「嫌いなんでしょう?」
と、思われるかも知れませんが、そんなことはありません。……いや、ホント。
作品は、本当に素晴らしいです。
ただ、ニュースで読んでモヤモヤ、、、
(注)長文の主観的な意見です。お時間があれば、、、
□□□□□□はじめに1□□□□□□
キングコング西野亮廣さんの絵が、1000万円で売れたそうです。
(http://www.sanspo.com/smp/geino/news/20161113/owa16111305040003-s.html)
1セット41枚の絵が1000万円、
さらに購入者は、高野山三宝院に奉納。
庶民感覚では…「よく解らない」ですが、
1つだけ言えるのは、
西野さんと面識があり、応援している「エンジェル投資家」であるという購入者の意図に係わらず、
マーケティングの視点から、
「ブランディング」としては大成功です。
世間の人に、「1000万円と評価される絵を描く人」「高野山に奉納される様な作品」と、思ってもらえる訳ですね。
別の話ですが、テレビ番組で堀江貴文さんが、「ZOZOTOWN」を展開するスタートトゥデイの前澤友作さんがバスキアの絵画を62.4億円で購入した件も、ブランド戦略(戦略という言葉だけで説明していましたが、、)だと分析していました。
(http://sp.daily.co.jp/gossip/2016/10/22/0009602467.shtml)
実際に人脈が広がったとか。。。
高値で買う事でブランド価値が上がる事もあるし、
高値で売る事でブランド価値が上がる事もある訳ですね。
1本のニュースも、色々な見方ができます。。。
□□□□□□はじめに2□□□□□□
それはそうと、9月、西野さんがブログで、
「『魔法のコンパス』を出版した【主婦と生活社】がアホすぎる」
と、自身の本の出版社を批判しました。
(→こちら)
主婦と生活社は、売れて品薄、入手困難となっている事を「うれしい悲鳴!」とツイート。
(https://twitter.com/shufusei_hanbai/status/774222964506046464)
それに対して西野さんは、
「……売れ残った場合の赤字を背負うのは出版社ですから、そこに関しては僕は踏み込めません。」
と、一応理解を示すも、
「(前略)…あのね、主婦と生活社さん。
(中略)「何してんだよっ!」と腹が立ちました……
(中略)品薄状況が続いて嬉しい悲鳴を上げているのは、あなた方だけで、
そのことで本が買えなかった人達…つまり、あなた方が一番大切にしなきゃいけない人達は悲しい悲鳴を上げてるんです……
(中略)プロとしては死活問題
(中略)デリカシーの無さ
(中略)優しくないんだよ。
自分のことしか考えていない。
(中略)みっともない…(後略)」
(http://lineblog.me/nishino/archives/6979925.html)
と、ボロクソ。
□□□□□□SNS運用□□□□□□
確かに!!!間違い無い!!!
「うれしい悲鳴!」は、ただの自分の心情の吐露。
「読んだ人がどう受けとるか」という「顧客満足」の視点が欠けています。
SNSも、企業で広く使われていますが、
その特性から、ただ商品PRするだけではなく、顔が見えた方が良いという事で、
個人で担当する事も多いと思います。
主婦と生活社は、チェック機能が欠けていたのか、機能しなかったのか……
運用には、注意が必要ですね。
□□□□□顧客満足の視点□□□□□
私の以前の投稿で、
西野さんは、お笑いを期待するファンに対する「顧客満足」志向が欠如しているという指摘をしました。(「ダウンタウン松本人志さんの言う通り!!!」→こちら)
ただ、自身の読者に対しては、「顧客満足」の側面を忘れていなかったという事ですね。
マンガ原作者、ライターの衣鳩久哉さんもブログで、この件に関して、
「相手の立場を考えるというのは、簡単なようで難しい。この感覚は忘れないようにしたいもんですね。
で、何が素敵かっていうと。
(西野さんは)本心でこう書いているからこそ、この文章に打たれた人が絶対本買うよなーというところ。」(括弧内は筆者注)
(http://hisaya.org/archives/65744692.html
)
……と絶賛してます。。。
□□□□モノを売るって大変□□□□
ですがっ、、、、、、、、、
あのー、、、
モノを作って売るという普通の商売って、スゴく大変なんです。。。
その大変さの根源は、一言でいうと、経営資源の有限性。
ヒト・モノ・カネ・情報の制約の下で、皆さんビジネスしています。
・ヒトも情報も有限
得られる情報も、処理能力も有限です。
プロだから、需要予測が出来て当然?
気持ちはスゴく解ります。
私も、
「プロのお笑い芸人は、難なく笑わせてくれるはず……」
って思いますから……
プロでも難しい事はあるって、、、誰あろう西野さんなら解ると思います(笑)。。。
ちなみに、過去のニュースを見てみると、
村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、当時の文藝春秋の単行本では最多の初版30万部。
スゴいですね、、、ってそこじゃなくて、、、
発売前にも関わらず3度も重版し、発売時点で50万部。
うーん???発売前に3度重版???
そして、発売後1週間で100万部(8刷)を突破。
やっぱりスゴいですね、、、ってそこじゃなくて、、、
当時の記事によると、実売60万部程で在庫の山に頭を抱えたとか、、、
(http://www.cyzowoman.com/2013/07/post_9182_1.html)
マジで?、、、ってどーゆーこと?
文藝春秋ほどの出版社で、
売上予測が出来そうな村上春樹作品でも、こんな感じです。
あくまでも記事によると、ですが。。。
まして、「西野亮廣」の、それも「絵本」ではなく「ビジネス書」の売上予測って難しそうですね。
・モノは有限
残念ながら、無限に印刷機が並んでいる訳ではありません。
自社で印刷所を持っていたとしても、出版する本は「魔法のコンパス」だけではありませんし、、、
おそらく外注だと思いますが、そうであれば印刷所の稼働状況も関係します。
印刷会社が弱い立場の下請けであれば、
下請け法も無視して、
労働基準法も無視して、
24時間印刷機を回させる事も可能かも知れませんが、、、さすがに駄目です。。。
そもそも、年間どれだけの出版物があるのでしょうか?
定期刊行物はずらせないし、、、
例えば、
「2刷目が店頭に並ぶ前に、3刷目が決まり…つまり、2刷目の部数を読み誤ったことも……」
と、書いていますが、、、
その2、3刷目って、、、
他の刊行物の印刷の都合の中で割り当てられた、スケジュール通りの印刷部数の可能性は?
西野さんの本だけを集中的に印刷して、週刊誌を後回しって、出来ない。。。
もしかしたら、
読者の為に無理を言って、
可能な範囲でスケジュールに押し込んだ結果として2刷目と3刷目にわかれたって可能性も無くはない?
西野さんの本だけが存在する訳ではないし、
印刷機が無限にある訳でもない。
要するに、好きな時に、好きなだけ印刷出来る訳ではありません。
他の本の読者を後回しにして、西野さんの本の読者を優先する訳にはいきませんよね。
倉庫も有限です。
在庫を持つ事の大変さ、
在庫量を決める事の大変さ、
まして、定期的に捌ける商品ではなく、何時どれだけ売れるか分からない商品の在庫量を決める事の大変さ、
主婦と生活社が何種類の出版物の在庫を持っているか知りませんが、個人の整理整頓のレベルではないという事は解って欲しい。。。
・カネは有限
主婦と生活社が、直接的に、出版というビジネスシステムのどの部分を担っているかは知りませんが、
一般的に、モノを売り物とする商売の資金繰りは大変です。
例え黒字であっても、です。
モノを作ったり仕入れたりして売る商売のサイクルって、普通はキャッシュアウトフロー先行。
この当たり前の事実は、商売する上で皆さん苦労してる事です。
プロジェクト単位のクラウドファンディングで、キャッシュインフロー先行を経験すると、理解し難いかも知れませんが。。。
先日、ジャンプ増刷のニュースが話題になっていましたが、
雑誌と書籍のビジネスモデルも全く違います。
広告収入がある訳でもないし、決まったスケジュールで、一定数刷る訳でもない。
そのうち売れるから、今のうちに刷っておけっていう商売でもありません。
最終的に売れて、利益が出る事を計算出来たとしても、
過剰な在庫を持つ事は、その間のキャッシュフローを圧迫し、悪循環を生む……
黒字でもキャッシュが無いと倒産するという事は解って下さい。
クラウドファンディングで資金を募る個展等はプロジェクトですが、
企業はゴーイングコンサーン。
その発注担当者個人の一度の判断が、とんでもない事態を引き起こすかも。。。
予測出来る範囲、印刷出来る範囲でロット単位の増刷を積み重ねていく、、、書籍出版ってそういうビジネスじゃないでしょうか。
そもそも、ロット単位はどれ位でしょう?
さらに、書店で売れなかった商品は返本され、
時間が経っても売れない在庫は処分される……
返本時の責任……誰がとるんでしょう?
せっかく作った本…細断する事に躊躇いはありませんか?
書籍の場合、その判断のタイミングも難しそうですね。
上記ブログが、ツイートに対する批判だけなら、表現はさておき賛成ですが、
オペレーションに対する批判も含まれているので、賛成しかねます。
「売れ残った場合の赤字を背負うのは出版社ですから、、、」
って、理解しているつもりかも知れませんが、、、
自分で在庫を持たず、取引先にあらゆるリスクをとってもらっている立場だって事にも気付いて欲しい。
世の中の資金繰り、発注、在庫管理に頭を悩ませている人の愚痴が聞こえませんか?
「楽な商売してんなぁ!」
需要・供給の過不足を出来るだけ少なくする……みなさん努力しています。
迅速に対応……みなさん努力しています。
お客さんに早く届けたいし、せっかく作った本を出来るだけ無駄にもしたくない。
当たり前です!
何なら、全ての作家の全ての書籍……クラウドファンディングか個別注文の受注生産にします?
価格は、ロット数に応じて!!!
本人は、本が「一人でも多くの方の手に渡るよう(中略)ひき続き行動します。」
って書いてますが、、、
欲しい人に連絡してもらって、入金してもらって、印刷所を手配して、部数を決めて、印刷データ渡して、お金を払って、印刷してもらって、納品してもらって、検品して、包装して、発送手配して、発送して、受け取り確認すれば、即解決です!
一日中エゴサする必要無し!!!
まぁ、正直言うと………出版社の仕事も、主婦と生活社の仕事も知らないので、あくまで想像ですが。。。
┐('~`;)┌
□□□□□□問題点□□□□□□
奇しくも衣鳩久哉さんが書いていた事……
「相手の立場を考えるというのは、簡単なようで難しい。この感覚は忘れないようにしたいもんですね。」
その通り!!!
誰しもなった事のある消費者の立場は、簡単に想像できますが、
なった事の無い出版社勤務の立場を想像するのは、難しいですね。
そして、
想像できる読者の立場を絶対正義と仮定してしまうと、
それで自分の発言を正当化する事によって、
出版社の立場を想像できていないという瑕疵を覆い隠してしまう。
結果的に、瑕疵の存在に自分でも気付けなくなり、自分の意見こそ正義であると思ってしまう。
□□□□□□パロディー□□□□□□
【下記当てはめ部分は、不愉快で長くなるので削除(笑)】
芸人は、人を笑顔(^o^)にできる最高のエンターテイナー!!!
自分のファン(西野さん言うところの西野さんを信用している人達)以外の人達も、
笑顔(^o^)に出来れば、素晴らしいと思います。
□□□□□□おわり□□□□□□
西野さんのインタビューによると、
「狙ってはいないですよ。思ってることを言ってるだけ。」だそうです。
(http://www.j-cast.com/2016/11/05282687.html)
何をしたいと思っているのかは解りませんが、
問題解決したいと思っているなら、
自分の担当者に、
「あのツイートはダメです。」
「皆さん待ってるので、何とかならないですか?」
って、連絡すれば一番効率的ですね。
それをわざわざブログに書くのは、
「一般の人が読む」とか、
「ニュースに取り上げられる」といった事を前提とした、
他の意図を思っていませんか?
自分でも意識すらしていないかも知れません。
冷静に、考えてみて欲しいです。
何を思って、
「担当者に連絡」するのが効率的なのに、
「ブログに投稿」したんだろう?
って。。。
ちょっとモヤモヤしたので書いてみました。
あ、あと、「うれしい悲鳴!」ツイートって、直接的には在庫のある書店向けの協力要請ですが、
『魔法のコンパス』を知らない人向けの、
「こんな本売れてますよ!」ってお知らせする広告効果があると思います。
そうだとすると、
さらに売れて、
増刷を重ねて、
西野さんは儲かって、だけど、
西野さんに「需要予測外れてるよ」と思われて、
批判されて、
主婦と生活社は印象悪くして、、、
って悪循環にならなければ良いのですが。。。
もう1つ。
『魔法のコンパス』も読んでいないので、クラウドファンディングを詳しくは知りませんが、
西野さんは、ファンの人に、「良い作品を作るはず」と信用されれば、クラウドファンディングでお金を集められるかも知れません。
でも、銀行がお金を貸すのは、「元本と利息を払える」と信用した時ですし、
投資家が投資するのは、基本的に、「キャピタル・ゲイン、インカム・ゲインを得られる」と信用した時です。
そんなドライな社会で、皆さんビジネスを展開しています。
再度書きますが、
ビジネス書の『魔法のコンパス』は読んでいませんが、私が読んだ絵本作品に関しては本当に素晴らしいです。
相当な時間と情熱を傾けただろうと思わせる作品群です。
余計なブランディングも、余計な炎上も……それが意図的なら、何て言うのか、モッタイナイって感じるんです。
素敵な作品を、素敵だと思う読者が読む……それだけで充分だと思うんです。
まぁ、個人的な感想です……。
希望を言えば、「えんとつ町のプペル」をアニメ映画に出来れば、スゴく面白いと思います。。。
長文にお付き合い頂きありがとうございます。
m(__)m