重ということが
分かりますね。


お便りには、速度が上がると出なくな
るとありますが、それは恐らく、他の
音の音量が高まって、件の音が埋もれ
てしまうのでしょう。


というわけで、再開一発目のネタは、
めでたくちょっと古いメルセデスの話
になりました。めでたしめでたし、と
いうことで、いいんですよね?にひひ



山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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