BLアンソロ「女装の王子様」光彩書房
Amazonから宮下キツネ先生の本として案内メールが来たので速攻買ったのですが、アンソロでした。
近頃こっちのほうは新規開拓をしていなかったので、よいリサーチになりましたが。
<収録作品>
たつよし『ジャスティス☆ラバー』(巻頭カラー)
宮下キツネ『スカートと彼氏』
すがはら竜『彼女な彼氏』
Dr.天『蝶で花よ』
チロル『きつくしめてね』
黄上恵理『コンプレックス』
小林ユズル『逃走の人跡』
龍瀬弓乃『夢見る少年』
巻末コラム:吉本たいまつ『女装少年に萌え~!』
特に気に入ったのが4つほど。
たつよし先生の『ジャスティス☆ラバー』。
主人公の高校生・義家豪毅は、義賊を祖先に持つ一族で、現在は悪を懲らしめる正義味方「義賊キラボシ」として暗躍している。
家族で。
今回の任務は、痴漢を捕まえるために女装をして囮になること。
絵柄的にがっつり少女漫画系なので好みが分かれるところですが、小学生女装というマニアックなツボを突かれました。
(女子小学生じゃなくて、年齢を落とされることがツボ)
このまま小学校に編入させられたらもっと良かったのに。
リアルな話をすると、近頃は性犯罪を誘発しないために女子のスカート通学は控えるように指導する学校が増えているそうです。
女装の女子が消えたら、男子の女装は何になるんだ?
宮下キツネ先生の『スカートと彼氏』。
主人公・明宏は可愛いけれど異常に無口でコミュニケーションをとりづらい伊吹(男子)と付き合っている。
それだけの話なのだけど、伊吹を傷つけないようにひたすら気を使う明宏の様子に癒される。
デート中に他の女の子を見ちゃったけど、それは伊吹くんより女の子のほうがいいというわけではなくて!
スカートとか穿いてもらいたいような気もするけど、女の子みたいだからじゃなく、何を着ても可愛いからで!
「女装≠女の子になりたい」「可愛い≠女の子みたい」というところを丹念に突くあたり、よくわかっていて泣けます。
生まれたことが間違いの巨神兵のような腐男子にとって、宮下先生はナウシカですね。
主人公が優しくバカでエロいのも癒されポイント。
傷つけないようにビックビクしながらエロ妄想。
これは主人公の脳内。
すがはら竜先生の『彼女な彼氏』。
幼なじみに彼女が出来たら、自分から離れてしまうのではないかと心配な主人公。
女の子になれば恋人同士になれると思いつめ、女装して彼の前にやって来る。
男同士だけどいいの? とか、BLなんだし今さらそれを言いますかみたいなところはあるのだけど、女の子にならなくても、男同士でも、相手がお前だから良いんだ、というのは何度言われても悶えてしまいます。
ヨーロッパかどこかの全寮制男子校に、金髪美少女の幽霊が出るといううわさで……。
精緻なタッチで雰囲気のある絵が魅力的な作品。
時代がかった背景の建物や下着のディテールが作りこまれていて、なんか潜在能力高そうで嫉妬。
掲載作品の中には、ご本尊が出てこないままで女装は設定だけっぽいのと、明らかにこれはBLじゃなくてニューハーフものじゃね? というのがありますが、作品の問題ではなく定義と趣味の問題なので。
- 女装の王子様 (光彩コミックス)/宮下 キツネ
- ¥1,000 Amazon.co.jp