振り込め詐欺への対応
「あわてない」 「おびえない」 「驚かない」 「無視する」「相談する」
1 電話での請求の場合
・ 「利用した事実はない」と明確に告げて電話を切る。
・ 一旦電話を切り、家族や関係者に事実を確認する。
・ 相手から名前や住所、勤務先、家族等の個人情報を聞かれても答えない。
・ 相手のペースにはまらない。長電話はしない。振り込め詐欺と思ったらすぐに電話を切る。
・ 何度も同じような電話が来る場合は、着信拒否や電話番号を変更する。
~電話会社と相談する。~
・ できれば後日の証拠とするため、電話のあった日時や会話の内容を記録・録音する。
※オレオレ詐欺の場合
・ 「オレオレ」等と言って電話が来てもあわてず「誰なの」と相手に名前を名乗らせる。
・ 息子(娘)或いは孫の学校名や担任の先生など、身内しか知らないことを言わせる。
・ 交通事故の示談などを装っている場合は、警察署に事実を確認する。
2 郵便等やメールで請求があった場合
・ 「至急ご連絡下さい。」
「問い合わせ電話○○○ー××××」等の記載があっても電話をかけたり、メールをしない。
・ あたかも実在しているような会社名を使うので惑わされない。
・ 債権回収の督促状の内容には、事実と異なる点があるので冷静に判断する。
・ 郵便物は、後日証拠となるので、配達日を記録するなどして保管しておく。
振り込め詐欺の手口
通 称 | 手 口 ・ 手 法 | |
有料サイ ト など口実 |
有料サイト型 | 出会い系あるいはアダルト系サイトの未納料金を名目に金を請求する |
脅 し 型 (恐喝型) |
・ 「お支払いのない場合はブラックリストに登載します。」「給料の差押の法的措置を執ります。」「勤務先や自宅に伺います」 などを口実に脅かして金を要求する手口 ・ 出会い系サイトの利用者に対して、暴力団をかたって脅迫し、金を要求する手口 |
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債権譲り受け型 | 有料サイト料、レンタルビデオ代金等の架空の債権を譲り受けたとして、債権回収業者などを装って金を請求する手口 | |
弁護士・警察官 利 用 型 |
弁護士・警察官・法律事務所などの名をかたり、有料サイトの閲覧料金等の未納分があるとして金を請求する手口 | |
法 律 型 | 「情報通信料金の未納分を『電子消費契約民法特例法』にもとづいて直接ご自宅、お勤め先にうかがい回収します。」などと存在しない法律や制度を偽って、金を請求する手口 | |
大臣許可型 | 「法務大臣から許可された債権回収業者です。」と偽って金を請求する手口 | |
多重債務者狙い型 | 多重債務者に対し、国民年金協会などの公的団体を名乗り、ブラックリスト抹消料や官報広告料などの名目で金を請求する手口 | |
オレオレ詐欺型 | 主として高齢者や主婦を対象に、その息子(娘)や孫を装って電話をかけ、交通事故の示談・入院手術費、ヤミ金の返済などを理由として金を請求する手口 | |
しくしく詐欺型 | 電話で「娘(息子)を誘拐した。」「ヤミ金の保証人になっているので監禁している。」など恐怖心をあおった上に、娘(息子)の泣き声を聞かせるなどして、困惑させて金を請求する手口 | |
当選商法型 | 自動車や電化製品等が懸賞で当たったと電話で嘘を言い、自動車の登録手数料や送料等をだまし取る手口 | |
過大請求型 | 架空請求ではないが、有料サイトを数秒間利用しただけで過大(法外)な料金を請求する手口 |
【例1】息子や孫を装う場合
息子や孫を装い、
「風邪を引いたから声が変なんだ。」「電話番号がかわったので、登録しておいて」と電話の後、
■ 会社のお金が入ったバックを電車内に置き忘れた。
■ 友達の借金の保証人になっていて、支払わなければならない。
等、お金が急に必要になったと告げて、振り込みを依頼したり、 「知人(バイク便等)に取りに行かせるから渡して」 と自宅等で現金の手渡しを指示します。
【例2】警察官や銀行員を装う場合
○○警察・刑事課の○○です。
■ あなたの口座が振り込め詐欺に使われています。このままだと預金が下ろせなくなる。銀行協会の職員を伺わせます。
■ 拾得物の中からあなた名義のカードが出てきました。
等と言て、言葉巧みに通帳とキャッシュカードを受け取りに来ます。
更に、手続きをスムーズに行うために等と言って
■ キャッシュカードの暗証番号を聞き出します。
だましのテクニック
■ 事前に身内を名乗り「携帯電話の番号が変わったから控えておいて」等と連絡しておき、電話番号を控えさせ、騙しの電話をするときの警戒感を払拭させる。
■ あらかじめ、「風邪をひいて声が変だと思うけど・・。」と言っておき、相手に疑問を抱かせない。
■ 複数の人が登場する劇団型で、もっともらしく話を展開する。
- ご主人やお子さん、お孫さんなど、身内を装う者
- 警察官や弁護士、鉄道関係者を装う者
- 痴漢の被害者の身内や交通事故の当事者を装い、被害を受けたと主張する者
など、役割を分担し、実に巧みなグループワーキングで金銭をだまし取ろうとします。人を不安に陥れるようにもっともらしくストーリーが展開され、また、タイミングよく相手が電話を変わるので、そのペースに巻き込まれてしまい、冷静に考える余裕をなくして、オレオレ詐欺の手口を知っている人でもだまされてしまうのです。
■ 銀行等の閉店間際に振り込みを要求してきて、「時間がない。」と言って急がせる。
■ 銀行の振り込みだけでなくバイク便業者や直接代理人を自宅に向かわせ、現金を手渡しさせたり、定形小包郵便物(通称「エクスパック500」)による送付等の受け渡し方法を指定してくる場合もあります。
■ 振り込みを確認した後、さらに振り込みを要求してくる犯人もいます!!
(これは、一度お金を振り込んだことにより、「この人からはお金が取れる」と思われてしまうからです。)
実際に、こんな電話がかかってきたら、あなたはそれを振り込め詐欺だと見破れますか?
犯人は複数で、劇団のようにそれぞれ刑事役、弁護士役などの役柄を分担し、あの手この手でだましにきます。
「会社の金で株に手を出して失敗 横領で訴えられる 助けて!」
50歳代女性方に、息子を装った者から
「今日、会社に監査が入る。監査前にお金を戻せば何とかなる。宅急便が家に向かう。」
との連絡。
その後、言葉巧みに焦らせ、現金300万円を騙し取ろうとした事例です。
「俺の責任だ! 今日中に会社の取引先にお金を支払わなければならない」
60歳代女性方に、息子を装った者から
「電車の中で鞄をなくした」
との連絡。
その後、信用させるために、駅員役、会社の上司役など複数の者が電話をかけ、現金700万円を騙し取ろうとした事例です。
「誰にも言わないで 不倫相手を妊娠させた 示談金を何とかして!」
60歳代女性方に、息子を装った者から
「子どもができちゃった。相手は旦那さんがいる人で、旦那さんが怒っている。弁護士に入ってもらった。お金を送って欲しい。」
との連絡。
その後、示談金として100万円を騙し取ろうとした事例です。
警察官、金融庁職員等を装って、キャッシュカードを騙し取る被害が急増中!!
都内に居住の高齢者に対して、
「振り込め詐欺犯人を捕まえた。犯人の持ち物から名簿が出て来てあなたの名前も載っていた。キャッシュカードを偽造されているかもしれない。」
等と申し向け、
キャッシュカードを騙し取ろうとしたものの被害者が騙されず、未遂に終わったものです。
「携帯替えた」「使い込み」「98万円」の波状攻撃
離れている息子から
「携帯買い替えて番号が変わったんだ…新しい電話番号を控えといてよ」
との連絡。
その番号から数日後、再度の電話。
「アルバイトで浄水器の販売をしてたんだけど、失敗の穴埋めするために会社の金を使いこんじゃって…。
会社の上司が立て替えてくれたんだけど、早く返さないと会社をクビになっちゃうから98万円(96~100万円のこともある)振り込んで!」
息子の携帯からかかってきたと信じている父親は…
「お母さん、このままだと何されるか分からないよ…」
息子から久しぶりの電話。懐かしいと思うのもつかの間、おびえた声で
「友だちの保証人になったらその友だちがいなくなってしまった。
このままだと取り立て屋に何をされるか分からない、すぐに金を振り込んでほしい。」
と懇願された母親は…
友人の連帯保証人となった・・・
60歳代女性方に息子を装って現金200万円を騙し取ろうと、数回にわたり電話をかけましたが、未遂に終わった事例です。
犯人は電話で「友人が起業するにあたって連帯保証人となった。その会社が業績悪化のため友人は夜逃げし、金が必要になった。」旨申し向け、現金200万円を騙し取ろうとしたものです。
複数の声色を演じ分ける振り込め詐欺犯人!
振り込め詐欺は、警察官役、弁護士役等、複数の者が交代で電話口に出るなど、役割分担をするのが最近の傾向と言われていますが、次にご紹介するのは、その逆。一人の犯人が複数の声色でいろいろな人物を演じ分けている珍しい事件です。
二つの事件の犯人は同一人物で、警視庁に逮捕された振り込め詐欺の実際の犯人です。
荻窪案件・・・被害総額 3,000万円
低い声で関西弁風の声色を使って脅すような話し方で被害者を不安に陥れ、現金を騙し取った事例です。
(電話を受けているのは被害者の会社の女性従業員です。)
犯人は電話で「過去の通信教育受講料が未払いになっている」と言い、「遅延損害金」「供託金」等の名目で約 3,000万円を騙し取っています。
この事件では、犯人は関西弁だけでなく関東風の声色を使って法律事務所の職員を演じていました。
(録音は関西弁風の声色を使っているときのものです)
静岡案件・・・被害総額 0円(未遂)
未亡人である被害者宅に「イタショウのユイ」と名乗る男から「夫が生前していた借金を支払え」といった電話が入ります。
更にその後「キョウワのナガセ」という男から電話があり、「イタショウから債権を譲り受けた。法律的に取り立てる立場にあるので95万6400円振り込め。」と言われます。
しかし被害者が弁護士に相談したため、振り込まずに済みました。
(録音は、「キョウワのナガセ」と名乗っているときのものです)
「私は大丈夫!」と思っていても、実際にこんな電話がかかってきたら、誰だって動揺してしまいます。
犯人は、この心の動揺につけ込んできます。日頃から手口を理解し、心の準備をしておきましょう。
事実かどうか、必ず確認しましょう。