楽園と無知(1)―着果遡行 | 自家中毒

自家中毒

こんにちは
当ブログは挨拶を1年半あまり忘れる人間による妄想ブログです
(二次創作を含みます 作者さま・出版社さまにはかかわっていたらとても書けないようなブツが並びます)

《第1章 第1節  第2節  第3節  第4節  第5節
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「蜜佳がパパのことを忘れないでいてくれるなら大人になったら会いに来るから」

 今の君は俺との別れを惜しんで泣いてくれている。


 けれども、そのころには俺の顔も忘れてしまう可能性のほうが高い。

 いや、俺の存在なんて忘れるほうがいいんだ。それだけ幸せに過ごしているということなのだから。


「だから約束しよう」

 正確にいえば、これは祈り。

「離れても幸せになれるように生きていくこと」


 君が俺の子供として生まれてきてくれたことが幸せなんだ。
 この5年間は人としての幸福を味わっていると思えた。

 きっと、これ以上の幸せをこの先に感じることはないだろう。


 けれども、あちらも父親になりたいと言っている。ユリ子が結婚を解消してでもと選んだのだから俺なんかよりもずっと良い親になるのだろう。

 だから、血が繋がっているだけの親なんか忘れていいんだ。


「もしも、幸せでいられなかったらパパはいつだって蜜佳をむかえに行くよ」

 もう、俺にできるのは娘のこれからの幸せを願うことだけだ。


 ただひたすらに、俺は君の幸せだけを祈る。



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※短いのはプロローグだからです(´∀`;)
娘視点の同じシーンのときも、同じこと欄外に書きましたがw