請求人(納税者)は、同族会社が請求人との間で合意した土地の賃貸借契約に係る賃料として収受した本件賃料額を容認しても、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果にはならない旨主張する。
国税不服審判所は、所得税法第157条(同族会社等の行為又は計算の否認等)第1項の「所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」かどうかは、当該行為又は計算が経済的合理性を欠くか否かにより判断すべきであり、「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」とは、経済的合理性を欠いた行為又は計算の結果として所得税の負担が減少することをいうものと解すべきであって、
土地の賃貸借契約に関していえば、立地条件、用途、規模などの貸付地の状況が類似する土地(比準貸付地)であれば、特別の事情がない限り、賃料の額は同程度となるといえるから、同族会社とその株主等との間で貸し付けられた土地と立地条件、用途、規模などが類似する比準貸付地を抽出し、その比準貸付地の平均賃料を用いて算定した適正賃料額と実際に株主等が同族会社から収受した賃料の額とを比較して、同族会社がその株主等と合意した賃料の額が経済的合理性を欠くか否かを判断することも許されるというべきである。
本件賃料額は、本件各年分においていずれも適正賃料額を大きく下回り、これにより請求人の所得税の額も減少するのであるから、同族会社が請求人との間で合意した本件賃料額を容認した場合には請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果になると認められる。
平成23年7月8日裁決
(ポイント)
この事例は、請求人が同族会社に賃貸した土地で、その同族会社が①第三者に駐車場用地として転貸したもの、②第三者に賃貸するための倉庫、事務所用建物の敷地として使用したもの、③第三者に賃貸するための店舗・事務所・住居用建物の敷地として使用したものに係る賃料の額につき、所得税法第157条の規定の適用が認められるか否かを判断したものである。
(参考)
法人税法第132条第1項にも同様な規定があります。
税理士ゆーちゃん より
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