塩不足と腎臓の機能の関係
「良い塩・悪い塩で健康に大差がつく」(H12年・廣済堂出版発行・川村昇山監修・杉野孝一郎著)という本の内容をご紹介しています。
何が良い塩で、何が悪い塩かという本題に入る前に、人間は塩なしでは生きられないという前提知識を、以下のように説明してきました。
第1回:「身体の細胞と塩との関係」 について
第2回:「ナトリウムの働き(ナトリウムポンプ)」について
今回は、「塩不足は身体に悪い」という章を引用して「塩不足と腎臓の機能の関係」についてご紹介します。
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塩不足で起こる障害は多数あります。
特に気をつけたいとのが腎臓です。腎臓は、体内の塩分を一定に保つ役割を果たしています。
ですから、体内の塩分の濃度が低下すると、腎臓は一定に保とうと必死で活動します。
しかし、人は汗や尿によって、身体の塩分をどんどん外へと排泄していきます。
塩分が補給されることなく、排泄されるばかりであれば、腎臓の機能が追いつかなくなり腎臓障害を起こしてしまいます。
ですから、腎臓の機能が低下している老人や赤ちゃんの場合、減塩することは特に危険度が高くなります。
赤ちゃんの場合、腎臓機能が完全に発達していません。赤ちゃんが脱水症状を起こしやすいのは腎臓の機能が完全でないからです。
ですから、水分を与えると同時に、体内でもナトリウムポンプが正常に働くように塩分も補給してあげなくてはなりません。
また、塩分が不足するとナトリウムポンプの働きが低下します。ナトリウムポンプの働きが低下すると、各器官の働きも悪くなるのと同時に腎臓機能が低下することが加わり、体内の水分不足を引き起こす結果、血液濃度が高くなってしまいます。
血液が濃くなれば血流が滞り、脳卒中などを引き起こしやすくなります。
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昨年の猛暑のときに、汗をかいたら、水だけを飲むのではなく、塩分を補給するように、とテレビのニュースやワイドショーなどで盛んに言われましたね。
細胞の浸透圧や血液の塩分濃度を維持するためにも、ナトリウムが必要ということなのです。
次回に続きます。