BLアンソロ「女装の王子様」光彩書房 | ゼロ・マイナス5分

BLアンソロ「女装の王子様」光彩書房

ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』  BL女装アンソロジー『女装の王子様』に第二弾が出ていました。

 収録作品
・表紙イラスト 宮下キツネ・チロル
・宮下キツネ『スカートの力』(巻頭カラー)
・三軒屋チカ『だって、好きなんだもん』
・たつよし『恋人はヒーロー』
・チロル『ふたりのアデル』
・椿屋めぐる『桃色保健室』
・Dr.天『お嬢様(偽)と私』
・きよ・きよ『交換条件』
・黒崎玲緒『夏恋』 

 前回も満足度の高い構成でしたが、何かをつかんでしまったのか今回はさらにテーマ的なクヲリティが高まっています。
ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』
 まずは俺たちのエース、宮下キツネ先生の『スカートの力』。 
 
 あらすじ
 主人公・弥生くんは、年上の白鳥君と恋人同士に見られたいのだけど、周囲はカップルとして見てくれないことに悩んでいた。
 そこで女の子っぽくすれば「普通のカップル」に見えると思い、髪を伸ばし、さらに女装して「女の子」になろうとするのだが・・・…。

ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』  男女二元論かつ異性愛至上主義の中でジェンダーのアイデンティティー的ななにかがディスオーダーしてしまうという、ちょっと重くなりがちなテーマなのだけど、そこは腐界のナウシカこと宮下先生である。女の子になれば願いがかなうような話にはしない。
 この時代に生まれたこと自体が間違いだった腐れ巨神兵の心を癒してくれる。
「そんなことしなくても(女の子にならなくても)君は僕の大切な恋人だよっ!」
 うれしいこといってくれるじゃないの。そんなんいわれたら僕も体を許すわ。
 しかしお腹すいたからたこ焼きって、デート的にはどうなのよ白鳥君。

ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』 ちなみに弥生くんに女装を手ほどきする皐月くんも男子。
 こちらはかわいいもの好きで子供のころから常時女装という筋金入りの男の娘。

 
 



ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』
 「可愛ければ何着たっていい」。

 でも世の女装の人は9割方可愛く(以下自粛)。


 しかし皐月くんの服装は女装なのかな。

 こんなに「可愛い記号」をてんこ盛りにするファッションを好む女の子は特殊だろう。

 ウォーズマン理論というか、V2アサルトバスターガンダムみたいな足し算思考が、「女性」ではなく「女装者」らしいといえばらしい。
ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』  結果、これでもかというくらいリボンとフリルまみれに……。

「女装」を「女性」から分離することであらたな新境地が開けそうな気はする。

ゼロ・マイナス5分-宮下キツネ『スカートの力』
いつも濡れ場は淡白なのだけど、今回は結構多め。
 女装することで、男ということの罪から解放され、僕は男の子でいいんだ! 的な悟り方をする、ある種のイニシエーションストーリー。
 幸福な結末は本編で。


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