赤岳が遠くに見える。登ってきた地蔵尾根が下方に続く。
来た道を目線で辿る。
…あんなところから来たんやなあ。そうか、もう下山か。なんか寂しいなあ…。
ずっとこうしていたいが、そうはいかない。
赤岳~横岳、そしてこの硫黄岳までの道筋を何度も目で辿る。
別れ惜しいが硫黄岳山荘で食事休憩した時間を入れると随分長居している。
ここからがまた長い道のりだ。もう行かねばならない。
…しかしもうちょっと見ていたい。
もう少し居させてくれと相方に頼みタバコを一服。
@14:26
赤々と聳える赤岳・横岳の峰々を背に、下山。
別れを惜しんで何度も振り返る。
少々足早に下る。下山時が最も遭難事故が多い。
疲労と同時に、もう下りるだけという油断が生じるからだ。気を引き締めて慎重に行こう。
だんだんと樹林が出てくる。登山道は岩々とガレた急坂もあり、いわゆる『山深い』感じに。
しばらくすると白い砂地の分岐へ。結構広い鞍部になっていて、登山者が集っている。
左に爆裂火口を見上げ、正面から右手にかけて横岳、赤岳を望める。
後方は夏沢鉱泉、峰の松目(2567m)、赤岩の頭(2656m)。
ほんのちょっぴり景観を楽しみ、最後にもう一度赤岳の峰々に別れを告げ、
勝手に再会を約束。目に焼き付けるように見つめる。
どんどん樹林も増えて山深くなる登山道を進み、標高を下げる。
美濃戸まで大変な距離がある。日暮れも近い。すれ違う登山者も一気に減った。
同じ下山者で先に行ったのが数人、登ってきたのは年配のパーティー1組のみ。
とにかく先ずは赤岳鉱泉だ。
しかし焦らず"ゆっくり"急がなくては。最悪、赤岳鉱泉でもう一泊すればいい。
もう完全に樹林帯の中。赤岳鉱泉はまだか?長い道のりだ。と、沢の音が聞こえ出す。
おお!やっとジョウゴ沢だ。
テントを張っている人がいる。沢を渡る所にはカップルも。
沢が出たから、もうすぐだ。
@16:08
赤岳鉱泉
小休止。
温泉のある人気の山小屋。
なんだか久しぶりに聞いた気がする人の声。ホッと一息。
16:22 再出発。
ここから北沢ルートをひたすら真っ直ぐ。行きの南沢ルートよりも長い。
夕暮れはもうそばまで来ているし、足早に歩いては行くが、もうこうなったら構わんぞ。
ツェルトもあるし、ヘッドランプもある。食料もバーナーも、ナイフだってある。
相方も僕もそれぞれ自分のをちゃんと持ってきているのだ。
もし迷ったり、完全に山中ど真ん中で真っ暗になったり、なんて事になった時はビバークすれば良いだけの事。
熊が怖いですけどね。
南沢ルートの名物、沢に渡している橋が次々出て来て楽しい。
一組の親子とすれ違う。
こんな時間から登っているところを見ると、赤岳鉱泉でテント泊だろうか。
私達もテント泊がしたい。テントがあれば、今日みたいな時も余裕だ。宿泊代も要らないから安上がり。
山深い登山道を沢沿いにグングン下る。赤岳鉱泉以降、急坂は無いが岩々したガレた細い道が続く。これがまたたまらない。
日暮れもだいぶ迫って来たようだ。
10基ほどの橋を渡りグングン標高を下げると、人里、人工物の気配がしてきた。砂防ダム、車もある。
さらに下ると堰提広場に。ようやく北沢ルートの半分を過ぎた。ここで小休止。
もう間もなく暗くなりそうなのでヘッドランプ装着。
相方にはクマ除け鈴も準備してもらう。
ソーセージを食べようと思ったが肉気の匂いはヤバいので控える。
ここからしばらく進むと林道に。車や納屋が。
山小屋のスタッフのものだろう。
ヒャ~しかし長い。どこまで続いておるのだ。
辺りはかなり真っ暗に。
なんだかんだしているうちに、南沢と北沢の登山口分岐に。
@18:15
美濃戸山荘
ハァ~!いやぁ実に長い!長かった!何とはない平坦な道、楽なんだけどある意味、登山道より疲れるのだ。
@18:23
やまのこ村到着。
無事下山。
やまのこ村小屋に駐車場代金の確認。飲み物を買い、
車にザックを下ろし、さあ大阪まで。
この後疲れた体に鞭打って車を走らせる相方には本当に頭が下がる。
@18:42 出発。
ここから美濃戸口バス停までが大変だった。
そう、あの、悪路林道だ。
慎重に慎重を重ねて超ノロノロ運転。
この帰りの悪路が今回の山行で最もハードで緊張の連続だった。いや真面目な話しです。
途中車体の下をガツッと擦ったが、まあなんとかクリア。
※後日、相方が車屋さんにて点検、異常無しとの事で一安心。
@19:15
宿の名前は忘れたが、もみの湯なる日帰り温泉にて入浴、暫し休憩。
このひととき。登山の後の風呂に勝るもの無し。スッキリ爽快!コーヒー牛乳が美味い。
20:52 再出発。
@21:15
道中のファミレスにて夕食。
何を食っても美味い。ゾンビ状態で貪る。22:00 再出発。
@22:06
諏訪インター入る
@23:24
恵那峡SA(えなきょう)にて休憩。
23:53 再出発。
日付変わって9/20
@1:14
多賀SAにて休憩
1:30 再出発。
@3:10
自宅到着。
最高の山行だった。
言葉無し。未だに思い出しては胸が熱くときめきます。
※今回のまとめは次の山行記をご覧下さい。