【注】この記事はスキャンダルの性質上、下ネタおよび動物の尊厳に反する内容が含まれています。


今週の月曜は、イギリス現政権に反対派の市民にとっては非常に愉快な一日となりました。

デイビッド・キャメロン現首相の一連のスキャンダルが暴露されたためです。

事の発端は、元保守党でキャメロン首相の支持者でもあったアシュクロフト卿(Lord AShcroft)が記した暴露本の内容が明らかになったところから始まります。

内容の衝撃度のためもあってか、このニュースは瞬時にして世界中のメディアで発信されていましたが、日本ではロシア系メディアのsputnik紙だけが報道していたようです。(日本の報道の自由度が低い、というのも頷けますね)


アシュクロフト卿によると、キャメロン首相がオックスフォードの学生時代に所属していた会員制社交クラブであるブリンドン・クラブ(Bullingdon Club)では、クラブへの入会儀式として、死んだ豚の口に入会希望者が男性の性器を挿入する儀式があり、学生だったキャメロン氏もその儀式を敢行したということ、またその証拠写真は公開はされていないものの存在はしているということです。


学生時代にマリファナを吸っていたという証言もありますが、これは同ブログでもお伝えしている通り以前から噂はされていました。

さらには首相に就任中の期間にも、プライベートでコカインのパーティーを開いているという話も持ち上がっており、ジョージ・オズボーン氏も参加しているという噂も。


イギリスではマリファナを使用したことのある成人が非常に多く、日本とは異なりマリファナ吸引に対しては「悪」というイメージはあまり強くない人も多いためか、こちらの問題についてはあまり騒がれていませんが、豚事件の方は格好のネタとばかりに瞬時にしてそれを揶揄するミーム(画像)や動画、ツイッターの架空のアカウントなどがSNS上にあふれかえっていました。


キャメロン首相には「ハムのような顔(Ham Face)」というあだ名もあったため、豚肉のハムとかけて「ハメロン」という新しいあだ名もつけられています。

#piggate (ピッグ・ゲート)でFacebookやYouTube、ツイッターなどを検索されるとその秀逸な作品の数々をご覧になることができます。


日本の読者の方のために、比較的上品でかわいいものをいくつかまとめました。










キャメロン首相が労働党のコービン氏の躍進に対して、「労働党は国家の脅威となった」と発言していたことを受けて、イギリスの児童に絶大な人気のあるアニメ「Peppa Pig」をモチーフにしたものがこちら。



「デイビッド・キャメロンこそが今、あなた方の家族に対する脅威だ」










「ピ、ピグレットが?!」








在英ロシア大使館もこのお祭り騒ぎに便乗して、公式ツイッターアカウントでキャメロンの被害にあったという(設定の)豚のアカウントをフォローし始めたとか(笑)(i100



こういう架空のキャラクターの応答がまた、かわいくて気が利いていておもしろいんですよ。











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他にも様々なブラックジョークや大人のジョークで溢れかえっていましたが、こちらでは割愛させていただきます。


真面目な話に戻ります。


問題の儀式が行われた際、クラブの他のメンバーが死んだ豚の頭部を膝の上において、「儀式」が行われたということですが、膝の上に豚の頭部を置いてその一部始終を見ている人の神経も私には理解できないことです。

スキャンダルが発覚したキャメロンよりも、その哀れな豚に同情を寄せている人も多くいました。肉にされるために飼育され、死んだ後に頭部をそのように使われるなんて、命に対する尊厳の欠片もみることができません。

しかもイギリスにはイングリッシュ・ブレックファーストといって、ソーセージやベーコン、目玉焼きなどが乗せられた大皿料理がありますが、ソーセージもベーコンも豚肉ですよね。。。

イギリス国民の好物の材料になっている動物の口に首相のアレが、と考えると隠喩的な意味についてもつい考えてしまいますし、少なくとも数日間は豚肉の売れ行きが減ったりもするかもしれません。



彼が所属していたブリンドン・クラブは、頻繁に高級レストランで泥酔するまでお酒を飲んだりもしていたそうです。上層階級の子息だけが参加できるクラブですので、一般の大学生のように学費や生活費をローンで借りたり学業と併せてバイトをする必要もない学生とは遊び方も一味、違うようです。


ちなみに同クラブでよく行われていた「遊び」の一つには、路上のホームレスの方の前に50ポンド札を見せびらかした後、ライターで火をつけて紙幣を燃やすというものがあったのだとか。

そんな人間が、多くの国民の生活の方向性を決めていたようですが、たしかに過去の政策を振り返るとそれも納得もできます。






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しかしなぜこの時期に、このような情報が公開されたのでしょう?いろいろな理由が考え出されています。



*実はここしばらく、メディア報道の全体的な傾向として、デイビッド・キャメロン氏を落として、ジョージ・オズボーン大臣が持ち上げられることが増えていたので、そろそろキャメロン首相の賞味期限も切れかけかという感じはしていましたが、まさかこんな爆弾ネタが落ちるなんて想像もしていませんでした。


*現在、イギリスの国会や王室など社会上層部で秘密裏に行われていた幼児の誘拐・性的虐待・殺害容疑に対し、アノニマスが
#OpDeathEaters というキャンペーンを行い、明らかになった関係者氏名や住所などを公開していましたが、この問題については、警察なども捜査を行っており、かなり核心に迫っていたところでした。

そのため、一部のアノニマスからは「国会議員・王室の幼児性癖者(変態)の犯罪が、マシに見えるように(あるいは目を逸らす偽旗作戦として)公開したのでは?」という憶測も出ています。


キャメロン首相自身は王室の遠戚で、かつ政治家のトップですしね。何があってもおかしくないかもしれません。さらに子供と豚の違いなだけで、大差はやっぱりないようにも思えます。



*イギリスでも経済の崩壊、メルトダウンが起こるのではと予測されていますが、歴史を振り返るとこのような財政・経済の崩壊の直前にはよく「大事件」が起こる傾向があるようです。


世界的な3度目の金融危機にご注意を
Beware the global financial crisis, part III

9月18日【The Guardian】http://www.theguardian.com/business/2015/sep/18/beware-the-global-financial-crisis-part-iii


イングランド銀行も3度目のメルトダウンを最近、警告しているほどでしたが、今回は「10日間ほどの銀行封鎖、その後はギリシャ式に預金の引き下ろし制限が設けられる」可能性があるという噂も出ています。


【関連記事】

8月24日 
「経済崩壊に備え、現金の引出・非常食の備蓄を」 ゴードンブラウン前首相の元相談役


でも、世界経済崩壊の前哨としてはどうしてもこの事件は小さいようにも思われます。




*このスキャンダルを暴露したアシュクロフト卿自身も、スキャンダルが表ざたになっていたとこころでした。

億万長者の彼は、海外のオフショアからの莫大な収入・資産に税金を支払っていなかったことが糾弾されています。

その資金はまた、キャメロン首相の政治活動資金に寄付されていたのだとか。




アシュクロフト卿に対する申し立て:

Piggateネタで十分に大笑いを楽しんだところですが、

デイビッド・キャメロンには応答するべき非常に深刻な質問がつきつけられています


*なぜキャメロン首相は800万ポンドの寄付金と引き換えにアシュクロフト卿に閣僚の地位を約束したのか?

*2010年の国会議会で、アシュクロフト卿の税金支払いの期間について、嘘をついていたのか?


不道徳、スキャンダル、不正行為・・・

保守党はいつもどおり!




*それとも、陰気な気分になるニュースが続く中、市民に笑顔を取り戻そうという何者かの采配でしょうか?!さすがにこれはなさそうですが、もしそうだとするとグッジョブ!なところです。

さらにこのタイミングに、キャメロンの右腕であるジョージ・オズボーンは中国にいましたが、その理由は中国との豚肉および豚の精子の取引交渉のためでした。これも偶然なのでしょうか(笑)? (The Guardian紙

しかし精子の取引市場なんてあるんですね・・・



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どんな理由が背後にあるにせよ、デイビッド・キャメロンの政治家生命は終わる可能性もありそうです。それどころか普通にイギリス国内での生活もしにくくなるかもしれません。

労働党党首コービン氏はこの事件に関しては、今まで紳士らしく沈黙を保っていますが、
他の政治家までが、このネタを公に話しているようです。

スキャンダル発覚から初めて、以前として首相自身は公式な弁明は行っていないようです。

また10月3日にマンチェスターで保守党会合が行われ、それにあわせて現政権に反対するデモがずいぶん前から予定されていましたが、そのデモに持参するための豚のお面を印刷するための画像もあちこちに出回っています。







これまでの緊縮財政や外交政策(戦争)などであまりにも多数の国民が命を失い、その憎しみの矛先はキャメロン氏に向かっていました。


「保守党に投票する前に、保守党によって亡くなったこの人たちのことを考えてください」(Mirror紙)として、身体障害者やガンの患者などで生活保護などの福祉が打ち切られ、亡くなった方の写真が集められているほどです。実際にはもっといると思います。


キャメロン氏が辞職でオズボーン氏が時期保守党党首になっても、代表の顔が変わるだけで何の変化も期待はできません。不信任案を提出させようという動きもあります。


そして不思議なのが、この一連のスキャンダル騒動が、イギリスで人気になっていたというBlack Mirror というドラマシリーズを彷彿とさせるものだということ。しかし同ドラマの作者は関連性を否定しています。