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タナトスシリーズの第3弾。
文庫じゃないけど、結局、買っちゃいました
3冊目なので、まだ、はっきりした傾向があるわけじゃないけど、前2冊に比べると異色。
時系列としては第1弾の『パラダイス・クローズド』 を挟んでの話です。
死人が絶えない美樹の周辺で、“前任”が不在となったため、家の水槽の世話をしてくれる人を募集します。
女性としては逞しい、浅岡彼方がやってきます。
彼方の父親が入院中だったり、脅迫状が届いたり、彼方の魚が消えたりと謎が散りばめられてます。
生きた金魚を丸呑みするアロワナは高槻刑事にどう映ったのだろうと彼方が考える場面があるのだけど、この美樹の趣味って、案外、諸行無常というか命の儚さ・・・いや、生死そのものを象徴しているのかなと思ったり。
単に作者が魚を出したいだけかもしれないけど
今回、単に殺人事件が起こる話ではないからこそ余計に色々考えさせられた気がしたな~。
彼方の前に姿を出さない美樹の存在に気づいた彼方は、「私が会ったことのない人が、この家で一番大事にされている人」と言うんだけど、なんかこの描写も真樹がいかに美樹を大事にしているかが伝わる部分。
「ぼくだって皆を幸せにしたい!」と叫ぶ美樹、クライマックスで体を張る高槻に「多分、あんたが正しいと思うんだよ」と同情する一方で、「でもそういうのはいらないんだよ、オレたちには」という真樹。
2巻に続いて、なんか悲しい双子
それにしても、美樹の彼方への懐きっぷりが恋愛というより、犬が懐いているようにも・・・
ハイになって、なぜか愛情について饒舌に語る美樹が彼方に手を伸ばそうとすると、「はいはい」といなす真樹、いいです
でも。
この話はやっぱり、前2冊と趣きが違う。泣ける
私は真樹がお気に入りなので、2巻の後の真樹が気になるところです。
- フォークの先、希望の後 THANATOS (講談社ノベルス)/講談社
- 作者:汀 こるもの
出版社:講談社(講談社ノベルス)
2008年10月