網紅(ネットアイドル)から網紅経済(ネットアイドルエコノミー)へ | 徐さんの中国通信

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「網紅」(ウオンホン・ネットアイドル)が2年ほど前から大流行し、ついに「網紅経済」(ネットアイドルエコノミー)が生まれ、2016年は「網紅経済元年」と位置付けされ、言われなき「530網紅節――5月30日ネットアイドルデー」まで誕生しました。
「網紅」とは、文字通り「網」=インターネット、「紅」=人気のあるアイドルのことで、普通の人でも、その人のある特質がネットの世界で無限大に拡張され、人々の好奇心や憶測を無意識のうちに満足させてくれることにより人気を集め、いつの間にかアイドルになった人のことを言います。

 

「網紅」の誕生と流行はネット通販と無関係ではありません。そもそも「網紅」という言葉が生まれる前に、一般人でもその特殊な芸が発掘され一躍大スターになった人がいてプロの修行を受けなくてもタレントになれるということがテレビなどを通して広く知られるようになりました。

折しも、中国の高度成長が鈍化し、構造転換が迫られている中、政府は雇用確保のため、「大衆創業・全民創新」というスローガンを打ち出したのです。Eコマースのアリババも最盛期を迎え、アリババのプラットホーム――TAOBAO(淘宝)やT-mail(天猫)に出店することで起業する若者が急増しました。


しかし、創業時点では同質の商品を取り扱うことが多く、どうやってランキングの上位にランクインさせることができるかは焦点でした。そこで前出特殊芸タレントからヒントを受けた人は自社商品のランキングを上げるため、動画をアップするなど注目を集めようと努力していました。逆にこのニーズに注目した芸能事務所やブローカーはネット専用の「グラフィックモデル」を育成し、ネット通販の会社に売り込んだりして「網紅」を定着させるようになっています。

 

日本では「YouTube」をイメージすればわかりやすいのですが、商品を売り込むためにはあの手この手です。


中国一「網紅」と言われる人は芸名Papi醬という女優出身の人、テレビの司会者をしながら、普段の暮らしの場面を軽快の口調で表現することで巷に知られ、ローカル局の司会者からあっという間に「網紅」になり、その絶大な人気振りで、動画をアップするための資金としてVCから1,200万元の融資を受けていることが更に話題を呼んでいます。

 

そこで生まれたのが「網紅経済」で、現在は一般人や芸能人だけではなく、新聞記者や経済学者も自媒体でどれだけの読者を獲得できるかを持ってその価値が判断されるようになり、またスポンサーが付く基準の一つとなり、「網紅経済」が一層浸透されるようになっています。
「網紅経済」の定着を示すことに、2016年アリババや微博(ミニブログ)など大手ポータルサイトが「530網紅節」(5月30日ネットアイドルデー)を突然大々的に宣伝し始めたことが上げられます。


「530網紅節」のネット生中継を視聴した人は1億8000万人を超え、84人の「網紅」が動画で125万点の商品を販売し、売上高は1億5000万元に達したと言います。大手ポータルサイト50社が主催する動画コンクールに2万4490人が4万4694本の動画をアップし、再生回数は11億5200万回に上りました。


11月11日を「独身の日」とアリババを始めとするEコマース企業がスーパーセールと決めつけてこの日安売りキャンペーンを行っています。今年2回目を迎える「530網紅節」は昨年の記録を超えるか興味深いところです。

「網紅経済」はVCの注目を受けるようになっていますが、その中から将来上場する企業が生まれるのも不思議ではありません。