『The Wall (ザ・ウォール)』 リリースに伴って行われた,1980年~1981年の The Wall ツアーから久し振りのリリースです.しかも初登場の高音質音源です.

 35年弱経過しているのに,未だこんな高音質な音源が発掘されずに残っていたんですね.

 『The Wall (ザ・ウォール)』 の完全再現は,多数のサポートミュージシャン等を従え,演奏のみならずシアトリカルな一大エンターテインメント・ショウを行った関係もあり,そのあまりの大掛かりなステージ・セットの為,通常のライブ・ツアーではコストがかかりすぎ,同一会場での連続公演のみというスタイルで,公演地と公演回数が限られ,結果的に,1980年 2月のロスアンゼルス 7公演,ナッソウ 5公演,同 8月のアールズ・コート 6公演,翌1981年2月のドルタムント 8公演,同 6月のアールズ・コート 5公演と,2年間で計 31公演しか行われませんでした.

 本音源は,1981年2月13日~2月20日まで行われたドイツはドルトムントのヴェストファーレン・ハレの連続 8日間公演の 5日目に当たる,2月17日を収録したもので,Sigmaレーベルからのリリースです.

 また,かなりの高音質のオーディエンス録音であり,コアなファン以外でも充分に楽しめるのでは無いかと思います.CDタイトルも「 ドルトムント 1981年 5番目の夜」という事で,シンプルにそのままですね.

 ピンク・フロイドと言えば Sigmaレーベル,Sigmaレーベルと言えば,LIGHTHOUSE ですね.

 メーカー情報では
 『フロイド初登場音源が続きます!! 44年振りに陽の目を見た箱根アフロディーテ新発掘秘蔵音源のリマスター+レストア版『HAKONE APHRODITE 1971: Remastered & Restored (Sigma 139)』の登場でますます盛り上がりを見せるピンク・フロイドですが、今週はもう1タイトル、1981年THE WALLツアーから34年間も陽の目を見なかった2月17日のドルトムンド公演もプレス盤で初登場致します!!
 この公演はTHE WALLの81年ツアー初回となる2月13日から8日間連続で行われた西ドイツ・ドルトムンドでの公演5日目ですが、この連続公演からは3日目の『DORTMUND 1981 3RD NIGHT (Sigma 134)』が今夏8月に当レーベルから世界初登場し、その優れた演奏と特上の音質で多くのファンに話題を振りまきました。実はこの3日目同様に本作収録の17日・5日目も既発盤が存在しておらず、これは知る人ぞ知るドルトムンド連続公演の意外なエアポケットとなっていた訳ですが、今週はこれが世界初登場のプレス盤タイトルとして堂々誕生するのです!!

 34年間全く音盤化されなかったというのも驚きなのですが、更に驚くのはその音質です。そのサウンドは前述の3日目『DORTMUND 1981 3RD NIGHT』以上にクリアーで近く、しかもノーカット録音されているという嬉しいアドヴァンテージも伴っているのですからたまりません!!
 連続公演の中間日ならでは緊張感が程好く解けた、その熱の篭った演奏は間違いなく他日のドルトムンド公演とは違った魅力を噛み締められるものとなっており(※後述する「The Last Few Bricks」や「Comfortably Numb」の解説をお読み下さい)、今夏に出た3日目タイトルと同じく熱心なファンは新たなるマスタークオリティ音源の登場に唸ること間違い無しのタイトルとなっています。
 また今回入手したこの初登場オーディエンス録音は基本的な音質が優れていた事もあり、イコライジングはピッチ補正と僅かな音像調整、そしてノイズ除去程度に留めてある事も付け加えておきましょう。ありがちな過剰なエコー成分の付け足しや安易な音圧アップ等の原音イメージを変えてしまう作業は一切せず、当日の会場の空気をたっぷり吸い込んだ収録原音が持っている響きを " 最新にして最小限 " のデジタル技術で34年後の現在に一音も残さず甦らせたベストサウンドを実現しています。どんな再生環境でも当日の生々しい音像が現れ、どこまでも原音に忠実でナチュラルな仕上がりが自慢のタイトルとなっているのです!!

 収録は開演前のMCから入っており、パイロの爆音から「In The Flesh?」に雪崩れ込むダイナミックなサウンドにいきなり息を呑むでしょう。唯一、テープ経年劣化の為にこの曲の途中で全体の出音が弱く不安定になるシーンが少しだけ含まれているのですが、本作で音像の難点と言えるのは唯一この部分のみで、次の「The Thin Ice」からは非常に安定した質の高い音像がディスクエンドまで保たれます。「Mother」ではアコースティックの響きとロジャーの歌声が艶のあるサウンドで立ち上がり、途中で入ってくるギターもそのストロングな旋律が透明度の高い音色で現れ心ときめくでしょう。同様に「Goodbye Blue Sky」でのコーラスとギターのアルペジオもその綴れ合う溶解感が見事に出ていて、ここはたゆたう様に流れる旋律に間近な音で接する悦びを備えています。「Young Lust」ではギルモアの熱唱とギターの歌い上げが鮮やかなサウンドで録れており、これに後半のエレキピアノが芯のある音で現れる事で曲がキリッと引き締まった表情で楽しめるのも嬉しいところです。「One Of My Turns」も前半と後半で変化するイメージを見事にキャッチしていて、リズムと旋律の起伏に富んだ曲表現を確かな聴き心地で掴み取ってゆけるでしょう。またあまり注目されませんが「Don't Leave Me Now」の倦怠感に充ちた音像を実に生々しく捉えているのもこの録音の特徴で、響きの彫りの深さをじっくり感じられる事も見逃せないトピックとなっています。「The Last Few Bricks」では曲構造の強弱から現れる対比表現が音域全体で広がる様子に心躍るでしょう。特に2分41秒からの展開は熱演が放つエネルギーの放射が素晴らしい音触で耳元に届くので是非チェックしてみて下さい。「Goodbye Cruel World」は会場全体が息を呑んで最後のブロックの隙間から歌うロジャーを見守っている様で、録音機周辺や会場全体が異様に静かなのが興味深いところです。他日のドルトムンド公演でも似た印象がありますが、そのお陰で静音の魅力が音域一杯に広がっています。

 インターバル中に客電が点いた状態から始まる「Hey You」はカットインですが、これはどの THE WALL 録音でも仕方の無いところでしょう。でもサウンドは相変わらず良好で、程好い距離感を保つ見通し良好な音像はディスク2でも全く変わりません。「Nobody Home」は瑞々しいピアノとロジャーの歌声による調和の取れた透明サウンドが魅力で、途中のエコーと後半のSE音もバッチリ拾っているので小曲ながらも深い聴き応えを感じる一曲となっています。「Comfortably Numb」はこの日も好演で、ギルモアが歌うパートになると拍手が起こるなど歌唱とギターでその活躍が大変目立つものとなっています。特に後半ギターソロでの力漲る旋律の歌い上げはこの日ならではの煌きがあり、これが五感を刺激する質の高いサウンドで堪能出来る喜びは本作全体の聴きどころと言っても過言ではないでしょう。「The Show Must Go On」はその特徴的な多声コーラスが艶のあるふくよかなサウンドで聴く側を優しく包み込みますが、「In The Flesh」ではこれと対を為す様にアジり叫んで歌うロジャーの魅力が炸裂し、マッシヴな音の壁がグサグサと刺し込まれるその音像に手に汗握る筈です。「Run Like Hell」はこの日もMCで観客が拍手を即されスタートしていますが、間が悪かったのか他日公演ほどの拍手を得られないまま曲が動き出すという一風変わった導入部となっており、ここはそうした客層の反応の違いも面白い聴きどころになっています。しかし曲中のギターは大胆に鳴き、その後の前衛的な旋律を振りまくキーボードも他日の演奏以上に不思議なフレーヴァーを大量に振りまくなど、鮮烈な演奏が特上サウンドで耳元に広がりますので御期待下さい。「Waiting For The Worms」もスローテンポの中にある幅広いスケール感が音像から色濃く滲み出ており、重苦しい曲想の中でアジテーションが延々と続く姿が魅惑のサウンドで御愉しみ戴けるでしょう。勿論「The Trial」では壁崩壊に向かうまでの不気味な流れと壁の崩れる轟音が臨場感たっぷりに現れ、この日のドラマを完結させる情景を鋭いサウンドで御堪能戴けます。

 THE WALL公演はどれもそこそこ似た印象がありますし、8夜連続した公演のほぼ中間日とあってはその演奏内容は如何なものかと疑問に思うのも無理からぬところですが、しかし我らがフロイドにそんな心配は御無用です。「The Last Few Bricks」や「Comfortably Numb」「Run Like Hell」の部分でも書きましたが、これまで陽の目を見なかった公演日にこういう熱演が含まれているからこその発見と興奮もこの録音の大きな魅力となっていますし、3日目の『DORTMUND 1981 3RD NIGHT』と聴き比べて戴ければ演奏濃度が日増しに変化と向上を重ねていた事を本作は質の高いサウンドで伝えてくれるでしょう。1971年・箱根アフロディーテからジャスト10年後、THE WALLにもあった81年の初登場音源。どちらも44年振り・34年振りとなる大発掘音源ですので、この週末は『HAKONE APHRODITE 1971: Remastered & Restored』と一緒に是非本作も手に入れ、ついでに魅惑のギフト盤も手にしてフロイド三昧の秋の夜長をお過ごし戴きたいと思います。比べるとどうしても箱根音源にスポットが当たりがちですが、しかし本作もまた聴かせ抜く力に溢れた充実の初登場81年タイトルである事は間違いありませんので、この機会に是非手に取ってその実力をお確かめ下さい!!』

Dortmund 1981 5th Night (Sigma 140)
 
 Live At Westfalenhalle,Dortmund,GERMANY 17th February 1981

 Disc 1
  1. MC Intro
  2. In The Flesh ?
  3. The Thin Ice
  4. Another Brick In The Wall (Part 1)
  5. The Happiest Days Of Our Lives
  6. Another Brick In The Wall (Part 2)
  7. Mother
  8. Goodbye Blue Sky
  9. Empty Spaces
  10. What Shall We Do Now ?
  11. Young Lust
  12. One Of My Turns
  13. Don't Leave Me Now
  14. Another Brick In The Wall (Part 3)
  15. The Last Few Bricks
  16. Goodbye Cruel World
  TOTAL TIME (54:48)

 Disc 2
  1. Hey You
  2. Is There Anybody Out There ?
  3. Nobody Home
  4. Vera
  5. Bring The Boys Back Home
  6. Comfortably Numb
  7. The Show Must Go On
  8. MC Intro
  9. In The Flesh
  10. Run Like Hell
  11. Waiting For The Worms
  12. Stop
  13. The Trial
  14. Outside The Wall
  TOTAL TIME (53:18)

 One Of My Turns 
 
 The Last Few Bricks 
 

 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,1981年2月20日ドイツはドルトムントのヴェストファーレン・ホールでの8日間連続で行われた 「The Wall」 ライブの最終日公演を完全収録した同日公演音源決定版 『Westphalian Wall (Sigma 17)』 が付属しています.
 ただし,プレスCDの在庫は50セットのみらしいので,品切れと同時に同内容の CDR盤に切り替わる模様.
 ある意味在庫整理と言うところだと思いますが,未だ本CDを持っていない方にとっては,嬉しい企画だと思います.何せ当時の Sigmaレーベルは,2枚組だと¥5,400円前後だったと思いますので....

 この盤は,過去のブログ(:「Westphalian Wall (Sigma 17)」)にも記載していますので,そちらも参考にしてください.

 メーカー情報では
 『1981年2月20日、ドイツのドルトムントで8日間連続で行われた「The Wall」ライブの最終日公演を極上オーディエンス録音で完全収録。
 元々、音が良いことでトレーダー間では有名な公演ですが、本盤は、2008年に出現した過去の既発を上回る 1st gen テイクを収録しています。提供者のドイツのハード・コレクターの「The best version of this show」との説明どおり、当時の客席録音としては、完全別格のハイ・クオリティ・サウンドで収録されており、太く、パンチの効いたナチュラルなテイストの極上音質でショウの全貌を堪能することができます。
 今回登場した 1st Gen テイクは Mother の 1:57でカットがありますが、本盤は同公演の Low Gen テイクをパッチしています。(その部分の3秒間のみ音質が落ちます。)後半の In The Flesh の前の語りはドイツ語で行われますが、途中からロジャーも加わりドイツ語と英語による寸劇風になります。ナチスを連想させるハンマー・デザインや In The Flesh の人種差別風のアジテーション、右翼的な Run Like Hell、そして Waiting For The Worms の歌詞イメージなど、戦後35年経過した時期とは言え、ドイツの聴衆にとっては相当に刺激的な内容だったのではないでしょうか。
 The Trial の後半、 The Worm 判事パートの 4:40からの7秒間、(...before your peers. Tear down the wall!) テープが酷くうねる部分があるのですが、これは会場でのテクニカル・トラブルということとされており、このパートの問題は過去の全ての同テイクでも聴くことができます。Outside The Wall では素晴らしいショウを見せてくれたバンドへ大喝采が送られます。1981年ドルトムント公演を代表する最高の「ウォール・ライブ」盤。81年ドイツ最終ショウを最高の音質でお楽しみ下さい。

 ★beatleg誌 vol.98(2008年9月号)のレビュー要約です。ご参考まで。

 1981年のDortmund公演最終日を収録した「WESTPHALIAN WALL」。
 この Dortumund公演では、ナチスの「カギ十字」を彷彿させる「ハンマー親衛隊」の紋章がプリントされ巨大な旗が場内を埋め尽くされた。父親を第二次大戦で失った Watersの個人的な報復というか挑発に満ちた、非常に攻撃的で異様な環境下で開催された。場内に進入した観客は「単なるショウ」と割り切れたのかどうか、興味深い点ではある。本音源に使用された音源は、マスターテープからコピーされた 1st gen のオーディエンス録音。録音者周辺の若干の喋りを除けば、バランスや立体感は群を抜いて素晴らしい。この2月20日のコンサートを録音しおた音源は一種類しか存在せず、genが判明している当音源が最も安心して聴けるかもしれない。

 ★2008年にリリースされ、高い評価を得た1981年ドルトムンド最終公演の決定版「WESTPHALIAN WALL」。ドルトムンド5日目公演盤「DORTMUND 1981 5TH NIGHT」と一緒にお楽しみ下さい。』

Westphalian Wall (Sigma 17)
 
 Live At Westfallenhalle,Dortmund,GERMANY 20th February 1981

 Disc 1
  1. MC Intro
  2. In The Flesh ?
  3. The Thin Ice
  4. Another Brick In The Wall (Part 1)
  5. Happiest Days Of Our Lives
  6. Another Brick In The Wall (Part 2)
  7. Mother 8. Goodbye Blue Sky
  9. Empty Spaces
  10. What Shall We Do Now
  11. Young Lust
  12. One Of My Turns
  13. Don't Leave Me Now
  14. Another Brick In The Wall (Part 3)
  15. Goodbye Cruel World

 Disc 2
  1. Hey You
  2. Is There Anybody Out There ?
  3. Nobody Home
  4. Vera
  5. Bring The Boys Back Home
  6. Comfortably Numb
  7. The Show Must Go On
  8. MC Intro
  9. In The Flesh
  10. Run Like Hell
  11. Waiting For The Worms
  12. Stop
  13. The Trial
  14. Outside The Wall

[参考]
 ドルトムント公演の映像(日付不詳)
 

The Wall Tour
 1980
 February
  07 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  08 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  09 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  10 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  11 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  12 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  13 Los Angeles Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA
  24 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, Long Island, NY, USA
  25 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, Long Island, NY, USA
  26 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, Long Island, NY, USA
  27 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, Long Island, NY, USA
  28 Nassau Veterans Memorial Coliseum, Uniondale, Long Island, NY, USA

 August
  04 Earls Court Exhibition Hall, London, UK
  05 Earls Court Exhibition Hall, London, UK
  06 Earls Court Exhibition Hall, London, UK
  07 Earls Court Exhibition Hall, London, UK
  08 Earls Court Exhibition Hall, London, UK
  09 Earls Court Exhibition Hall, London, UK

1981
 February
  13 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  14 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  15 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  16 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  17 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  18 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  19 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY
  20 Westfalenhalle, Dortmund, GERMANY

 June  
  13 Earls Court Exhibition Hall, Earls Court, London, UK
  14 Earls Court Exhibition Hall, Earls Court, London, UK
  15 Earls Court Exhibition Hall, Earls Court, London, UK
  16 Earls Court Exhibition Hall, Earls Court, London, UK
  17 Earls Court Exhibition Hall, Earls Court, London, UK

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ザ・ウォール・ライブ アールズ・コート 1980-1981



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