昨夕、都内の某電気量販店に立ち寄った時のこと。
お目当ての商品を探していると、人の話し声が背後からだんだん近づいてきました。 振り返ると、それはフロア・マネージャーらしき店員が歩きながら、(おそらく)本部の社員と携帯電話で会話している声でした。
あまりに大声なんで、聞きたくなくとも耳に入ってしまったのですが、その内容が・・・
「いやぁ、クリスマス間近だってのに、店内ガラガラですワ。
全然ダメですョ、お客全然いないし。
ホント不景気なんですネェ。 ダメですョ。 ハハハハ・・・・。」
ご丁寧にも、彼は 『店内ガラガラ報告』 をその後フロアを歩き回りながら3回程繰り返していました。 お客様にも他の店員にも聞かせるかのように。
まぁ、報告にウソはなかったですょ。 確かに店内は空いてはいましたから。
しかし・・・あれじゃあ、お客様も買う気が失せちゃうでしょうねぇ。
嗚呼、知らぬは本人ばかりなり・・・。
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閑話休題・・・まずは下の写真をご覧ください。
ここ、一体どこでしょう?
一瞬、映画にのワンシーンに出てくる、津波に飲み込まれた大都会のようにも見えますが・・・。
正解は・・・ここ数年で急成長した都市、中近東・アラブ首長国連邦のドバイなんです。
一面の霧に包まれた街から、眼下に高層ビルが所々顔を出していますが・・・実はこの写真、ヘリコプターやセスナからではなく、ナント建物から撮影されたんですって!
その建物というのが・・・コレです!
この鉛筆を立てたような建物・・・その名を〝ブルジュ・アラブ〟と言って、来年竣工予定の、現時点で世界一の高さを誇る超々高層ビルなんです。
完成予定では、尖頭高818m・地上162階建て。 第2位の台湾・〝台北101〟の地上509.2m・101階建と比較すると、いかに凄まじい高さかがご理解いただけ・・・ますでしょうか?
正直、私はこんな高いビル・・・想像すらできませんが。
アラブの国でありながら石油が全く産出されず、それ故に観光や世界中からの投資で急速に発展を遂げ・・・昨年の今頃は日本でもTV各局がタレントを使って豪華なホテルや人工アイランドの壮大な風景を競って放送していました。
この〝ブルジュ・アラブ〟は、その象徴と言うべき複合ビルで、1~37階がアルマーニ・ホテル、45~108階が超高級マンション、109階から上がテナント・オフィスになる予定だそうで・・・一体家賃はいくらになるのやら?
と、羨望の溜息しか出ないようなドバイの活況・・・実はこのところ様子がおかしいようなのです。
アメリカのサブプライムローン破綻に始まった、世界的な不況の煽りをマトモに受けているようで・・・最近地元では、ドバイ国際空港を拠点とするエミレーツ航空売却の報道がなされており、動揺が走っているとのこと。
もともとドバイの開発には、欧米の有力銀行や投資ファンドが出資しており、これらがここのところの株価・原油価格の急落で一気に資金を引き揚げているのだそうです。
確たる産業や資源のない国に、一気に集まった世界資本・・・針の一刺しで風船が破裂するかのごとく、アッという間に幻影は消えてなくなる・・・まさにバブル崩壊の始まりでしょう。
ブルジュ・ドバイの施工は韓国財閥のサムスン建設。
これから予定されている他の超々高層ビル建設には、日本の大手ゼネコンも参画しているとか。
莫大な建設費用の回収は大丈夫なんでしょうか?
もしかしたら韓国経済だけでなく、我が国の建設業界にも痛手になるかもしれません。
ブルジュ・アラブ・・・ドバイにそそり立つ〝バベルの塔〟になるはずが・・・
〝バブルの塔〟のシンボルと化してしまうかもしれません。