双樹の赤 鴉の黒 | 闇鍋ハロウィーン

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漫画、小説(主にミステリー)等、好きなものについてだらだらと。
「あぁ、分かる~」とか「へぇ」と思って読んで頂ければ。
腐思考(嗜好?)なので、ご注意ください(^ω^;)

薬屋探偵妖綺談の第9弾。

察しがよくて、察しちゃうと楽しめない人はこの本を未読であれば、読まないことをおススメしますあせる













『悪魔と詐欺師』 同様に大変“らしい”っちゃ、“らしい”本領発揮な話です。

過去と現在、誰が誰の話なのか入り混じっているので、最後に「あ!?」と意表を突かれる一方で、読み返すと「あぁ、なるほどひらめき電球」と繰り返し楽しめる。

叙述トリックが上手いと思います。


座木の大事にしていた赤い硝子の蝶の鳥籠を直そうと珍しく、秋もリベザルと一緒に修復してくれる人を探します。

使い捨て紙コップの営業の唐沢が不満を抱える日を送る中で出会う秋たち。

秋に出会った帰りにビルの狭間に挟まって、窮地に陥った唐沢を助けてくれた不思議な双子のアルとカブ。

この2つの話がどのように関わって、どのように終幕を迎えるのか。


秋がドイツをウロウロしていた10年だか20年前に人間に騙された腹いせに硝子細工を集める憎めない悪魔・零一を訪問するところ、いじめっ子秋との零一の会話も好きですニコニコ

帰り間際に「秋」と呼びとめて、「口の端にチョコレート」と指摘する場面もすごい萌えるラブラブ!

もう、やっぱりラブラブなんでしょ~!?

この言い合う割には絶対的な信頼に基づいたやり取りが堪らんラブラブ


後から気づいたんだけど、223ページで秋の言う「智2世」の「智」って『黄色い目をした猫の幸せ』 の智充のことかしらかお

このシリーズは不思議な描写が多いんだけど、そこが惹かれるのかも。


「妖怪の縁は憑く」と言って、「人間には関わり過ぎない方がいい」と言う秋がなんか寂しそうに感じるのは気のせいでしょうか。

「つまらない話をした」と透けるような笑みで話を終わらせた秋はちょっと儚げな感じがして寂しかった。

たぶん、長く生きてきた過程で人間と関わってきて、悲しいこともたくさんあったのだろうなと推測かお


現在、過去を行き来して、読んでる側もどちらにいるのか不思議な感覚。

読み終わっても、何度も読み返しちゃいましたニコニコ


最後がすごくゾクッとします~あせるちょっと怖い。

でも、“魔が差す”って、案外、こういうことなのかもショック!


双樹に赤鴉の暗―薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫 た 95-9)/高里 椎奈


   著者:高里 椎菜

   出版社:講談社(講談社文庫)

   2002年10月(2008年5月文庫化)