我々が、普段、何気に食べているトマトであるが、デカイ奴になると、祖先の野生種
のトマトの実の1,000倍もの容積がある。逆に云うと、野生種を栽培して行くうちに品種改良が進んで、そこまで実を大きく出来た訳だ。
花の雌蕊の構成要素を心皮(しんぴ)と云い、多くの植物では複数の心皮が合体して、ひとつの雌蕊を構成している。例えば、オクラの実を輪切りにすると、(多くの場合)5つの部屋に別れているのが分かるが、これは5心皮が合体してオクラの雌蕊が出来ていることを意味する。
雌蕊は、大きく柱頭、花柱、子房と云う部分に分かれ、柱頭に花粉が着いて受精が起こり、子房の中で胚珠が育ち、やがて種子となる。トマトの実は子房が大きく発達した物であるので、実を大きくするには、細胞分裂の回数を増やして大きな子房を造るか、或いは、心皮の数を増やして大きな子房を造れば良いことになる。実際に、両方の方法で、トマトの実が大きくなって来たようであるが、後者の方が、実の巨大化にはより大きな影響がある。
これ迄に大きな実を造るのに関わっている遺伝子座が幾つか同定されているが、今回、そのうちのひとつ
fasciated (fas) 遺伝子の正体が分かったと云う論文
が出ていました。
fas遺伝子は心皮の数を制御するらしいことは分かっていたのだが、論文に依ると、どうやらfas遺伝子が作るタンパク質は、YABBY様の転写因子らしいことが新たに分かった。転写因子とは、遺伝子の転写制御領域に結合して、転写を制御するタンパク質である(『転写』や『転写制御領域』に関しては過去のエントリー
で述べているので、参照されたし)から、fas遺伝子が変異して作られる転写因子の働きが変われば、その制御下にある一群の遺伝子の働きに影響が出て、その結果、実の大きさに差が出ると云うのは分かりやすいね。
ところがである。
fas遺伝子の働きの違いに依って、結果的に、実の大きさが異なるのに、不思議なことに、大きな実をつけるトマトも小さな実をつけるトマトも、fas遺伝子が作る転写因子のタンパク質の構造そのものには差がない。
では、どうやって、fas遺伝子が作る転写因子の働きが変わったのか?
はてな?と云うので、更に調べてみると、どうやら、 fas遺伝子の転写制御領域に変異が起きて、大きな実をつけるトマトでは、fas遺伝子の発現量が低くなっている、と云うことが分かったそうな。つまり、転写因子が作られることは作られるが、量が少ないので、その制御下にある遺伝子の制御がおかしくなると云うこと。
結局、この論文では、この転写因子が、実際にどういう働きをしているのかと云うところまでは解明出来ていないので、心皮の数が増えるメカニズムについては不明のままであるのが、ちょっと不満。ぶぅーっ!
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