【有価証券報告書虚偽記載罪】 ゴーン容疑者ら再逮捕へ 直近3年分40億円過少記載疑い | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

有価証券報告書の重要事項につき虚偽の記載があるものを提出した者は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科(金商法197条1項1号)。両罰規定であり、法人である発行会社についても7億円以下の罰金に処せられる(同法207条1項1号)。

 

開示義務違反は故意犯であるから、虚偽記載の有価証券報告書の提出罪が成立するためには、虚偽記載であることを認識しながら、有価証券報告書を提出したことが必要である。

 

有価証券報告書の虚偽記載の罪は、金融市場に対する投資家の信頼を損ねる重大犯罪である。

 

<以下、産経新聞2018年12月4日付より抜粋>

 

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、逮捕容疑の平成22~26年度分の約50億円とは別に、27~29年度の直近3年分でも報酬を約40億円過少に記載した疑いがあるとして、東京地検特捜部が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑でゴーン容疑者と、側近で前代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)を再逮捕する方針を固めたことが3日、関係者への取材で分かった。過少記載の総額は計8年間で計約90億円に上る見通しだ。

 

特捜部は勾留期限の10日にも再逮捕するとみられる。ゴーン容疑者らの勾留をめぐっては、海外メディアなどから「長期すぎる」との批判が出ているが、再逮捕により最長で30日までの計40日間に延びる公算が大きくなった。

 ゴーン容疑者らは22~26年度の報酬を有価証券報告書に計約50億円過少に記載したとして、金商法違反容疑で11月19日に逮捕された。

 日産の有価証券報告書によると、ゴーン容疑者の報酬は27年度が10億7100万円、28年度が10億9800万円、29年度が7億3500万円で、3年間の合計は29億400万円だった。

 関係者によると、ゴーン容疑者の実際の報酬は27年度が約22億円、28、29年度が約24億円で、3年間の合計は約70億円。記載分との差額約40億円を過少に記載した疑いがあるという。

 

ゴーン容疑者は役員報酬の個別開示が義務化された22年以降、報酬20億円前後のうち有価証券報告書には10億円前後と記載し、残りを退任後に受け取ることを決定。将来の受取額などを記載した覚書を作成し、計約90億円をコンサルティング契約料などの名目で受け取る計画だったとされる。

 ゴーン容疑者は調べに対し「あくまで希望額で、退任時には世界経済や日産の業績が落ち込んでいるかもしれない」などと説明し「受領額は確定していないから記載義務はない」と容疑を否認。ケリー容疑者も同様に容疑を否認している。特捜部は覚書に受取額が記されていることなどから、退任後の報酬は確定していたとみて調べている。