2060年代の日本で、「科学警察研究所 法医第9研究室」、通称“第9”という警察庁の機関が舞台です。
「MRI捜査」という科学捜査が導入されています。
MRI捜査とは死後10時間以内に取り出した脳から死者が生前に見ていた映像を見ることができるというものであるため、事件の核心に迫れる画期的な捜査方法である一方、個人のプライバシーに関わるところも大きく存在自体が賛否両論の的です
しかも、脳の映像はあくまでも主観的なものしか見えないので、その主観的な映像をどう理解するのかというのも話のキーであり、第9の仕事です。
清水玲子先生のきれいな絵のため、おどろしい感じはしないのですが、結構陰惨な事件が多いです。・・・いや、読むと意外に怖いかも
イチ押しなのは、なんといっても、主人公の薪 剛(まき つよし)。第9の室長です
見た目も若く、頭の切れ味もよく、いつでも冷製沈着で気難しく、意外に短気。でも、非常に格好いいのです
と思っていたら、ラルクのhydeがモデルでしたあぁ、やっぱり・・・
第9に配属された新人の青木 一行(あおき いっこう)は薪を尊敬し(いや、もう、崇拝の域です)、数々の事件に臨みます。
小柄な薪に対して、青木は身長190cmと大男で、正確は真面目で熱く、正義感が強いです。
薪に万引きを見逃された貝沼という男は薪に執着するようになり、薪に面影を重ねて少年ばかり28人を殺します。(これが『28人連続殺人』)
最終的に貝沼は捕まるのですが、獄中で自殺してしまったため、その脳は「MRI捜査」にかけられます。
薪の親友・鈴木はその脳の捜査をするうちに犯人・貝沼の狂気に触れてしまい、精神を病んだ末に薪に銃を向け、薪は正当防衛により鈴木を射殺してしまいます
そんな鈴木に似ている青木に対して、薪は複雑な思いを抱いてます。(「自分と関わると危険な目に合う」とか「そんな生き方では長生きできない」とか)
青木は崇拝する薪にどこまでも(冷たくあしらわれても)付いて行きますし、薪の内面の脆さに気づいていて、支えてあげたいと思っています
・・・でも、青木はかつて薪が射殺した鈴木の婚約者・三好 雪子と婚約してしまうんですけどね。がっかり
基本は1話1冊です。
9巻では最初の事件(薪のトラウマの原点、貝沼の「28人連続殺人」)の背景にも何らかの関係はありそうな事件が発生します。
いつまでも、どこまでも敬愛する薪と仕事をしていくものだと思っていた青木に第9解散の話も並行して出てきて、色々、続きが気になるところです。
ただ、清水先生のお話は、「竜の眠る星」とか「輝夜姫」等々、完全ハッピーエンドではないので(この辺り、吉田秋生先生と同じ・・・)、どうなっちゃうのやら
警察組織、政府に対しても自分の正義を貫く薪が疎んじられてますが、外務大臣に対しても「人命保護の結果、外国との摩擦が避けられる外交能力がないなら外務大臣を辞職するべき」と痛烈な批判します。
外務大臣から「よくその物言いで警視正にまでなれたものだ」と言われますが、「だから、まだ警視正なんです」と言い切りますかっこよすぎる
薪の挑むような眼は格好いいですよ
秘密(トップ・シークレット) 9 (ジェッツコミックス)/清水 玲子
作者:清水 玲子
出版社:白泉社(ジェッツコミックス)
2001年~
9巻(2011年3月)~