これは面白かったです
ご紹介くださったこがねボタンさん に感謝です
読む前にネットでレビューをちょっと見てみたところ、推理小説ではない等、賛否両論の部分もあるようですが、実に面白い(湯川准教授風)
周りで死亡者多数の“死神(タナトス)体質”の兄・美樹とその兄のおかげでやむなく“探偵体質”となっている弟・真樹。
美樹はあまりに多くの死を見てきたために精神不安定気味で引きこもりの一方で、馬鹿がつくほど魚好きなので、(真樹の)夏休みに“究極の水槽”を見るため、護衛(監視とも言う)の高槻刑事と真樹を伴って、小笠原の孤島へと出かけます。
行った先には推理小説家が集まっていて、当然のごとく、死者が出ます。
これは推理小説だって読むとラストがちょっと不満になるかもしれない
ミステリーの形式を取っているけど、トリックとか推理が中心ではないと思います。(そう思われて書かれていたら、大変失礼だけど)
今回のテーマはさしずめ、「離れられない双子と事情」なのかな。
真樹は普通に考えたら、美樹のことを負担に思っても不思議じゃないのに、積極的に世話を焼くし、兄のために自分が矢面に立つことも辞さない。(この辺りが好み)しかし、それを“共生”だと言う美樹。
後半で有史以来の細胞レベルからイソギンチャクとクマノミを例に挙げて、共生を高槻に説明する美樹は何を語りたかったのだろう
ここまで来るのに、きっと美樹に真樹もすごい葛藤があったんだろうなぁと。
1冊目のはずなのに、なに、この設定の盛り込みよう
今後、この辺りの双子のそれぞれの心理が描かれて行くのではないかと期待です。
ということで、早々に次巻も確保済み
とにかく、作者本人が魚好きなのでしょう。
美樹の魚蘊蓄が長い、長いでも、その異様な長さとテンションが美樹の情緒不安定を表すのに一役買っていると思われるので、まあ、アリです
そんな変人ミキちゃんと17年も付き合ってきた真樹も並大抵ではありません。
彼女<美樹で、デート途中に美樹からの電話でシュークリームを買いに行ったというくだりもツボでした
ツボにハマった双子でした
こがねボタンさんに感謝です
↓汀こるものさんのサイトを発見
- パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)/汀 こるもの
- 作者:汀 こるもの
出版社:講談社(講談社ノベルス)
2008年1月(文庫 2011年2月)