Especia「GUSTO」 | Rotten Apple

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[Japan,Pop/Funk/AOR]

01.Intro
02.BayBlues
03.FOOLISH
04.アバンチュールは銀色に (GUSTO Ver)
05.Mount Up
06.BEHIND YOU
07.嘘つきなアネラ
08.Intermission
09.No1 Sweeper
10.L'elisir d'amore
11.海辺のサティ (PellyColo Remix)
12.ミッドナイトConfusion (Pureness Waterman Edit)
13.くるかな
14.アビス
15.YA・ME・TE! (GUSTO Ver)
16.Outro


アイドルにストーリー性を求めるのはもう時代遅れなんだと、Especiaのワンマンライブを観て思わされた。人の心を掴むのにストーリーなどいらない。個々のバックグラウンドやサクセスストーリーなどの知識、ましてや過剰なケチャやMIXすらいらない。単純に素晴らしい音楽とパフォーマンスを見せられれば簡単に心は掴まれるのだ。今後のシーンはそういう方向へとシフトしていくのだろうと感じた(あのライブをこれからのアイドルの基準とするにはあまりに高すぎるが)。

大阪の堀江を拠点とする6人組ガールズグループEspeciaが1st Album「GUSTO」をリリース。楽曲派アイドルと呼ばれる中でもトップクラスの音楽性・コンセプト。ジャンルを問わない音楽好きであるならば必ず押さえておくべき一枚だ。
Especiaはレイト80's~アーリー90'sなファッションに身を包み、FunkやAORの影響を受けたアーバンサウンドとクオリティの高いパフォーマンス、そしてインテリジェンスを感じる独特なプロモーションで話題を集めている。

"タク券とシャンパンとアップテンポナンバー 飛び交うドラマのようなジャパン取り戻せ"
ライブでの定番曲「Good Times」の歌詞が象徴的なように、リアルタイムでバブルを経験していない世代が憧れとともに当時の空気を想像しながらオマージュした、言わばバブルリバイバルというコンセプトで作り上げられている。リード曲「No1 Sweeper」やシングル「YA・ME・TE!」を聞けばそういったバブルの空気を纏う質の高いアーバンサウンドが評価されていることに納得するはずだ。

Hi-Hi-Whoopeeが彼女達を取り上げていたことからもわかるが、そういった抽象的な存在を作り上げるという発想にVaporwave/Mallsoft的インターネット世代らしさを感じる(Schtein & LongerはVaporwaveの影響を受けていることを公言している)。
それはVaporwaveなMVで話題を呼んだ「アバンチュールは銀色に」、深夜の天気予報番組をイメージした「くるかな」で顕著に表れている。ライブDVDをVHS化したり、プロモーションに野菜をフィーチャーするなどの悪ふざけっぷりからも。そういった製作陣と何を意図しているのかイマイチ掴めていないメンバーとの剥離から生まれる違和感こそがEspeciaの魅力のひとつだろう。

また原色使いの奇抜なファッションからスポーツミックスファッションへと変わっていることから、少しずつ軸が80'sから90'sへと進んでいることが感じられる。ベタな80'sポップスだった彼女達の代表曲「ミッドナイトConfusion」はアルバム用にエディットされ、アルバム曲の中でも特に際立っていた「FOOLISH」「アビス」では90's JPopなエッセンスが取り入れられている。「L'elisir d'amore」ではウィスパーラップも。
インターネット世代の音楽シーンはトレンドの移り変わりが激しく、総じて飽きが早い。Especiaの音楽も当初に比べ徐々に変化している。次の一手はどう来るのだろう。もし次の音源が前例を踏まえたものだったら失望しまうかもしれないが、S&Lやホンマカズキといった製作陣には杞憂か。時代の流れを考えると彼らが語っていた黒ギャル化(アムラー的な)というのもあながち冗談ではない気もしてくる。

S&Lは本作の大半をサウンドプロデュースしているとともにBiSの「nerve」を手掛けたことでも有名。アイドルの限界を拡げ続けた先輩BiSのラストシングルリリースと、アイドルの在り方を再定義するようなEspeciaのアルバムリリースが重なったのは偶然だろうか。冒頭に記載したことや握手会商法が限界を迎えつつあることも踏まえ、何か流れが変わる予感がしているのは少数ではないだろう。

いくつかあげたように製作陣によって作り上げられた音楽性・コンセプトをエンターテイメントとして成り立たせるパフォーマンス力、そしてメンバー6人の魅力があってこそというのは再度付け加えておきたい。各メンバーのキャラクターについてはインタビューをぜひ。
トピックスが多いため長くなってしまったが、一番伝えたかったことを最後に書いておこう。

脇田もなりかわいすぎか。歌唱力が別次元へとレベルアップしているのに、今までにない歌い方を目指して頑張りましたとかで済ませちゃうし笑顔癒されるし地声ハスキーだし困り系だし、もなー結婚してくれ!!


Album Full Stream