だいぶ前に読んでいたシリーズで、しばらく続巻出ないと思っていたら、相当久しぶりに続編も出始めたみたいですね。
2010年9月が最新刊でしょうか
全編、マザーグースの童謡がモチーフの推理小説です
パラレルなロンドンでは、警官不足から大量に雇用したので、パンク刑事のキッドとピンク・ベラドンナも警察組織の人間です。
色々な人間が人数合わせのために大量に警察に雇われたため、警察の権威がなくなってしまい、代わりに民間の探偵士が権力を持ち、警察は探偵士の手足となって働く世界です
でも、本編の主人公は探偵士ではなく、髪は7色に染め分けられたモヒカンでレザーの服のあちこちに安全ピンの刺さったパンク刑事のキッド・ピストルズと破れたストッキングとミニスカートと3色に染め分けられたぼさぼさ頭のお気楽な刑事のピンク・ベラドンナです。(いや主役はキッドだけか)
見当違いな推理をする上司のブル先生(探偵士)のフォローをしながら、意外に正義感の強いキッドが鋭い推理で犯人を暴きます
マザーグースはブラックユーモアの利いたシュールでダークな感じがして、元々好きな題材です。
この『キッド・ピストルズ』は事件の真相が分かった途端にぱたんとドアを閉められるような終わり方をするので、どの短編も印象的なラストです
漫画で言うと由貴香織里先生の伯爵カインシリーズみたいな感じでしょうか。
キッドはパンク刑事なので、もう少し力強く犯人を糾弾して終わるのですが
マザーグースと言えば、アニメ『うる星やつら』でも“そして誰もいなくなった”を題材にやってましたが、あれは秀逸だったと思います
また、その中で取り上げられていた“誰が駒鳥を殺したのか(Who Killed Cock Robin)”が非常にお気に入りで、本で買って読んだくらいです
キッド・ピストルズのシリーズは短編が多いので、読みやすいと思います
著者:山口雅也
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
1991年