タイトルが洒落ているなぁと思ったのでした。
「ふういんさいど」・・・英語でのタイトルが「Who inside」。
内容も一致していて、密室が2度形成されるから「封印再度」。
密室時に中にいた人物も焦点になっているので「Who inside」。
うまくできたもんです。
座布団2枚あげてって感じです。
犀川の妹で雑誌記者の儀同世津子が萌絵の元に持ち込んだパズル。
世津子のパズル愛好仲間の香山家に伝わる「無我の匣」の鍵が入った壺「天地の瓢(こひょう)」。
壺の口は狭く、中に入った鍵らしき金属は割らないと出てきそうにない。
1949年に仏画師・香山風采が壺と匣を傍に密室状態の中で死んでいるのが見つかり、当時は自殺と断定。
その50年後に息子の林水も同じような状況で死んでいるのが見つかる。
後から見たら、4冊目の『詩的私的ジャック』を飛ばして読んだようだけど、まぁ、支障はなさそう。
今作も真実から目を惑わすような状況がいくつも並べられて、一つずつ、検証することを求められる感じ
ラストはこのシリーズしか読んだことないですが、森博嗣さんの本に共通する「結果を見ればそれしかないか」的な妙に腹落ちする結末。
でも、(『詩的私的ジャック』を飛ばしちゃったので)前作の『笑わない数学者』 同様に最後の最後で読者を悩ます描写が少々すっきりせず
事件の背景も少々理解しにくいかも
また、途中、事件解明とは離れたサイドストーリーとして、萌絵の悪戯(というにはひどい)により、犀川が振り回されるのはちょっと見もの。
あまり萌絵は好きなキャラクターではなかったが、数をこなすにつれて、段々かわいく見えるようになったかも
萌絵以上に強いキャラクターなのが叔母の睦子。鉄の女でした
厚さの割に面白かったので、案外読み進められました
- 封印再度 (講談社文庫)/講談社
著者:森 博嗣
出版社:講談社(講談社文庫)
2000年(1997年 講談社ノベルス)