指長鼠 | Flog

Flog

Frogの研究者の息抜きblog

--- since 01-06-07 ---

コウモリ の翼は、他の哺乳類の手に相当cache )する訳だが、進化の過程で、どうやって、手から翼に変化したのか?

それに対する答えの一部が、この論文 に。

御存知の様に、多細胞生物は、最初は、ひとつの細胞(=通常は受精卵)から始まる。一つの細胞が分裂を繰り返し、まとまった数の細胞が、組織、器官へと分 化し、身体を徐々に形作って行く。これが発生である。この際、組織、器官に特異的に特定の遺伝子のセットが働くことに依って、細胞に特異性が与えられる訳 だ。この遺伝子が働くと云うのは、具体的、且つ、大雑把に云えば、遺伝子の情報を元に、目的に応じた様々なタンパク質が作られると云うことである。身体を 家に例えるなら、設計図(=遺伝子)を元に、自給自足で、柱やら瓦やら壁紙やら(=タンパク質)を作り出す訳だ。台所と居間(=器官)では、必要な材料が 同じ場合もあるし、当然、異なる場合もある。

遺伝子が働く為には、先ず、DNAの情報をmRNAに書き写す必要がある(これを『転写』と呼ぶ)。mRNAはやがてタンパク質製造工場へ運ばれて、タンパク質が作られる(これを『翻訳』と云う)。

目的に応じて、遺伝子が、必要な時に必要な場所で、『転写』されることが、正常な発生に必要不可欠な訳だ。

この『転写』を正確に行う為に、DNA上に司令塔が存在する(これを『転写制御領域』と呼ぶ)。コウモリの翼とマウスの前脚の手は、基本的な構造は同じで ある、つまり、基本的な材料は一緒であるが、使われる量やそのタイミングが異なるが故に、一方で翼、他方で手になる訳だ。翼に必要な材料をタイミング良く 適正な量を作る為に、コウモリの遺伝子に特異的な『転写制御領域』があり、同様にマウスの手を作る為には、マウス特異的な『転写制御領域』がある訳だ。

この論文中では、マウスの手の発生に必要な或る遺伝子の『転写制御領域』をコウモリの相当する『転写制御領域』に置き換えたところ、何とマウスの手の指がびょ~んと伸びたと云うお話。まぁ、ちょっと長くなった程度だけどね。

生き物の世代交代が進んで行く中で、様々な遺伝子上の『転写制御領域』が、突然変異に依り少しずつ変異を起こし、世代が進むに連れその変異が蓄積して行き 或る程度に達した時に、転写の制御能が変わり、それが元で形態の変化が引き起こされ、それがたまたま生存に有利だった場合に、その変異が子孫に伝わって、 祖先と違う生物に変わって行くと云うのが、進化の源かも、と云うお話でした。

ん~ん、素人用に解説しようとしましたが、上手く行きませんでした。ぺこり。

今日の 世の中: フロリダ州予備選、民主クリントン・共和マケイン両氏が勝利;霞が関、戦々恐々 首相肝いり「消費者庁」構想;ハンドボール女子、日本は韓国に敗れ世界最 終予選へ;時効まで2か月の男児ひき逃げ、「心痛め」知人通報で逮捕;名市大博士号収賄、調査に応じた教授19人が謝礼受ける;下関沖→青森、漂流1千キ ロ…小瓶入りはがき29年後返信;社保庁:半年で317人退職 批判に嫌気;野生のゾウ、米国人観光客を襲う 中国雲南省

今日の瞬間最低体脂肪率: 22%
今日の万歩計:
10,520、364.8Cals