平成17年度
有用微生物による環境改善実験事業(英虞湾浄化調査)の概要
http://www.eco.pref.mie.lg.jp/earth/100150/em/report.htm
まとめ
水質保全対策が必要な閉鎖性水域の水質・底質改善を目的として、平成13年から
平成17年度まで有用微生物群を実験フィールドに投入し、水質・底質その他の海域
環境に関する調査を実施した。経年的なデータが蓄積されたことから、その有効性
について考察を行った。
水質については、実験区、対照区とも変化は確認できなかった (当該実験フィールドのCODは測定結果からもわかるように1~3mg/L前後と比較的きれいな水域であり、この水質レベルにおいて、変化は確認できなかった )。
底質については、実験区において、腐敗・還元性・悪臭の指標であるAVS(神明地区)及び汚濁指標であるCODに減少傾向が確認された。
なお、対照区等においてはその傾向が確認されなかった 更に 地域漁業者に対する聞き取り調査においても アマモが増えた 「悪臭がなくなった」などの回答があり、底質改善への一定の効果があると推定される。
アマモなどの海草藻類調査等においては実験区では経年で藻場分布の拡大が見られたが、対照区では顕著な拡大は確認されなかった。また、藻場密度については実験区では分布の拡大に伴い一時的に増加したが、その後増加傾向は継続せず、対照区については緩やかに増加した。
投入微生物が藻場に与えた影響については、この実験期間で断定的な評価を示すことは難しいものの、分布の拡大は確認している。
なお、実験の全期間を通して、底質、藻類等に対し、投入微生物により悪影響を与えるような事象は確認されていない。
微生物を活用した改善対策は、微生物が最大限にその特性を発揮するための至適
条件があり、それを活用するフィールド条件に左右される。
このことから、本県の実験結果を用いる場合、そのフィールドに合うか否かの予備調査を行い、活用していくことが望ましいと考えられる。