1972年の初来日公演終了後,米国に渡って行われた8月~9月の東海岸ツアーより,8月30日に行われたニューヨーク・ブロンクスのゲーリック・パーク公演を収録したものです.
 但し,この公演日に関しては諸説あります.この公演はフリートウッドマック,エルフがサポートしており,オープニング・アクトをつとめたエルフの資料によると「31日に予定されていたものが,30日にリスケジュールになった」と記載されています.逆にこの音源の中で,バンドのサウンドチェックの際に,ギランが "Sorry About Last Night But Our Equipment Didn't Make It And It Would Seem Pointless To Do A Gig Without Any Equipment, Alright, So We Thought We'd Make It Tonight" と前夜に関する謝罪をしており,私的には,31日であったように思います.


 音はパープルらしく大音量での公演のせいか相応な歪みがあり,後述のメーカー情報ではサウンドボード云々と記載されていますが,流石にそれは無いです.(笑)

 来日直後というだけあり,セットリストは似ていますが「Child In Time」が演奏されていません.ギランの声の調子が悪くセットリストから外されているのかも知れませんが,「Starnge Kind Of Woman」のかけ合いとか,エンディングのハイトーンを聴くと,それも余り考えられません.確か,この後のツアーでも「Child In Time」はセットリストに入っていた記憶がありますので,疑問です.

 始まりは何時ものサウンドチェックの延長で,メンバーが何時でも演奏できる準備が整った時点で「Allrigh! Song Call Highway Star」のギランの掛け声から1曲目の「Highway Star」が始まります.ギランも吠えており,おそらく絶好調でしょうし,ブラックモアのギターもドライブ感が凄いです.「Smoke On The Water」ではイントロ部分でブラックモアとペイスの遊びがみられます.「Starnge Kind Of Woman」中間部でのギランとブラックモアのかけ合いは必聴もので,最後のシャウト部分も凄まじいです.そして6分に及ぶペイスのドラムソロを含んだ「The Mule」,続いて冒頭にロードのハモンドオルガンをフューチャーした「Lazy」と続きますが,「Lazy」では 6分24秒のところにテープを繋ぐ際の問題なのか小さなミスがあります.然程気になるものではありません.そしてコンサートの山場であり,メインセット最後の曲「Space Truckin'」へと続きます.イントロのリフでギランが観客を煽るため会場が盛り上がっていくのが手に取るようにわかり,何時もどおりの「Mandrake Root」ジャムを含んだスリリングな演奏が計22分展開されます.
 アンコールでは日本公演でも演奏された「Speed king」.ここでもブラックモアとギランのかけ合いがあり,ロードのハモンドも入って一体化,終盤ではギランがバディ・ホリーの「Not Fade Away」を歌っています.クライマックスをむかえ演奏が終了し,ギランが "God Bless You! Good Night!" で一旦終了し戻ろうとしますが,"One More Come On! Let's Go!" のかけ声で 2曲目の「Lucille」を開始します.冒頭の入りが格好良く,後半はアップテンポになり終了します.


 メーカー情報では
 『この日の演奏は「BRONX 1972」等の既発タイトルが"サウンドボード音源"といわれるほど、安定感と明度に優れた音源が知られていましたが、本作はそれら既発と同系統ながら、新たに発見された上位マスターを用いています。鮮度の高さが生み出す音の抜けは言うまでも無く、演奏の輪郭や分離感もこれまで出回っていた音源とは比較にならない程のアップグレードを果たしており、音の迫力は格段に向上しています。スピーカーから突き出るように感じられるほどオンなサウンドで捉えられたリッチーのギターを始め、各メンバーのパートが大変クリアに収録されているのが本作の大きな特徴です。中でもギランのヴォーカルは最高の聴き応えで収録されており、壁から突き破るような歌声は終始圧巻の一言です! ステージとテーパーの距離感が驚くほど近くに感じられ、歪むか歪まないかギリギリのレベルで収められた音像は、ハードロック・ライヴの理想的な音像です。
 初来日直後のライヴ、というだけで演奏の凄さは想像が出来ますが、実際の演奏はその想像をも上回ります。バンドのヴォルテージは日本でのライヴと遜色なく、荒々しさとスピード感に満ちた第二期ならではの演奏を堪能できます。9月のイギリスツアー、10~12月のアメリカツアーではバンド内部の人間関係が悪化してライヴにもその悪影響が出始めるため、バンドがまだ高い意気を有していたこの時期の演奏が、本作のような極上のオーディエンス素材で残された事は、ファンにとって本当に幸運だったと言えます。
 駆け抜ける嵐のような「Highway Star」、かつてここまでの音で記録されたオーディエンス・テイクがあっただろうか?と考えてしまうほどの「Strange Kind Of Woman」(曲中のリッチーとギランのコール・アンド・レスポンスは必聴!)など、ライヴ序盤から獰猛なまでにライブリーなサウンドは堪りません。全ての楽音がマックスに出力されてもワイドでレンジの広い音像がしっかりと受け止めているので、全体の音像が破綻する事もありません。雷鳴のような「The Mule」のドラムソロや、耳をつんざくオルガン・イントロに導かれる「Lazy」の豊かな音色はまさに本音源の真骨頂です!
 ライヴのハイライト「Space Truckin'」で繰り広げられるスリリングな演奏は何と表現すれば良いのか戸惑うほどの迫力です。猛り狂うギランのヴォーカル、それに触発されたかのようなリッチーのフリーキーなソロはどちらも圧巻で、20分以上に渡るメンバー5人のバトルは凄まじいものがあります。来日公演と並ぶ最高のプレイが目の前へリアルに浮かび上がるサウンドに、全ての聴き手は圧倒されてしまう事でしょう。もちろんアンコールの「Speed King」・「Lucille」でも音質と演奏のテンションは全く揺らぎません!
 第二期PURPLEのライヴで欠かせない「Child In Time」の未収録が残念ではありますが、それ以外は'70年代初期の客席録音のレベルを超えた、ほとんどパーフェクトなサウンドを満喫できます。』
との事です.

 オフィシャル「Made In Japan」(「Live In Japan」)は非常にコンパクトにまとまっていますが,私的には,こちらの演奏の方が好みです.


The Bronx (Darker than Blue 091/092)
 $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Deep Purple The Bronx
 Live At Gaelic Park, Bronx, New York, USA 30th August 1972 TRULY AMAZING SOUND

 Disc 1
  1. Intro
  2. Highway Star
  3. Smoke On The Water
  4. Strange Kind Of Woman 
  5. The Mule (Incl. Drum Solo)
  6. Lazy

 Disc 2
  1. Space Truckin'
  2. Speed King
  3. Lucille 

 Ian Gillan - Vocal
 Ritchie Blackmore - Guitar
 Roger Glover - Bass
 Jon Lord - Keyboards
 Ian Paice - Drums

 
 Highway Star
 
 
 Strange Kind Of Woman
 

 Speed King
 




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